今年もいよいよ3月から新卒採用の広報活動がスタートします(選考開始は6月からです)。
年明けから徐々に新卒採用活動に向かう流れが加速していることから、自分の希望する会社に入社するためには、労働法に関する知識も重要でしょう。
特に、固定残業代(定額残業代)の会社では、一見して募集要項(求人票)では給与が高く見えてしまいます。最近では、募集要項(求人票)と、実際に雇用された際の労働条件が大きくかけ離れている企業が出現し、問題となっていますが、固定残業代についても、会社には丁寧な説明が要求されています。
適切な労働法の知識をもとに、ブラック企業を見分けましょう。
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長時間労働でお悩みの労働者の方は、すぐに弁護士へご相談ください。少額の場合や、手元にタイムカードなどの証拠がない場合であっても、労働問題の実績が豊富な弁護士が完全成功報酬にて対応します。
残業代請求の時効は2年です。残業代は労働した分の適正な賃金ですから、1日8時間、週40時間以上働いている場合には、あきらめず請求しましょう。
このページの目次
固定残業代(定額残業代)とは?
求人情報の中で、「月給30万円(固定残業代を含む)」といった表示を見たことがないでしょうか。
本来、残業代とは、働いた時間に時給の1.25倍を掛けて計算した額を支払うべきものです。
しかしながら、以下の理由で、残業代を一定額先に固定残業代として支払っている企業があります。
固定残業代を支払う理由は?
ブラック企業が固定残業代を好む理由
ブラック企業が固定残業代を導入する理由としては、以下のようなものがあげられます。
☞ 求人情報に記載した労働条件を良く見せたい
☞ 無駄な残業による業務の非効率化を避けるため
固定残業代(定額残業代 )には、基本給の中に残業代を含むという方法と、「残業手当」といった名目で基本給とは別に固定残業代を手当として支払う方法とがあります。
固定残業代は企業に都合のよい制度ではありません!
固定残業代を支払ったからといって、タイムカードを設置しなくてもよいとか、残業代を計算しないでよいということにはなりません。
したがって、会社がメリットだと思って固定残業代を取り入れても、実際にはあまり手間が変わらず、「正しく」固定残業代を運用した場合には、かえって残業代は増えると考えられます。
メリットがあるとすれば、残業代を目当てに無駄に残業をする社員が多い場合に、一定程度までであれば残業を無駄に行っても固定残業代しか払わないことを示すことにより業務を効率化するというメリットはあります。
このような会社にメリットがあまりない制度なのに、なぜ固定残業代を支払う会社が減らないのかというと、やはり、募集要項(求人票)に記載することによって給料が多く見せかけることができるからでしょう。十分な注意が必要です。
固定残業代が判例で認められた条件
固定残業代は、判例では、以下の条件を満たす場合にだけ、残業代の支払として認められています。
2.労働基準法にもとづいて計算された残業代が、固定残業代として支払われた額を上回るときは、その差額を支払うことが合意されており、実際に差額が支払われていること
したがって、あらかじめ決められた時間数分の残業代を先に支払うことは認められていますが、その時間数分以上の残業を行った場合には、残業代をさらに請求できるということとなります。
ただ、実際にはこの条件のいずれにもあてはまらず、残業代が適切に支払われていない会社は多く存在しています。
そのようなブラック企業の経営者は、固定残業代を支払うことによって、残業代を一切支払う必要はなくなり、労働時間を計算する必要もなくなると考えている人が多いようです。
これは、「固定残業代」という用語が生み出すイメージが、これ以上の残業代は発生しない「固定額だ」という発想となるからなのでしょう。
しかし、固定残業代を超える分の労働をしたにもかかわらず残業代を支払わないことは、労働基準法違反であり、「6か月以下の懲役、または、30万円以下の罰金」という刑罰に問うことができる可能性もある重大な行為です。
固定残業代を支払う会社を注意しなければならない理由
働いても適切な残業代が支払われない!
以上のことからわかるとおり、固定残業代を支払う会社は、固定残業代の「固定」というイメージを誤解して、固定残業代以上の残業代は、どれだけ労働しても一切支払わなくてもよいと考えている場合があります。これが間違いであることはいうまでもありません。
長時間労働による健康被害
ブラック企業は、固定残業代を採用することによって適切な残業代を支払わないことはもちろん、労働者の労働時間を管理しないことによって長時間労働を誘発します。
ま
残業代だけの問題ではなく、ブラック企業に働かされ過ぎると、労働者の健康、安全が害されることにもなりかねません。
固定残業代への解決方法
固定残業代を支払う会社の募集要項(求人票)には十分注意しましょう。適切な固定残業代であるかどうかが不安であれば、社労士や弁護士といった労働問題の専門家に意見を求めるのがよいかもしれません。
残業代請求をしよう
固定残業代のある会社で働き始めた場合の対処法は次のとおりです。
ご絶命したとおり、裁判例で認められている条件を満たさない固定残業代は、残業代の支払とは認められないこととなります。したがって、固定残業代以外に残業代が一切支払われていないのであれば、適切な残業代を請求することができます。
残業代の時効は2年間ですし、退社した後であっても請求ができます。
有効な固定残業代かどうかのチェックリスト
以下のチェックリストにひとつでもあてはまったら、無効な固定残業代の可能性がありますから、残業代請求を検討すべきでしょう。
☞ 基本給だけしかはらわれておらず、そのうちいくらが残業代かがわからない
☞ 雇用契約書、給与明細に残業代に関する項目がない
☞ 固定残業代が何時間の残業代に対応しているかがわからない。
☞ 就業規則や賃金規程に固定残業代に関する条項が存在しない
☞ 1ヶ月に60時間を越える残業時間があるのに固定残業代以外の残業代が支払われない
行政による対応も進む
厚生労働省も固定残業代問題を非常に重要であるとしています。
そして、「求人票における固定残業代等の適切な記入の徹底について」という文書を出し、不適切な固定残業代による求人をストップしようとしています。
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