交通事故で逮捕されてしまったら?刑事弁護のためのポイント


交通事故逮捕刑罰相場不起訴示談執行猶予罰金免許停止法律相談弁護士無料東京

犯罪とは無縁であるはずのあなたご自身や大切な家族が、加害者になりうる危険性が高い犯罪。それが、交通事故です。

犯罪というと、殺人、暴行、傷害、覚せい剤など、自分でなにか悪いことをしなければ逮捕などされないだろうと思いがちですが、交通事故でも逮捕されることがあります。

普段何気なく運転している自動車ですが、その危険性ゆえに「走る凶器」と言われます。

なぜなら、ハンドル操作を誤ったり、ほんの少しの不注意により、人にケガを負わせ、最悪の場合には命を奪ってしまうことがあるからです。

交通事故で人を傷つけてしまったとき、あなたには民事責任だけでなく、刑事責任が追及されます。

交通事故の内容によっては逮捕され、最終的に刑務所に入らなければならないケースもあります。

今回はあなたやご家族が交通事故で逮捕されてしまったときに備えて、どのような場合に交通事故で逮捕されるのか、交通事故で逮捕されてしまった際の対処方法について、刑事弁護を得意とする弁護士が解説していきます。

刑事事件はスピーディな対応が重要です!

もし、あなたの家族、友人、親族が、刑事事件で逮捕、勾留などの身柄拘束を受けた場合には、刑事事件の得意な弁護士にすぐ相談をしましょう。刑事弁護を開始するタイミングが早ければ早いほど、身柄拘束が短期で終了し、示談成立、起訴猶予などの、有利な結果を獲得できる確率が上がります。

日本の刑事司法では、起訴された場合の有罪率は99.9%と言われており、捜査、起訴と進んだ場合には、手遅れとなりかねません。前科が付き、その後の人生を崩壊させないために、早期の刑事弁護が重要です。

交通事故を起こしたとき問われる罪は?

「交通事故でも逮捕されることがある。」と説明しましたが、では、交通事故は、どのような刑事責任(犯罪)に問われるのでしょうか。

交通事故を起こした場合には、以下のような罪に問われる可能性があります。

刑事弁護人の立場から、順番に解説していきます。

過失運転致死傷罪

交通事故により被害者を「死傷」させてしまった場合、過失運転致死傷罪に問われることがあります。

過失運転致死傷罪は、刑法で、「7年以下の懲役・禁錮または100万円以下の罰金」という刑罰が定められています。

実際に交通事故で逮捕される場合は、こちらの過失運転致死傷罪か、あるいは次に解説する危険運転致死傷罪に問われるような人身事故のケースが多いのが通例です。

危険運転致死傷罪

「故意」、つまり、危険な運転であることが分かっていながら運転して、交通事故を起こしたような場合を想定しましょう。

最近でも大量の飲酒をした挙句、スピードを出して運転し、被害者家族を死に至らしめた、という事故があり、このような悪質な事故が無くならないのが現状です。

事故の原因が悪質だと考えられる場合、危険運転致死傷罪に問われることがあります。危険運転には以下のようなものが考えられます。

  • ☛ 飲酒、薬物などにより酩酊状態での運転
  • ☛ 法定速度を過度に超過したスピード違反
  • ☛ 無免許運転
  • ☛ 信号無視等の無謀な運転

危険運転致死傷罪の場合、被害者「負傷」の場合には「15年以下の懲役」、被害者が「死亡」の場合には「20年以下の懲役」のみ、と定められています。

この危険運転致死傷罪は、その行為の危険性から、極めて重い刑が定められています。

ひき逃げの場合は?

交通事故を起こしてしまった場合には、加害者は、被害者を救護する義務があるとされています。

そのため、交通事故を起こしてしまったにもかかわらず、現場にとどまらずに立ち去ってしまった場合、より重い刑事罰が用意されています。

いわゆる「ひき逃げ」の場合です。

ひき逃げをした場合には、負傷者の救護と危険防止の処置違反で「10年以下の懲役及び100万円以下の罰金」という罪になります。

事故報告の義務違反

交通事故を起こしてしまった場合には、加害者は、警察を呼び、事故の報告をしなければならないとされています。

そのため、交通事故を起こしてしまったにもかかわらず、警察への報告を行わなかった場合にも、刑事罰が定められています。

交通事故を起こしても警察を呼ばなかった場合、事故報告の義務違反で「3カ月以下の懲役及び5万円以下の罰金」となります。

酒酔い運転・酒気帯び運転

飲酒運転については、非常に厳しく取り締まりがされるようになりました。

専門用語では、「酒酔い運転」、「酒気帯び運転」といいます。

これらの、いわゆる飲酒運転には、厳しい刑事罰が用意されています。ついうっかり、お酒が抜けていないのに車に乗ってしまったという場合には、相当厳しい罰となることを覚悟しなければなりません。

酒気帯び運転は「3年以下の懲役または50万円以下の罰金」、一方、酒酔い運転は「5年以下の懲役または100万円以下の罰金」です。

無免許運転

無免許運転による罰則は「3年以下の懲役または50万円以下の罰金」となっています。

免許証を携帯することを忘れていた場合は、免許証不携帯によって3,000円の罰金となります。

速度超過(スピード違反)

交通違反の中でも、特に多いのがスピード違反です。

軽度のスピード違反(30km以下の超過)であれば、行政罰(青切符)ですが、超過した速度がこれよりも大きい場合には、赤切符となります。

速度超過での刑罰は「6カ月以下の懲役または10万円以下の罰金」となっています。

悪質な場合には、懲役となることもありますので、甘くみないことが肝心です。

交通犯罪で、逮捕される場合とは?

交通犯罪を起こしてしまったとき、「逮捕されるのでは?」という不安から法律相談にいらっしゃる方が多くいます。

しかし、結論から申しますと、逮捕される場合の基準ははっきりしていない、というのが実情です。

逮捕の要件は、「犯罪を犯したこと」だけでなく、逃亡のおそれ、証拠隠滅のおそれなどがあることも要件となります。

そのため、交通事故を起こした場合に、すぐその場で逮捕をするかどうかは、悪質性などの事情によって異なります。

交通犯罪の中でも、逮捕される可能性が高いと考えられるケースについて、刑事弁護の経験豊富な弁護士が、順に解説します。

危険運転致死傷罪のケース

運転者が酔っ払っていたり、過度なスピード違反あるいは無免許運転であったりといった場合、容疑は上記で解説しましたように、「危険運転致死傷罪」となる可能性が高いでしょう。

危険運転の結果、交通事故を起こしてしまった場合には、逮捕される可能性が非常に高いといえます。

また、容疑が「自動車運転過失致死傷罪」であっても、被害者が死亡したり、意識不明などの大怪我を負ったりしていた場合も、運転者は逮捕される可能性が高くなります。

ひき逃げ事故のケース

交通事故を起こし、そのまま逃亡する、いわゆるひき逃げのケースでも逮捕されると考えてください。

ひき逃げをしてしまった場合には、「自動車運転過失致死傷罪」などの運転行為による犯罪だけでなく、被害者を助けようとしなかったとして「救護義務・危険防止措置義務違反」という犯罪にも問われます。

そして、ひき逃げをするような犯人だと考えられると、警察としても、逃亡のおそれが非常に高いと考えますから、逮捕される可能性が高いというわけです。

運転者が逃亡したり、証拠を隠滅するおそれがあるケース

運転者が住所不定や無職、独身である場合など、容易に逃亡することができたり、証拠を隠したり、事故の証人等にはたらきかけるおそれのある場合には逮捕することがあります。

というのも、逮捕の目的は、さきほど解説しましたとおり、逃亡や証拠隠滅を防止することにあるからです。

運転者が自殺するおそれがあるケース

実は、逮捕には、上記のような逃亡防止とともに、運転者が自殺するのを防止する、という目的もあります。

ご自分が交通事故を起こしてしまった場合を想定してみてください。被害者の方が運悪く死亡してしまったり、大怪我を負わせてしまった場合、大きなショックを受けるでしょう。

加害者となった犯人ですら大きな精神的ショックを受けてしまうような重大な交通事故では、発作的に自殺を考える運転者が少なくないのです。

とくに事故を起こした直後が危険です。一種のパニック状態に陥りますので、自殺するおそれが高いので、それを防止する目的で逮捕するケースもあります。

交通事故で逮捕されたときの対処方法

最後に、交通犯罪の刑事弁護人としての経験が豊富な弁護士が、交通事故で逮捕されたときの対処法について解説します。

逮捕は、重大な身柄拘束です。

特に、交通事故は、今まで普通に日常生活を送っていた善良な市民でも、突然逮捕されてしまい、すべてを失うおそれのある危険な犯罪です。

いざ、突然あなたやご家族が交通事故で逮捕された、というケースに備えて、事前に対応方法を理解しておきましょう。

逮捕直後にすべきこと

まず、交通事故で逮捕された場合には、逮捕直後すぐに、被害状況や事故発生時の状況を把握するようにしてください。

可能な限り、事故現場に出向き、現場の状況を把握する努力をすることが大切です。

なぜなら、現場に行くことにより、以下のようなことが判断できる場合があるからです。

  • ☛ 交通事故の関係書類から受ける心証との違い
  • ☛ 被疑者・被告人に各々どの程度の過失があるか
  • ☛ 被害者側に過失はあるのか
  • ☛ 否認事件になりそうか

また、運転者が自動車保険に加入しているか否かを確認し、任意保険に加入している場合は、保険会社と連絡をとり、今後の損害賠償交渉を進めていくことになります。

示談を進めること

次に、犯してしまった交通事故の被害状況を確認することと同時に、示談を進めていきます。

交通事故で逮捕されてしまった場合、早期の釈放のポイントとなるのは「示談が成立したかどうか」という点が重要となるケースがほとんどです。

なぜなら、被害者や遺族等との間で示談が成立したという事実は、運転者にとって刑事手続き上、有利な事情となるからです。

したがって、示談が成立した場合、逮捕されている加害者が、早く釈放される可能性が高くなります。

死亡事故の場合でも、示談が成立していることを理由に略式罰金刑となり、結果的に裁判を受けないで済むケースもあるのです。

また、民事的な面でも、将来的に相手方から再び損害賠償請求を受けないので、安心です。

仮に、請求を受けた場合でも、示談が成立していることを理由に支払いを拒むことができます。

交通事故の示談を進める上での注意事項

交通事故の示談を進めるときには、次の注意点を理解して進めるようにしてください。

なお、交通事故はもちろんですが、刑事事件の示談を行うときには、被害者やご家族が直接行うことはおすすめできません。

加害者の処罰感情をあおり、示談がさらにこじれてしまうおそれがあるからです。

そのため、示談の交渉は、刑事弁護を得意とする弁護士に任せるのがよいでしょう。そもそも犯人が逮捕されていて謝罪にいけない場合には、弁護士を通じて謝罪の意思を伝え、示談のお話し合いをすることとなります。

示談金は、10万円位からもっと高額の場合があります。

とくに死亡事故の場合は、遺族の被害感情が強い場合がありますので、運転者と被害者の過失の程度や遺族の感情、運転者の反省の態度などが影響します。

示談金運転者から被害者に支払われた場合、保険契約上、その支払額分が、保険会社から被害者等に支払われる金額から控除されてしまうことがあります。

そこで、「示談金」名目ではなく、「お見舞金」名目で支払うことを検討することも重要です。

少しでも交通事故の被害者の方の気持ちになることによって、示談を進めやすくするのがよいでしょう。

現場への献花やお墓参り【死亡事故の場合】

死亡事故をおこしてしまい、交通事故で逮捕されてしまった場合には、現場への献花やお墓参りを行うようにしてください。

事故現場への献花は月命日に行くのがよいでしょう。

とくに事故現場が、亡くなった方のご自宅や実家に近い場合、遺族や友人等の関係者は、事故現場に献花がなされているかどうか、一目で分かります。

遺族の方々の心情を考えても、月命日に献花を欠かさないことは、加害者側としての重要な姿勢でしょう。

また、亡くなった被害者の方が埋葬されている場所を教えてもらえた場合には、献花と同様に月命日にお墓参りをするのもよいです。

献花した花が枯れてしまったような場合や現場付近にゴミなどが散乱している場合には、現場を掃除しましょう。

また、転校や転勤等により、月命日に事故現場に赴くことが難しくなった場合には、ご遺族の方々に連絡し、その旨を伝えましょう。

被害者への献花が難しくなった場合でも、お盆や正月など、現場に赴くことが可能な時期には、献花やお墓参りをするのがよいでしょう。

免許停止・免許取消し

交通事故を起こしますと、軽微な結果であっても、一定程度の期間、「免許停止」となることがあります。

また、上記でご説明したような、逮捕されるほどの重大な交通事故を起こした場合には、「免許取消」となることがほとんどです。

とくに、酒酔い運転や危険運転致死傷罪、ひき逃げなどの重い罪を犯した場合には注意が必要です。「欠格期間」といって、罪の重さにより異なるものの、3年から10年、運転免許の再取得ができない期間を過ごさなければならなくなります。

これらは行政処分といって刑事手続きとは全く別の制度ですが、交通事故で逮捕された場合、これらの行政処分を受けることも頭に入れておきましょう。

まとめ

交通事故というものは突然やってくるものです。

そして、故意に危険な運転をした場合は当然ですが、そうでなくても、甘い考えが、刑事責任につながり、突然逮捕されてしまうこともあります。

したがって、あなたや家族が当然、事故の加害者となってしまい、逮捕されてしまうこともあるのです。

交通事故で逮捕されてしまうという緊急事態の場合にはパニックに陥ってしまうでしょう。

しかし、交通事故案件は早期対応が不可欠です。できるだけ早く、刑事弁護に長けた弁護士に相談するのが有効でしょう。

刑事事件はスピーディな対応が重要です!

もし、あなたの家族、友人、親族が、刑事事件で逮捕、勾留などの身柄拘束を受けた場合には、刑事事件の得意な弁護士にすぐ相談をしましょう。刑事弁護を開始するタイミングが早ければ早いほど、身柄拘束が短期で終了し、示談成立、起訴猶予などの、有利な結果を獲得できる確率が上がります。

日本の刑事司法では、起訴された場合の有罪率は99.9%と言われており、捜査、起訴と進んだ場合には、手遅れとなりかねません。前科が付き、その後の人生を崩壊させないために、早期の刑事弁護が重要です。


関連記事を見る