出産は、女性の人生にとって大きな節目となります。
最近では、女性活躍推進法が成立するなど、企業において女性を活躍させ、さらには、女性管理職の割合を増加させようという動きが活発化しています。
女性の側でも、働きながら出産をし、育児と仕事を両立させるということも、以前よりもしやすくなりました。
今回は、出産をしたときに、仕事とうまく両立していくために使うべき公的な補助について、女性を支える法律の解説をあわせてまとめてみました。
企業法務は顧問弁護士におまかせ!
顧問弁護士は、企業に日常的に起こる法律相談、契約書のチェック、労働者とのトラブルなどについて、経営者の味方となって戦うパートナーです。
適切な月額料金で、他の事務所より顧問弁護士を活用する方法について、企業法務の豊富な知識・経験を有する弁護士が、丁寧に解説します。
このページの目次
女性活躍推進法とは?
女性活躍推進法とは、301人以上の労働者を雇用する事業者を対象として、以下の義務を負わせる法律です。
あなたの働いている会社がこれにあたる場合には、この義務を守っているかどうか、確認してみてください。301人の基準には、正社員だけでなく、1年以上継続して雇用されているなど事実上期間の定めなく雇用されている場合にはパートや契約社員も含まれます。
1.平成28年4月1日までに
2.自社の女性の活躍状況の把握・過大分析
3.行動計画の策定・届出
4.情報公開を行う必要があります。
マタハラ問題も起こっているため注意が必要
出産、結婚などを理由に、女性労働者に対して不利益な待遇を強制することは許されません。許されない不利益待遇の中には、不当解雇だけでなく、減給、降格、正社員からパートへの労働条件の変更なども含まれます。
「経営難」「能力不足」など、別の理由をこじつけながら待遇を悪化させているけれども、実際は出産が理由であったという場合もマタハラとなります。
平成27年11月17日に下された広島生活協同組合事件の判決では、以下のように述べて、妊娠にともなって本人の承諾もなく特別の理由もなく行われた副主任の地位からの降格は、妊娠を理由としたものであって無効だといっています。
はたらく女性が出産の際に知っておくべき公的扶助
女性の出産にかかる費用は思いのほか高額です。
出産自体の費用は、病院の種類や選ぶ部屋にもよりますが、だいたい30万円~100万円程度でしょう。
これだけでなく、通院、検診、マタニティ用品を購入する代金、立ち合いなどにかかる費用など、加算するとかなりの額です。
出産手当金
健康保険に加入する女性が、出産のために会社を休み、事業主から給料をもらえないときに支給されるものです。
まさに、はたらく女性の味方といえますね。
その額は、月給を日割りした日給の3分の2に相当する額となり、支給期間は出産日以前42日、出産日後56日です。
詳しくはこちらを参考にしてください。
(参考)出産手当金(協会けんぽ)
出産育児一時金
健康保険に加入する女性が、健康保険から出産育児一時金が支給されます。
支給額は、赤ちゃん1人につき42万円です(産科医療保障制度未加入の分娩期間で出産した場合は40.4万円となります)。
赤ちゃんが双子の場合には2人分支給されます。
既に健康保険の資格を失ってしまっていた場合であっても、一定の場合(資格喪失の日の前日(退職日等)まで被保険者期間が継続して1年以上ある方が、資格喪失日から6ヵ月以内)には、出産育児一時金を受け取ることができます。
詳しくは、こちらを参考にしてみてください。
(参考)出産育児一時金(協会けんぽ)
出産費貸付
健康保険の制度で、出産費用にあてるため、出産育児一時金が支給されるまでの間、出産育児一時金の8割相当額を限度に、資金を無利子で貸し付けを受けることができる制度です。
詳しくは、こちらを参考にしてみてください。
(参考)出産費貸付(協会けんぽ)
高額医療費控除
高額医療費控除の制度とは、その年の1月1日から12月31日までの1年間の間に10万円以上の医療費を支払った場合に、支払った税金が返還される制度をいいます。
出産の場合には、この制度が利用できる程度の医療費を支払っていると考えられますから、すべての領収書(通院の際の交通費なども含めます)を保管しておくようにしてください。
高額療養費制度
自己負担の限度額を超えて医療費を負担した場合に、その負担額の一部が返還されるという制度です。
詳しくは、こちらを参考にしてみてください。
(参考)高額療養費制度(協会けんぽ)
育児休業給付金
雇用保険に加入している女性が、原則として1歳(一定の場合には1歳2か月または1歳6か月)未満の赤ちゃんを育てるために育児休業を取得した場合に支給される給付金です。
産休・育休を使用した場合の社会保険料免除
産休中や育休中は、社会保険料(健康保険料、年金保険料)が免除される制度があります。
また、復帰後も、妊娠・出産前よりも給料が下がった場合には、減額をするために標準報酬月額の改定という手続きを行うとよいでしょう。
傷病手当金
健康な妊娠・出産の場合には問題とならないものですが、切迫流産などの場合には、私生活上の病気と同様に考えることができ、これを理由に会社を休まなければならない場合には、傷病手当金の支給を受けることができます。
失業給付金
妊娠・出産によって一旦会社を退職する場合には、失業手当を受けることを検討すべきでしょう。
まとめ
はたらく女性が活躍できる社会を実現するため、これほど多くの制度が準備されていますが、まだまだ妊娠・出産した女性が元通りに仕事を頑張ることには、越えなければならないハードルが多いといえるでしょう。
この記事を参考に、頑張ってみてください。
企業法務は顧問弁護士におまかせ!
顧問弁護士は、企業に日常的に起こる法律相談、契約書のチェック、労働者とのトラブルなどについて、経営者の味方となって戦うパートナーです。
適切な月額料金で、他の事務所より顧問弁護士を活用する方法について、企業法務の豊富な知識・経験を有する弁護士が、丁寧に解説します。