養育費未払いを強制執行で確実に回収する方法


養育費未払い

養育費の取り決めをせずに離婚する夫婦、養育費の取り決めをしたけれども未払いが続いている元夫婦は、昔から現在に至るまで全く減少しません。

離婚しても自分の子、元夫にとって、離婚をしたとしても子どもが自分の子でなくなるわけではありませんから、離婚後も養育義務を負うこととなります。したがって親権を得なかったとしても養育費を支払う必要が当然あるわけですが、支払の履行がされていないのが現状です。

養育費の支払がストップしてしまった場合に、早期に、確実に養育費を回収するための強制執行などの方法について解説します。

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離婚による慰謝料は、相場として50万円~300万円と言われておりますが、明確な基準がなく、個別の事案に応じて、増額・減額事由となる要素を、証拠と共に収集していかなければなりません。

そもそも養育費とは?

養育費とは、子どもを育てていくために必要な次のようなすべての費用をいい、親権、監護権を有して子どもを養育している側の親が、他方の親に請求するものです。

☞ 食費
☞ 衣服の代金
☞ 医療費
☞ 教育費
☞ 娯楽費

離婚をして夫婦が別々になったとしても、子どもの父母は変わりませんから、離婚後も元夫は子どもに対する養育義務を負い、養育費を支払わなければなりません。

養育費の支払いは、親権者・監護権者が夫婦いずれであるか、子との面会交流を行っているかとは無関係に判断されます。

養育費の取り決めをして離婚しよう

養育費の支払いを途中でストップさせないためには、まず離婚時から養育費についての取り決めをしっかりしておく必要があります。特に、公正証書という執行力のある書面で取り決めをしておけば、いざ支払がストップしたときの対策も容易です。

しかしながら、厚生労働省の平成23年度全国母子世帯等調査結果報告によれば、次の表の通り、養育費の取り決めをして離婚する夫婦は非常に少ないという結果が出ています。
養育費取り決め状況

当然、養育費の取り決め状況が非常に少ないという結果を受け、養育費の支払い状況も、結果として支払を受領できていない場合が多くなります。
養育費支払状況

養育費の取り決めをしていない理由としては、「相手に支払う意思や能力がないと思った」が1位(48.6%)と最も多く、その他「相手と関わりたくない」「取り決めの交渉をしたがまとまらなかった」「取り決めの交渉がわずらわしい」となっています。

取り決めをした養育費の支払がされない場合の対応

養育費の取り決めがされていない場合には、調停等で養育費の金額、支払方法を定めなければなりません。

養育費の取り決めが既にされているにもかかわらず養育費の支払いがされない場合の田泓について解説します。

まずは話し合い

まずは、取り決め通りの養育費を支払うよう、お話合いを行います。次の順序で連絡を進めてください。


1.電話、メール、LINEなど普段の連絡方法
2.手紙
3.内容証明郵便

内容証明は、郵便局がその郵便の記載内容を証明してくれる形式の郵便で、弁護士も請求の書面を送付するのに用いる、非常に強いプレッシャーを与えることのできる方法です。これまで全く音信普通だった相手から、内容証明をきっかけとして養育費の支払いを受けることができるケースもあります。

また、弁護士を代理人として弁護士名義の書面を送ることによって、事後の強制執行などの可能性を示唆して支払を促すことも可能です。

家庭裁判所による履行勧告

家庭裁判所の調停、審判、判決などによって養育費の取り決めを行っている場合には、家庭裁判所による履行勧告の制度を利用することができます。

履行勧告の制度とは、家庭裁判所の調査官が、家庭裁判所で決定された養育費に関する調停、審判、判決を守らず養育費を支払わない相手に対して、電話、手紙、呼出、出張などの方法で「決められた養育費を支払いなさい」と注意指導してくれる制度です。

裁判所からの連絡がいくことになりますので、当事者同士の話し合いよりも強いプレッシャーを与えることができますが、家庭裁判所で養育費についての一定の決定を得ておく必要がありますから、当事者同士の取り決めしかないときは利用できません。

家庭裁判所による履行勧告

履行命令より強力な手段である履行勧告とは、家庭裁判所が元夫に対して未払いの養育費を支払うよう命令をしてくれる制度です。

正当な理由なく命令に違反した場合には10万円以下の過料の制裁を与えることが必要で、具体的な方法としては、家庭裁判所に対する申立書の提出が必要となります。

強制執行

以上の手を尽くしたとしても相手が養育費の支払を履行しない場合、最後の手段として強制執行を行うこととなります。

強制執行を行う場合のほとんどが、相手の給料の差押えを行うこととなります。したがって、相手の会社内での名誉、信用を傷つける可能性もあり、非常に強いプレッシャーとなります。

養育費による強制執行のポイント

最終手段である養育費による強制執行を行う際のポイントについて解説します。養育費によって給料を差し押さえることは、相手にも非常に大きなダメージを与えることになりますから、あくまで最終手段であり、これ以上支払がなければ強制執行を行う旨の通知を行ってから実行しましょう。

給料の「2分の1」まで差押えが可能

給料を差し押さえる場合であっても、その生活を不当に侵害しすぎないよう、上限が決められています。具体的には、総支給額から税金・社会保険料を差引いた手取り額の2分の1までの金額を差し押さえることが可能です。

将来分の養育費も回収可能

現在の民事執行法では、未払いの養育費だけでなく、将来支払うべき養育費も、1度の強制執行で給料から差押えをすることが可能です。

したがって、強制執行によって、養育費の未払分に加えて、支払期限の到来していない将来の養育費も、会社から直接養育費として毎月送金をしてもらうことが可能となります。

強制執行のためには債務名義が必要

強制執行を行うために最も重要な必要書類として「債務名義」を用意しなければなりません。債務名義とは、「執行力」といって強制執行を可能とする力を有する書面をいいます。

具体的には、次のものが債務名義にあたります。

1.公正証書(執行認諾文言が記載されたもの)
2.調停調書、審判書、判決書

これらの債務名義を有していない場合には、互いの話し合いによって公正証書を作成するか、調停、審判、裁判といった法的手続を経なければなりません。

まとめ

養育費を取り決めたにもかかわらず養育費の支払いがストップし未払いになったという場合、できる限り早く確実に未払い養育費を回収するために、強制執行とその前段階の手段について解説しました。

離婚をしたとしても自分の子であるという事実は変わりませんから、養育義務を果たしてもらうために養育費の支払は必須です。

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