丸わかり!自己破産の手続のながれを理解しよう。


債務整理

自己破産と聞くと、弁護士や司法書士に任せておけば、簡単に借金がゼロになると考えている人もいますが、その手続きは複雑で、手間がかかります。

裁判官による免責の審尋で、このような態度が見え隠れしてしまうと、免責を得ることのハードルになってしまうことすら考えられますから、専門家に任せる場合であっても、自分がこの後進んでいく手続きのながれについて、最低限理解しておく必要があるでしょう。

今回は、自己破産の手続きのながれについて、簡潔にまとめて解説します。
自己破産手続きには、大きくわけて、管財事件と同時廃止事件とがありますので、これらを分けて解説していきます。

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自己破産手続きのながれ

自己破産手続きのながれについて、簡単に説明しておきますので、ご自身で手続きをされる際の参考にしてください。
ただし、管財事件となるか同時廃止事件となるかにより、具体的な手続きは変わってきます(どのような場合に管財事件となるかについては、別の記事で解説していきます)。

自己破産の申立て

自己破産の申立てとは、破産手続き開始の申立てと、免責許可の申立ての2つを同時に行うことを意味します。口頭で行うことも可能ですが、実務上は書類で行うこととなっており、提出すべき書類、添付書類が多く指定されています。

必要書類(裁判所の書式に従って記載していただく必要があります。)
☞ 破産申立書、免責申立書
☞ 陳述書
☞ 債権者一覧表
☞ 資産(財産)目録
☞ 家計の状況
  
添付書類(ご自身でご用意いただく必要があります。)
☞ 住民票、戸籍謄本(3か月以内)
☞ 収入を証明するもの(給与明細、源泉徴収票、確定申告書の写し、課税証明書など)
☞ 預金通帳の写し(過去2年分)

必要に応じてご用意頂く資料
☞ 不動産登記簿謄本(不動産を所有している場合)
☞ 賃貸借契約書(賃貸物件に居住している場合)
☞ 退職金計算書(退職金が支払われる予定がある場合)
☞ 車検証、査定書(自動車などを所有している場合)
☞ 保険証券(生命保険などの解約返戻金が生じる場合)
☞ 年金受給証明書(年金を受給している場合)
☞ 生活保護受給証明書(生活保護を受給している場合)
  

  
提出すべき書類は、裁判所によって異なる場合があるため、自分の提出する先の裁判所に対して電話をして、事前に確認しておくとよいでしょう。
また、印鑑を持参して申立てにいけば、誤記があった場合にもその場で訂正させてもらえます。

破産手続きの開始決定

裁判所において、弁護士が裁判官と面談を行い、今後の手続きの行方を決定し、破産手続きの開始が決定されます。
東京地方裁判所では、弁護士が申立代理人として選任されている場合には、原則として即日面接(その日、または、3日以内の日に面接が行われます)が実施されていますので、申立書を提出すると時間を置かずに破産手続きがスタートすることとなります。この面談は、弁護士が申立代理人として選任されている場合には、弁護士が参加するだけでよく、債務者は出頭する必要がありません。

この際の面談では、免責不許可に該当する事情がないかといった点を中心に裁判官から質問がなされ、財産額などを考慮の上、管財事件とするかどうかが決定されます。
お金に換えることができる財産を持っている場合や、免責不許可に該当する可能性のある事情がある場合には、管財事件を選択されるケースとなります。

管財事件となった場合

管財事件となった場合には、裁判所によって破産管財人が選任され、破産者の財産の管理処分権が、破産管財人に与えられることとなります。
破産管財人は、破産者の財産をできる限り多くのお金に換え、複数の債権者がいる場合には、それぞれの債権者に対して、その財産を公平に分け与えることを目標として職務を行います。

その具体的な手続きとしては、破産者の財産を調査し、回収できる債権などがある場合には、その請求権を行使するなどして財産を増やす努力をします。その上で、債権者集会を開き、債権を確定させ、財産を債権者に対しては移動し終われば、破産手続きは終了となります。

この破産管財人による職務遂行の期間は、事案によっても異なりますが、おおむね1か月から2か月程度であることが多いです。

同時廃止事件となった場合

同時廃止事件となった場合には、管財事件とは違って、お金に換えられる財産がないということですから、配当を目的とした破産手続きを行う必要はなく、破産手続きは、開始決定と同時に終了することとなります。これが「同時廃止」の意味です。

したがって、同時廃止の場合には、その後は、免責をするかどうかの判断、つまり、借金をゼロにしてよいかの判断だけが残ることとなります。

破産手続きの開始決定、廃止決定から、免責の審尋までも、およそ1か月程度の期間がかかることが多いです。

免責の審尋

裁判官から、免責不許可事由に該当する事情が存在しないかを確認するため、質問を受けます。このとき、弁護士や司法書士などの専門家に任せていたとしても、債務者は地方裁判所に出頭する必要があります。

免責許可の決定

免責不許可事由に該当する事情が存在しないか、または、存在したとしても裁量免責が相当であると裁判官が判断した場合には、免責許可の決定がなされます。具体的には、裁判所から免責許可決定書が送付されます。
免責許可の決定が後1か月が経過すると、法的に免責許可が確定します。これにより、すべての借金を返済する義務がなくなり、債務者の氏名が官報に掲載されます。

まとめ

今回は、自己破産手続きのながれを簡潔にまとめて解説しました。

ご自身で自己破産手続きを進める場合はもちろん、弁護士や司法書士といった専門家に依頼する場合であっても、最低限のながれと、自分がどのような手続きを行っているかについては、しっかりと理解しておいたほうがよいでしょう。

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