相続で生命保険の受取人が既に死亡していた場合、誰が保険金を受け取るの?受取方法は?


アイキャッチ候補_不動産

ご家族、ご親族がお亡くなりになったとき、相続財産が気になるのは当然ですが、生命保険に加入している場合には、その金額や受取方法が心配でしょう。

特に、相続財産の評価額が多額であるけれども、現金があまりない、という場合には、相続税を支払うための現金を生命保険から捻出しなければならないケースが多く、生命保険の重要性は非常に大きいといえます。

保険金は、受取人が請求することによってはじめて受け取れます。したがって、受取人が誰であるかを早急に確認すると共に、生命保険会社の受け取り手続きを問い合わせしなければなりません。

どんなときに受け取れるかをよく理解しておき、受取事由に該当したら、すみやかに生命保険会社へ連絡をしましょう。

今回は、判明している受取人が、被相続人よりも先に死亡していた場合、誰が受取人になるのか、そして、その場合の受け取り方法について解説します。

遺産相続に強い弁護士に法律相談!

遺言・遺産相続の問題は、当事者だけで解決しようとすると争いが拡大するケースが多く、不利な解決になりかねません。

遺言、遺産分割でお悩みの方、使い込み、遺留分、寄与度にどうしても納得がいかない方は、親族間で紛争を拡大せず、相続問題に強い弁護士にご相談ください。あなたに親身に寄り添った弁護活動で、有利な解決を実現します。

相続のときに問題となる「死亡保険金とは」?

ある人が死亡すると、その時点から即座に相続が発生します。

相続人は、相続財産を遺して亡くなった被相続人の財産の一切の権利義務を継承するため、死亡保険金も含まれるように考える方もいらっしゃいますが、これは誤解です。

一般的に、生命保険を受け取る権利というのは、保険契約によって発生するものです。すなわち、保険料を支払ってきた対価であると考えられています。

したがって、特別な事情がない限りは、受取人の固有財産なので、相続財産には含まれないとされています。被相続人の死亡という、保険金の発生要件を満たせば、遺産分割を待たずに受取人に保険金が支払われることとなります。

死亡保険金の受取人が既に死亡していた場合は?

保険法の定めに従うのが原則!

保険法46条では、生命保険契約について、保険金受取人が保険事故の発生前に死亡したときは、その相続人の全員が保険金受取人となる旨を定めています。

この際の受取割合は、相続分にしたがうのではなく、すべての相続人が平等に受け取ることができるとされています。

保険金の受取人が、被相続人よりも先に、既に死亡していた場合、保険金受取人の相続人へ、死亡保険金が支払われるのが原則です。

判例では、受取人死亡の際に、被相続人の死亡保険金を受け取ることのできる保険金受取人の相続人とは、「保険契約者によって保険金受取人として指定された者の法廷相続人または順次の法廷相続人であって被保険者の死亡の時に生存する者をいう」(最高裁H5.9.7第三小法廷判決)とされています。

そのため、保険契約者の相続人や被相続人の相続人は、保険金受取人とはなりません。

受取人死亡時の具体的なケース

【登場人物】
A;被保険者、父
B:契約上の受取人、母
C:AB間の子
D:母Bの兄
E:父Aの妹

たとえば、被保険者であった父Aが亡くなり、保険金受取人が母Bであったことが判明。しかし、母Bは、このとき既に死亡していた場合は、どうなるでしょうか?

その場合は、受取人である母Bの法定相続人である子Cが保険金受取人ということになります。

そして、受け取り割合は法定相続割合にかかわらず平等になります。

約款に定めがある場合には注意が必要

以上が、保険法による原則的な受取人に関するルールですが、保険会社の約款や契約によって、異なる受取人、受取割合が定められている場合にはこれに従うこととなりますので、注意が必要です。

まずは、保険会社に、早急に問い合わせを行うようにしましょう。

受取人と被相続人が同時に死亡した場合

民法における同時死亡の場合のルール

受取人と被相続人とが、同時に死亡した場合はどうでしょうか。

この場合は、次の民法の規定によって、受取人と被相続人との間では互いに相続が発生しないこととなります。

民法第32条の2(同時死亡の推定)では、数人の者が死亡した場合において、そのうちの一人が他の者の死亡後になお生存していたことが明らかでないときは、これらの者は、同時に死亡した者と推定するとされています。

民法32条の2(同時死亡の推定)

数人の者が死亡した場合において、そのうちの一人が他の者の死亡後になお生存していたことが明らかでないときは、これらの者は、同時に死亡したものと推定する。

同時死亡の場合、死亡した者には互いに相続権はなく、代襲相続権者(代襲相続とは:被相続人の子、被相続人の兄弟姉妹に代襲相続が認められます。)にのみ相続権が発生します。

同時死亡の場合の具体的なケース

たとえば先程の例でいうと、相続人は被相続人の死亡時に生存している者に限られると解釈されるので、父Aと母Bが同時死亡の場合、死亡した父Aの相続人に母Bが該当するかというと、父Aの死亡時に母Bは生存していないので、BはAの相続人になれません。逆に、BもAの相続人になれません。

したがって、保険金受取人は、母Bであったので、母Bの相続人であるCとDが保険金受取人ということになります。

生命保険の約款に注意

保険金が受け取れるかどうかは、契約している主契約の種類や特約の種類によります。

保険証券などで、契約している商品を確認するとともに、「ご契約のしおり・定款・約款」で受取事由や給付内容を調べる必要があります。場合によっては、保険金が受け取れないこともあり得ます。わからないときには、保険会社へ問い合わせてみましょう。

相続が発生する前に受取人を変更しておこう!

保険契約者は、保険事故(被保険者の死亡)が発生するまでは、保険金受取人を変更することができます(保険法43条①)

保険金受取人が死亡した場合は、相続が発生する前に、速やかに受取人を変更しておけば問題はありません。
手続き方法については、保険会社に問合せましょう。

受取人が既に死亡していた場合、保険の請求手続きが複雑に

受取人が既に死亡していたことを、被相続人が死亡してはじめて知った場合はどうしたらよいでしょうか?(受取人の変更が間に合わなかった、忘れていた場合)

その場合は、請求手続きが複雑になることが考えられます。

例えば、受取人全員の法定相続人の押印等、保険会社によって様々な手続きを要求される可能性があります。

まとめ

上記の例のように、複雑な事態になる前に、ご家族の加入している保険の確認をしておくことが大切です。

相続が発生して争いごととなる前に、書類の整理をしておきましょう。

遺産相続に強い弁護士に法律相談!

遺言・遺産相続の問題は、当事者だけで解決しようとすると争いが拡大するケースが多く、不利な解決になりかねません。

遺言、遺産分割でお悩みの方、使い込み、遺留分、寄与度にどうしても納得がいかない方は、親族間で紛争を拡大せず、相続問題に強い弁護士にご相談ください。あなたに親身に寄り添った弁護活動で、有利な解決を実現します。


関連記事を見る