インターネット上の書き込みを削除する全手順、削除依頼から訴訟まで


オークション詐欺

インターネットに記載されてしまった書き込みは、一生消えないのでしょうか。

これは、ある意味正しいともいえます。インターネット上の情報は、コピーが容易であり、簡単に拡散することが可能です。SNSやブログなど、個人が気軽に情報発信をできる手段も増えてきました。

そのため、ある程度長期間放置してしまうと、インターネット上に情報が拡散され、完全に削除することはおよそ困難となります。

したがって、誹謗中傷書き込みの削除は、初動対応が命です。インターネット上に拡散される前に、最初の書き込みを削除していく必要があります。

今回は、インターネット上の情報を削除する方法について解説します。削除依頼から始まり、任意の交渉でもうまくいかない場合には、訴訟など法的手続によって削除することも可能です。

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書き込みを行った人が明らかである場合

インターネットはある程度の匿名性があることから、書き込みを行った者が誰であるかはわかりづらい状況があります。とはいえ、発信者情報開示を行うことによってIPアドレスを特定することが可能な場合も多いため、完全な匿名ではありません。

たとえば次のように、書き込みを行った人が明らかに特定できる場合には、その人に対して、削除するよう交渉をすることが考えられます。

☛ 名前を明らかにした個人のブログに誹謗中傷が記載されている
☛ 会社名を明らかにした法人のブログに、他社の悪評が記載されている
☛ 実名で登録されているFACEBOOKに誹謗中傷が記載されている

このような場合、削除するよう交渉すると共に、損害賠償を請求することも検討されます。

書き込みを行った者以外(サイト管理者、サーバ会社)への削除依頼

削除の依頼先を探す

書き込みを行った者が即座にはわからず、書き込みを行った者以外への削除依頼を行うという場合には、削除依頼を行う先を特定しなければなりません。すなわち、サイトの管理者や、サーバ会社を特定する必要があります。

まず、サイト内に、「会社概要」「管理者情報」「お問合せ窓口」「連絡先」などと記載され、管理者などの削除依頼先が明らかな場合があります。

しかしながら、匿名掲示板、個人のブログなど、サイト内の表示からだけでは、削除依頼の窓口が不明な場合には、次のようなWhois情報の検索サービスを利用することによって、削除依頼先がある程度特定可能な場合があります。

☛ 株式会社日本レジストリサービス
  http://whois.jprs.jp/

☛ アグスネット株式会社
  https://www.aguse.jp/
  
☛ Whoisドメイン検索(お名前.com)
  https://www.onamae.com/domain/whois/

☛ TECH UNLIMITED
  http://tech-unlimited.com/whois.html

ただし、ドメイン取得をする際にドメイン取得代行会社を利用していたり、Whois情報公開代行サービスを利用していたりする場合には、これらのツールを利用するだけでは削除依頼先が明らかとならない場合があります。

サイト管理者への依頼

サイト内に問い合わせフォーム、メールアドレスなどが記載されている場合には、ここから削除依頼を送ることを検討しましょう。

この場合、サイト管理者が削除を検討しやすいように、次の情報を漏れなく盛り込むとよいでしょう。

☛ あなたの氏名、連絡先
☛ 削除を依頼する対象(容易に特定可能な程度に記載すること)
☛ 侵害されているあなたの権利

特に、削除を依頼する対象については、そのサイトを特定するだけでなく、サイトのどの部分の記載があなたのどのような権利を侵害しているかについて、容易に検討可能な程度に特定するとスムーズな対応が期待できます。

ただし、サイト管理者の性格、サイトの性質によっては、安易な削除依頼をメールフォームなどで送ることが、かえってさらに炎上をまねくこともあります。特に、この削除依頼は、あくまでも「依頼」であって、強制ではありません。あまりに高圧的な態度に出れば、サイト管理者も態度が硬化するおそれがありますので注意が必要です。

サーバ会社への依頼

サーバ会社に対する削除請求は、プロバイダ責任制限法のガイドラインに定められた、送信防止措置依頼の手続きに沿って行います。

具体的には、このガイドラインに、インターネット上の権利侵害の削除を求めるための手続きが定められており、これによれば「侵害情報の通知書兼送信防止措置依頼書」という書類を作成して送付することによって、これを郵送することによって送信防止措置を依頼します。

送信防止措置依頼書を受け取ったサイト管理者やサーバ会社は、まず、書き込みを行った者に対して、書き込みの削除をすべきかどうかについて、照会を行い、7日以内の回答を求めるのが一般的です。

そして、照会に回答がなかった場合、照会への回答が削除を可能とするものである場合、照会が不可能な場合には、送信防止措置をほどこし、書き込みを削除することが多いでしょう。

一方で、書き込みを行った者が、削除すべきでないとの回答をした場合には、サイト管理者ないしサーバ会社が、あなたの権利が侵害されているかどうかを、書き込みを行った者の回答とあなたの送信防止措置依頼の理由を考慮して、判断する必要が出てきます。

訴訟など法的手続きによる削除請求

 

以上の削除依頼を行っても、削除に応じてくれない場合には、裁判手続きに移行することとなります。

津城の裁判を行う場合には、1年以上の期間がかかることも多く、インターネット上の情報の拡散のスピードを考えると、通常の裁判を行って判決を待つのでは救済として遅すぎます。

そのため、インターネット上の情報の削除を訴訟手続きで実行する場合、通常は「削除の仮処分」を利用することとなります。

仮処分とは、権利侵害がおおむね確からしいと裁判所に判断をしてもらえると、一定額の担保金を納付することによって、権利侵害を行った書き込みを暫定的に削除してもらえる手続きをいいます。

仮処分による削除を認めてもらうためには、次の条件を満たす必要がありますので、十分な準備が必要です。


1.権利侵害がおおむね確からしいことを、証拠をもって裁判所に証明すること
2.担保金(30万円程度が一般的)

一般的には、仮処分といえども、一度削除されれば、これで削除の目的を達成できることがほとんどです。

削除の仮処分の手続きは、裁判所へ仮処分申立書を提出することによって行います。

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