弁護士が教える!労災事故で会社に対して損害賠償請求を勝ち取るためには?


労災

不運にも労災事故に遭遇してしまった場合や、会社の命令による長時間労働によって精神疾患などにり患してしまった場合、労災保険の給付を受けることができるだけでなく、会社に安全配慮義務違反があるときには、会社に対して損害賠償請求が可能です。

会社は、労働者が安全で健康な状態で働けるよう、職場環境を整え、労働者の健康と安全に配慮する義務(「安全配慮義務」といいます)があります。

今回は、不幸にも労災事故に遭ってしまったときに、会社に対して請求できる損害賠償について解説していきます。

労災保険の給付申請も可能ですので、詳しくはこちらも参考にしてください。

(参考)労災事故にあったとき受けられる7つの労災保険と手続きのポイント

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労働災害とは?

労働災害とは、労働者が業務に起因する理由によって負傷したり、疾病にかかったり、死亡したりすることをいいます。

建築現場で高所作業中に落下したといった物理的なトラブルだけでなく、長時間労働の結果過労死してしまったとか、パワハラが原因で自殺してしまったといったケースについても、労働災害となる可能性が高いといえます。

労災となる可能性があるのは、次のようなケースです。

☞ 建設現場での高所作業中に落下して負傷した
☞ 警備員が強盗を取り押さえようとして負傷した
☞ 駅員が酔っ払い客を介抱しようとして殴られて負傷した
☞ 1か月100時間を超える過重労働を強要されて脳に障害を負った
☞ 建設現場でアスベストの作業に従事し、中皮腫を発症した

労働災害による損害の回復は、労災保険と損害賠償

労働災害によって損害を負った場合、その損害の回復は、労災保険の給付請求と、会社に対する安全配慮義務違反の損害賠償請求によって行うことができます。

労災保険の申請

労災保険は、会社の過失を証明しなくても、業務によって損害を負ったことを立証すれば、保険給付がされます。

ただし、労災保険の給付によってカバーされるのは損害nうちの一部だけであり、例えば休業補償については平均賃金の80%までの給付しか受けることができず、支払われなかった給与全額の補償を受けることはできませんし、精神的損害に対する慰謝料は支払われません。

労災保険の給付については、こちらの記事を参考にしてください。通常は、まずは治療と労災保険の申請を先行して行うこととなります。
(参考)労災事故にあったとき受けられる7つの労災保険と手続きのポイント

この不足分を補うのが、会社に対する損害賠償請求なのです。

安全配慮義務違反の損害賠償請求

以上の通り、労災保険は労働災害によって負った損害のすべてを回復することのできる制度ではありませんから、損害の補償が不足する分については、会社に対して損害賠償請求をすることとなります。

特に精神的損害については労災保険でカバーされませんので、民事上の損害賠償請求によって請求するしかありません。

「安全配慮義務」とは、労働者と会社との間で結ばれている労働契約上、会社は労働者を安全な環境で働くことができるよう、その身体の安全と健康に配慮しなければならないという信義則上の義務を負っていることを指します。

ケガをしやすい環境で働かせたり、精神疾患になるような長時間労働を強要したりすることは、安全配慮義務の違反として、損害賠償請求の理由となるということです。

労災事故の損害賠償請求の請求方法

まずは会社との話し合い

まずは、会社が安全配慮義務違反の責任を認めて損害賠償を支払うかどうか、話し合いで確認をしていきます。

ただ、「労災隠し」が問題となっている通り、会社としても労災事故が起こったことが公に広まれば社会的信用が低下すると考え、労災であることを認めないケースもあります。また、労災であることを認めたとしても、労災保険の申請に協力するだけで済ませ、安全配慮義務違反の責任を逃れようとするケースもあります。

労災民事訴訟の提起

会社が労災の責任を認めない場合には、その責任の程度(損害の内容、会社の過失の有無、割合)について、訴訟を提起して判断してもらうこととなります。既に労災保険から給付を得ている分については、損害額から控除されることとなります。

労災について民事訴訟によって争う場合には、証拠の有無が重要なポイントとなってきますので、事前に証拠を収集、保全しておくことが必要です。重要な証拠として考えられるのは次のような証拠です。

☞ 事故発生前後の現場の写真
☞ 一緒に働いていた同僚や関係者など、目撃者からの事故後の証言
☞ 診断書
☞ タイムカードなど過重労働を証明する証拠

事故発生後から時間が経過すると、証拠の収集は困難となることもありますので、あらかじめ収集、保全しておくべきです。

労災認定の基準について

労災であるかどうかを争うにあたって、労働基準監督署が労災を認定する基準として出している資料が参考とされる裁判事例が多いといえます。

特に、目に見えない損害として問題となる、長時間労働による過労死や過労自殺、精神疾患、脳や心臓の損害といったケースについては、労災認定の基準が公表されていますので、これらを参考にするべきでしょう。

労働基準監督署の労災認定と、民事訴訟における損害賠償が認められるかどうかとは、イコールの関係にあるわけではないですが、重要な参考資料とされます。

会社のその他の責任は?

労働災害が起こった場合、民事上の安全配慮義務違反の責任以外にも、会社や、労働者を監督する役員は、刑法上の業務上過失致死傷の責任や、労働安全衛生法などの労働法に定めのある刑罰など、刑事上の責任を負う可能性があります。

実際、労働者が死亡にいたるような重大な事故については、会社や経営者が書類送検されるケースもあります。

また、労働安全衛生法などを根拠に、作業の停止、施設使用の停止といった行政上の指導を受ける可能性もあります。

まとめ

今回は、不運にも労災事故にあった場合に、労災保険だけではカバーできない損害の発生に対して会社に安全配慮義務違反の損害賠償請求をする際の注意点について解説しました。

まずは治療、労災保険の給付申請を先行し、その後、会社との話し合いが成立しない場合には損害賠償請求の訴訟を提起することとなります。

(参考)労災事故にあったとき受けられる7つの労災保険と手続きのポイント

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