出会い系アプリに登録した夫、浮気(不貞)を繰り返している場合、離婚できるか


不倫の慰謝料

新婚ほやほやで幸せな毎日・・・と思っていたのもつかの間、夫が、隠れてLINEのメッセージを頻繁にやりとりしていることに怪しさを感じ、ある日、夫がお風呂にいっているすきに携帯を見たところ、出会い系アプリを発見してしまった、というケースです。

出会い系アプリに登録していることが発覚した妻としては「裏切られた」という思いが非常に強いことでしょう。

出会い系アプリを使用した結果、妻以外の女性と不倫関係にあることが明らかに証明できた場合には、これが「不貞行為」として離婚事由となることは明らかであり、裁判をすれば離婚が認められて勝訴するでしょう。また、その場合には、慰謝料の請求が可能となります。

しかしながら、ただ「出会い系アプリに登録をしている」というだけで、離婚をすることができるのでしょうか、また、その場合、慰謝料などを請求することは可能なのでしょうか。

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離婚による慰謝料は、相場として50万円~300万円と言われておりますが、明確な基準がなく、個別の事案に応じて、増額・減額事由となる要素を、証拠と共に収集していかなければなりません。

出会い系で行われた不貞行為と、その立証方法

夫が出会い系サイトを利用していることが発覚し、さらには、そこで知り合った女性と密会し、肉体関係にまで及んでいた場合、法律上定められた離婚事由に該当することとなります。

この場合には、「不貞」という離婚事由に該当しますから、まずは協議を行い、話し合いによって解決が不可能な場合には、離婚調停、調停でも解決できない場合には離婚訴訟となります。

「不貞」を理由とした離婚に関するトラブルの流れについては、こちらの記事を参考にしてください。

(参考)法定離婚原因が必要!相手に反対されても裁判で離婚する方法

そして、離婚訴訟において離婚を認めてもらうためには、「不貞」の事実について、立証をしなければなりません。

具体的には、肉体関係があったことを推認させる証拠を収集する必要があります。出会い系アプリにおけるやりとりで、肉体関係があることが明らかにわかるやりとりをしているのであれば、確実な証拠収集のため、携帯画面をそのまま写真に撮影しておくことをお勧めしています。

その他「不貞」の事実の立証方法については、こちらの記事を参考にしてください。

(参考)不倫の慰謝料、ベストな相場は?慰謝料額を左右する12のポイント

出会い系の登録、恋人募集は「不貞」にはあたらない

出会い系アプリに登録し、恋人募集を行っているだけでは、厳密にいうと、法律、裁判例で離婚事由としてみとめられる「不貞」には該当しないと考えられます。

したがって、他に離婚理由がない限り、出会い系アプリへの登録だけを理由としては、夫の反対を押し切って離婚をすることはできないということになります。

とはいえ、不貞にあたらないからといって、何ら問題がない行為であるというわけではありません。

その程度がひどく、悪質性が高い場合には、慰謝料請求の理由となる場合もあります。

しかしながら、慰謝料が請求できるとしても、その額は、不貞があって離婚した場合に比べて相当低額となると考えられます。そのため、慰謝料請求を認めてもらいやすくするのであれば、夫の出会い系アプリ利用の行為、態様、頻度、回数などが悪質であることを証明することが重要です。

このような見方からすると、次のような防止、抑止についての対策をとり、これを行ってもなお頻繁に出会い系アプリ利用を続けたことを主張することが効果ありと考えられます。

出会い系浮気は事前に防止、抑止を!

このように、まとめると、出会い系を利用して、不貞行為(浮気)を行っていたことが判明すれば、離婚理由になると共に、慰謝料請求が可能ではありますが、次のような問題点があります。

☛ 法律、裁判例において「不貞」と認められる行為がなければならない
☛ 「不貞」について、立証するための証拠を収集しなければならない。

そして、この2つのハードルは、裁判で勝訴を獲得することを目的とすると、ハードルは結構高い、ということとなります。

また、そもそも肉体関係が存在しないとか、出会い系で口説くことをゲームとして考えていて、特に実際に会ったりはしていない、というケースもあります。このようなケースでも、妻としては裏切られた感を非常に強く感じるでしょうが、法的に離婚、慰謝料請求といった措置はとりづらい状況となります。

そのため、できる限り、事前に防止するため、出会い系アプリへの登録が発覚した場合には、次のような対応を検討してください。

スマホをとりあげる

出会い系の利用がかなりの頻度にわたったり、肉体関係があることが明らかであったりといった悪質性の高い場合には、スマホをとりあげることを検討すべきでしょう。

一方的にとりあげるのではなく、反省を促し、今後の疑いを排除するために、夫にも同意をもらった上でスマートフォンを持たせない、ということを決めた夫婦の事例もよくききます。

ただ、仕事の連絡が必要であるなど、スマホを持っていないと支障が出る場合も多く、完全に排除することは難しいでしょう。

スマホをこまめにチェックすると伝える

夫婦で話し合い、ルールとしてスマホの抜き打ちチェック制を決めた夫婦の事例があります。

ただ、夫が完全に隠そうと努力する場合には、チェックの実効性には限界があります。

一度発覚した後も、妻に隠しながら出会い系アプリに登録し、肉体関係を重ねるといった場合には、今後の離婚も視野にいれ、以下の対策を実行していくべきかもしれません。

出会い系アプリをやめるという内容の誓約書を書かせる

出会い系アプリへの登録について、夫が反省している場合には、今後同様の出会い系アプリへの登録行為を行わないことを誓約させ、誓約書にその旨を記載させるという方法があります。

これによって、反省、謝罪を証拠化すると共に、いざ次に同様の行為を行ったときに、より離婚原因として認めてもらいやすくします。

また、そのような次回の可能性を見越して、次にやった場合の罰や離婚する場合の条件について、誓約書にくわしく記載させておくことも有効です。

たとえば、「出会い系を利用したことを原因に離婚にいたった場合には、500万円の慰謝料を支払う」「親権は妻に譲る」「マンションは妻に譲り、その他の条件についても妻の主張を受け入れる」といった内容です(ただし、妻側に一方的に有利な内容について、離婚時に有効性が問題となるケースがあり、記載内容には注意が必要です。)。

離婚届を書かせる

出会い系アプリに登録をしているだけで、肉体関係がない場合には、法律上の離婚理由にはあたりません。

しかしながら、協議による離婚は可能であって、夫の出会い系アプリ活動に対してあなたが不満を持っているのであれば、協議を進めれば進めるほど、話は離婚の方向に傾いていくでしょう。

そのため、夫が出会い系アプリの利用を反省しているのであれば、今のうちに離婚届を書かせ、次に出会い系を利用した場合には離婚届を出す、ということを、抑止力として活用することが考えられます。

ただし、夫婦の合意による離婚が可能かどうかは、離婚時の二人の意思によって決まりますので、過去に書かせた離婚届があったとしても、この離婚届を提出する時点において夫が「離婚したくない」といって争いとなった場合には、離婚届の有効性が否定される場合があります。したがって、あくまでも、抑止力としての効果を期待して書かせるべきものといえるでしょう。

夫の親に相談する

出会い系アプリに登録していることを親に言われれば、夫は非常に気まずい状況となるでしょう。

夫から自発的に出会い系アプリをやめてもらうために、夫の親に、出会い系アプリに登録されていて不満であることを暴露し、相談しておくのは非常に有効です。

放置する

出会い系アプリに登録しているのみで、実際に密会をしたり、肉体関係を持ったりということが無いことが明らかなのであれば、放置してほどほどに遊ばせておく、というのも、離婚を避けるための一つの選択肢ではあります。

ただし、結局エスカレートして肉体関係に及んだという場合、あなたの有利な立場を確保するために、監視し、不貞行為の証拠を収集できる状態にしておく必要がありますから、上記のいくつかと組み合わせておくのがよいでしょう。

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離婚による慰謝料は、相場として50万円~300万円と言われておりますが、明確な基準がなく、個別の事案に応じて、増額・減額事由となる要素を、証拠と共に収集していかなければなりません。


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