2016年に施行される改正法まとめ【企業の法務担当必見!】


clouds-1117584_960_720

企業の法務担当者として注意すべき、2016年に施行される法改正を一覧にしてまとめました。

今年も多くの重要な法改正が予定されており、会社として対応していかなければならない問題も多いかと思います。

ぜひこの記事を参考にして対応を進めていってください。

企業法務は顧問弁護士におまかせ!

顧問弁護士は、企業に日常的に起こる法律相談、契約書のチェック、労働者とのトラブルなどについて、経営者の味方となって戦うパートナーです。

適切な月額料金で、他の事務所より顧問弁護士を活用する方法について、企業法務の豊富な知識・経験を有する弁護士が、丁寧に解説します。

個人情報保護法・マイナンバー法(一部が1月施行)

2015年9月、個人情報保護法とマイナンバー法がまとめて改正されました。

個人情報保護法の改正により「個人情報保護委員会」が設置され、マイナンバー法の改正では「特定個人情報保護委員会」の権限等とされている事項を「個人情報保護委員会」の権限等に改めるという改正がありました。

なお、民間事業者のほとんどが個人情報保護法の適用対象事業者(個人情報取扱事業者)となり、マイナンバーを取扱う事業者として、同法の対象となる可能性が高いといえます。

マイナンバー法については、次の記事も参考にしてみてください。

(参考)確定申告にマイナンバーは必要か?【2016年確定申告】

不正競争防止法(1月施行)

企業の情報漏えい問題をうけ、営業秘密の保護を目的に不正競争防止法の改正が行われました。

刑事罰の強化での、漏洩行為への抑止効果を狙ったものとされています。自社の営業秘密の保護のためにはメリットとなる方向の改正である一方で、自社が加害者となった場合のリスクは高まりました。

経産省からでている「営業秘密管理(実践編)」などを参考に、今後の対応を検討していくとよいでしょう。

特許法(1月施行)

特許法の今回の改正では、職務発明に関する改正点が大きなポイントです。

職務発明を行った社員に対して与えられるべき利益の基準をできる限り明確にされたとともに、企業もその権利を帰属させるためのプロセスを明確にすべきことを求められることとなります。

これにより権利帰属の不安定性が解消され、職務発明における従業員と企業との訴訟問題がクリアに解決されることが期待されます。

非常に重要な改正ですので、改正に関する経産省の公開している資料を一部引用しておきます。

⑴ 職務発明制度の見直し【特許法】
①  権利帰属の不安定性を解消するために、契約、勤務規則その他の定めにおいてあらかじめ使用者等に特許を受ける権利を取得させることを定めたときは、その特許を受ける権利は、その発生した時から使用者等に帰属するものとする。
②  従業者等は、特許を受ける権利等を取得等させた場合には、相当の金銭その他の経済上の利益を受ける権利を有するものとする。
③  経済産業大臣は、発明を奨励するため、産業構造審議会の意見を聴いて、相当の金銭その他の経済上の利益の内容を決定するための手続に関する指針を定めるものとする。

⑵  特許料等の改定【特許法、商標法、国際出願法】
①  特許料について特許権の設定登録以降の各年において、10%程度引き下げる。
②  商標の登録料を25%程度、更新登録料について20%程度引き下げる。
③ 特許協力条約に基づく国際出願に係る調査等について、明細書及び請求の範囲が日本語又は外国語で作成されている場合に応じ、それぞれ手数料の上限額を定める。

⑶ 特許法条約及び商標法に関するシンガポール条約の実施のための規定の整備【特許法、商標法】
  各国で異なる国内出願手続の統一化及び簡素化を進める両条約に加入すべく、国内法における所要の規定の整備を行う。
①  特許法について、外国語書面等の翻訳文を所定の期間内に提出することができなかったときは、特許庁長官が通知をするとともに、その期間が経過した後であっても、一定の期間内に限りその翻訳文を提出することができるものとすること等、特許法条約の実施のための規定の整備を行う。
②  商標法について、出願時の特例の適用を受けるための証明書を所定の期間内に提出することができなかったときは、その期間が経過した後であっても、一定の期間内に限りその証明書を提出することができるものとすること等、商標法に関するシンガポール条約の実施のための規定の整備を行う。

(引用元)特許法の改正に関する経産省の資料

女性活躍推進法(4月施行)

少子高齢化が進む日本社会において、一億総活躍社会を目指すために、女性のより一層の活躍と、能力を発揮できる環境を整備するために作られた法律です。

労働者301人以上の大企業は、平成28年4月1日からの施行に向けて準備を進めていかなければなりません。

次のとおり、行わなければいけない義務について厚生労働省が説明していますので、これに従って進めてみてください。

女性活躍推進法に基づき、国・地方公共団体、301人以上の大企業は、
1.自社の女性の活躍に関する状況把握・課題分析
2.その課題を解決するのにふさわしい数値目標と取組を盛り込んだ行動計画の策定・届出・周知・公表
3.自社の女性の活躍に関する情報の公表
を行わなければなりません。
(300人以下の中小企業は努力義務) 

また、行動計画の届出を行い、女性の活躍推進に関する取組の実施状況が優良な企業については、申請により、厚生労働大臣の認定を受けることができます。認定を受けた企業は、厚生労働大臣が定める認定マークを商品などに付することができます。認定マークについては、今後、定める予定です。

(引用元)女性活躍推進法特集ページ(厚生労働省)

障害者雇用促進法(4月施行)

障碍者雇用促進法の今回の改正により、全ての事業者に、障害者であることを理由として、募集・採用、賃金、昇進などで不当な差別的取扱いをすることが禁止されることが明記されました。

その他、主なポイントは以下のとおりです。

1.障害者の権利に関する条約の批准に向けた対応
 ・ 障害者に対する差別の禁止
 ・ 合理的配慮の提供義務
 ・ 苦情処理・紛争解決援助

2.法定雇用率の算定基礎の見直し

3.障害者の範囲の明確化その他の所要の措置

(引用元)障害者雇用促進法の改正に関する厚労省の資料

その他の2016年に施行される法改正まとめ

電気通信事業法

電気通信事業の利用者保護に関する省令等の整備。

(参考)電気通信事業法施行規則の一部改正等(総務省)

金融商品取引法

ファンドへの信頼を確保し、成長資金を円滑に供給していくため「プロ向けファンド」制度。

(参考)金融商品取引法の一部を改正する法律の概要(金融庁)

児童福祉法

児童養護施設などで暮らせる年齢を現在の原則18歳未満から20歳未満に引き上げ。

(参考)児童福祉法の一部を改正する法律:新旧対照表(厚労省)

意匠法

複数国に意匠を一括出願するための規定の整備。

風俗営業法

客にダンスをさせる営業に係る規制の範囲の見直し。

(参考)風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律の一部を改正する法律案の概要

企業法務は顧問弁護士におまかせ!

顧問弁護士は、企業に日常的に起こる法律相談、契約書のチェック、労働者とのトラブルなどについて、経営者の味方となって戦うパートナーです。

適切な月額料金で、他の事務所より顧問弁護士を活用する方法について、企業法務の豊富な知識・経験を有する弁護士が、丁寧に解説します。


関連記事を見る