結婚によって財布が一緒になるといいますが、金銭感覚が合わないと、結婚生活が長続きするのは難しいでしょう。
金銭感覚の中でも重要なものに「借金」に対する考え方の違いがあります。夫婦協力して貧困を脱する努力をするのもよいですが、ギャンブルでの借金などの場合には離婚を検討することとなるでしょう。
夫婦の片方が借金問題をかかえていた場合に、離婚時にトラブルの原因となる借金のお話について解説していきます。
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離婚による慰謝料は、相場として50万円~300万円と言われておりますが、明確な基準がなく、個別の事案に応じて、増額・減額事由となる要素を、証拠と共に収集していかなければなりません。
このページの目次
「借金」「浪費」を理由として離婚することができるか
協議離婚・調停離婚なら可能
離婚の方法には
1.協議離婚
2.調停離婚・審判離婚
3.裁判離婚
という3つの方法があり、
協議離婚の場合には、それぞれの離婚したいという意思が合致しさえすれば、その理由が「借金」であったとしても離婚が成立します。
しかしながら、協議離婚、調停離婚でまとまらなかった場合、裁判離婚となると、離婚が認められるためには法定離婚原因(事由)が必要となります。裁判で離婚が認められる法定離婚原因(事由)については、次の記事を参考にしてください。
(参考)法定離婚原因が必要!相手に反対されても裁判で離婚する方法
「借金」は法定離婚原因(事由)となるか(裁判離婚は可能か?)
法定離婚原因(事由)の中で、借金があてはまるとすれば「婚姻を継続し難い重大な事由」(5号)にあてはまるかどうかにかかっています。
単に借金があるというだけでは、また、単に浪費癖があるというだけでは、裁判所では「婚姻を継続し難い重大な事由」であるとは認めてもらえず、これに加えて、借金が夫婦生活を破綻させたと認められるような事情が必要であるといわれています。
たとえば、次のような場合には法定離婚原因(事由)にあたるとされる可能性が高いでしょう。
☞ 闇金から借金を繰り返し、取り立てで夜も眠れない
☞ 借金の理由がギャンブルなどであるのに止めることができない
☞ 借金と浪費にのめり込んで夫婦生活を立て直せない
☞ 生活費を一切入れないで借金を繰り返す
いずれも、借金が夫婦生活を破綻させたと認められる場合にあたります。
借金がある場合の財産分与はどうなる?
財産分与で借金は対象とされないのが原則
すべての借金は個人ごとに属するものなので、夫婦間であったとしても相手の借金を返済する義務はありません。個人責任の原則があるため、夫婦の一方が借金を背負った場合であっても、他方はこれを返済しなくてもよいのが原則です。
したがって、財産分与の際にも、借金は個人のものであって分与されないのが原則です。
ただし、夫が離婚前に亡くなった場合には相続財産の対象には借金も含まれるため、借金を引き継ぎたくない人は相続放棄の手続きを行うこととなります。相続放棄については詳しくは次の記事を参考にしてください。
(参考)相続放棄が可能な期間|3ヶ月を過ぎた場合の延長の対処法
日常家事債務は例外的に分与される
日常家事債務の範囲における借金は、財産分与の対象として半分ずつ返済する義務があるとされています。つまり、家庭生活維持のために行った借入は、財産分与の対象となることがありますので注意が必要です。
日常家事債務とは、夫婦が生活を営む上で必要になる債務のことをいい、次のようなものが含まれるとされます。
☞ 水道光熱費
☞ 衣服の購入費用
☞ 食費
☞ 医療費
☞ 子どもの養育費、教育費
☞ 家具家電の購入費
また、クレジットカードの家族カードの使用を許可していた場合にも、その使用によって負った借金の返済義務が生じます。
連帯保証人の場合も支払わなければならない
夫の連帯保証人になっている場合には、離婚をしたとしても保証人の責任から逃げることはできません。離婚をする前に、または、離婚の条件として、保証人から外してもらうか、別の保証人に交代してもらうよう話し合いをしましょう。
借金がある相手にも養育費・慰謝料を請求できる
養育費、慰謝料については、借金があるかどうかと直接関係がありません。
養育費は子どもの親権を得られれば、慰謝料は不貞行為やDVといった相手の不法行為を証明できれば、請求することができます。
ただし、借金がある相手に対して養育費や慰謝料を請求したとしても、現実に回収できる可能性はそれほど高くないかもしれません。
離婚後に相手が自己破産してしまったら
離婚後に相手が自己破産したとしても、離婚前の夫婦には全く影響しないのが原則であり、代わりに借金を返済する義務もありません。
ただし、連帯保証人になっている借金がある場合には、代わりに返済をしなければならないので注意が必要です。
また、養育費や慰謝料は、自己破産によっても免責されない債権に含まれていますので、自己破産後も問題なく請求することが可能です。
まとめ
夫がひそかに借金をしていたことが発覚した場合や、浪費癖がありギャンブルにのめり込んでいた場合など、金銭感覚の違いは、夫婦関係を破綻させる1つの重要な事情となります。
借金だけを原因に離婚が認められるわけではないですが、どうしても夫婦関係を続けていくことが困難な場合には、離婚を検討するのがよいでしょう。
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