夫婦の離婚の際、協議離婚をして、その結果、親権は妻が持つこととなり、夫は養育費を支払うこととなりました。離婚をしたとしても自分の子、子どもの養育を行う義務は離婚後の夫にもありますから、養育費の支払は当然でしょう。
しかしながら、その後、元妻は、ほかの男性と結婚をし、子どもはその男性との間で養子縁組をすることとなりました。
このようなケースで、離婚時に取り決めた養育費はどのようになるのでしょうか。元配偶者の再婚後、養育費は変化するのかについて解説します。今回は、元妻が再婚したケースとして解説しますが、夫婦が逆の場合にも同様のことがあてはまります。
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このページの目次
元妻が再婚した後、養育費の減額を請求できる!
元妻が再婚をして、再婚後の男性との間で子どもが養子縁組をしたにもかかわらず、あなたが離婚時に決められた養育費を支払続けなければいけないというのは、納得がいかない場合もあるでしょう。
一度決めた養育費は永遠に有効ということではなく、その後の事情によって増額、減額の変更がありうるものです。
まずは話し合いによって養育費の変更を請求するべきですが、話し合いによっては合意に至らない場合には、養育費減額調停を申し立てることとなります。
養育費を変更できる場合とは?
養育費の協議について
養育費の相場は、裁判の実務上使用される算定表によってだいたいの相場観が決まっています。算定表で主に考慮されるのは、次の事情です。
☞ 養育費を受け取る人(親権者)の年収
☞ 子どもの年齢
☞ 子どもの人数
この場合、養育費は、請求をしたときから子どもが20歳になるまで(大学に行く場合には大学卒業まで)支払うこととなります。
養育費の変更は可能!
このように養育費は将来の長期間にわたって支払続けるものであるため、その後の事情の変更が生じた場合には、養育費を変更することが可能です。このことは、民法にも次のように定められています。
扶養をすべき者若しくは扶養を受けるべき者の順序又は扶養の程度若しくは方法について協議又は審判があった後事情に変更を生じたときは、家庭裁判所は、その協議又は審判の変更又は取消しをすることができる。
つまり、養育費を支払う側、受け取る側の事情の変更によって、養育費が減額、増額される場合がありうるということです。そして、元妻の再婚もこの事情の変更にあたります。
養育費の変更が可能な事情の変更には、次のようなものがあります。
☞ 養育費を支払う側、受け取る側の収入が大きく変化した
☞ 夫婦の一方または双方が再婚し、養子縁組をした
元妻の再婚によって養育費の減額が認められるケース
とはいえ、元妻が再婚したという事情だけで、必ず養育費が減額されるというわけではありません。法律上は、元妻が再婚したとしても、子どもが再婚相手と特別養子縁組を結ばない限り、子どもはあなたの子どもであり続け、父親としての扶養義務は続くのです。
この場合、養育費の減額が認められるためのポイントは次の通りです。
再婚相手と養子縁組している
再婚相手との間で、子どもが養子縁組をしている場合には、別居しているあなた(実の親)よりも、同居をしている再婚相手の方が子どもに対する扶養義務を優先的に負うこととなります。
したがって、養育費を減額すべき大きな理由となります。
再婚相手が経済的に安定している
再婚相手が経済的に安定しているほどに、子どもの扶養義務を十分に果たすことが可能となりますから、養育費を減額できる可能性が高くなります。
再婚したとしても再婚相手の経済力が全くなく、子どもを扶養することが全くできない場合には、養育費の減額ができない場合もあります。
元夫もまた再婚している
元妻も再婚しており、元夫も再婚している場合には、あなたから養育費を支払おうにも、あなたにも新しい家族を養っていく扶養義務があり、養育費を支払う十分な余裕がないケースも多いでしょう。
このような場合には、再婚相手のいる元妻よりも、現在の家族を優先して不要しなければならず、養育費の減額を認められる可能性が高まります。
再婚以外の事情により収入の変動がある
協議離婚によって養育費を定めた後にお互いの収入が大きく変動することは、養育費を増額、減額する大きな理由の一つとなります。
したがって、協議離婚の後、あなたの収入が大きく減少していたり、再婚した元妻の収入が大きく増加していたりといった事情がある場合には、養育費の減額が認められやすくなります。
養育費を減額する具体的な方法
まずは養育費に関する話し合いを
まずは、話し合いによって上記の事情を交渉のカードとして、元妻との間で養育費減額の交渉を行うこととなります。
元妻が再婚したからといって当然に養育費が減額されるわけではなく、全く交渉もせずに養育費の支払を勝手にストップさせてしまうと、場合によっては強制執行をされることもあるため、注意が必要です。
養育費の減額について合意が成立した場合には、その内容を公正証書に作成して証拠化するべきでしょう。証拠化されていないと、合意が成立していなかったと主張されてしまうと、減額後の養育費しか支払っていない場合には、強制執行をされてしまうおそれがあります。
養育費減額調停
話し合いで解決できない場合には、家庭裁判所に対して養育費減額調停を申し立てることとなります。
元妻が現在住んでいる地域を管轄する家庭裁判所に対して、養育費調停申立書を提出します。
養育費調停申立書の書式は、裁判所のホームページからダウンロードできますので、活用してみてください。
(参考)養育費請求調停申立書
養育費の審判による確定
調停での話し合いが不成立に終わった場合には、元夫婦の双方の収入の状況、離婚後の状況、子どもの利益などの事情を考慮して、裁判所が審判によって、新しい養育費を決定することとなります。
まとめ
今回は、元夫側の立場から、元妻が再婚して子どもが再婚相手と養子縁組をしたという事情を理由にして、養育費の減額が可能かという点について解説しました。
夫婦を逆にしても同様ですので、元妻側の立場に立つ場合にも参考にしてみてください。
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