インターネット上の書き込み、誹謗中傷に対する削除などの対応で注意すべき4ポイント


ブラック企業

インターネット上での情報発信は、現代社会ではますます活発になってきました。

企業によるホームページなどを通じた情報提供はもちろんのこと、最近では、個人であっても、簡単に情報発信ができるようになりました。

ブログ、SNSを通じた自身の意見の表明、YOUTUBEを利用した自分の番組の提供など、インターネットが普及する前であれば一部の大企業にしか不可能であったことが、個人であっても当たり前に、手軽に提供することができるようになったのです。

これに伴い、弊害も生じてきました。誰でも情報発信ができるということは、怨恨、怒りを抱く人間も、この感情をインターネット上で直接的に表現できるということであり、誹謗中傷の書き込みが深刻な問題となりました。

誹謗中傷は、古くは名誉棄損の問題からはじまり、雑誌で名誉を毀損する記事を掲載された場合の対応などと何ら変わりません。意見表明の場がインターネット上となったことにより技術的な特性に配慮が必要ではありますが、問題の本質は同様です。

したがって、インターネット上の誹謗中傷の問題も、弁護士に相談して解決すべき問題であるといえます。

弁護士の対応としては、削除、書き込み者の特定などが考えられますが、これらの対応をするにあたって、事前に検討しておかなければならない4つのポイントを解説します。

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あなたの権利を侵害していることが特定可能か

書き込みがあなたの気に入らないものであるとしても、それが誰の権利を侵害しているかが、書き込みの内容などの事情から明らかとならない限り、法的な対応は困難です。

「同定可能性」とは?

法律は、侵害された権利を回復することは可能であり、そのための助けを弁護士が依頼を受けて行うわけですが、誰の権利が侵害されたのかが明らかでなければ、あなたの救済をお手伝いすることができない場合があります。

したがって、まずは、問題となる書き込み、画像、動画などのインターネット上の情報が、あなたのことを対象としていることがわかるかを検討します。

このことを「同定可能性」といったりします。

同姓同名の場合【ケース①】

たとえば、同性同名の多いごく一般的な名前であり、苗字の記載もないといった場合には、必ずしもあなたのことを指しているかどうかが、書き込みからだけでは判断がつかない場合があります。

とはいえ、同定可能性は、一つの書き込みだけから判断されるわけではありません。他の書き込みをまとめてみたり、画像や動画を合わせて考えれば、明らかにあなたの権利を侵害している、という場合には、同定可能であると考えられるケースもあります。

源氏名の場合【ケース②】

たとえば、本名は一切記載されておらず、源氏名で誹謗中傷の書き込みを、「ホスラブ」などのインターネット上の掲示板に書き込まれた場合、書き込みからだけでは、必ずしもあなたを対象としていることがわからない場合があります。

しかしながら、このような場合であっても、一般の人全員があなたを特定できる必要はないとされており、もっと狭い範囲の人が、あなたを対象としている誹謗中傷であることが理解できればよいとされています。

したがって、「○○店の○○」のように、店名が特定されて源氏名が記載されていた場合などには、お客さんや同じ店の従業員には、あなたに対する誹謗中傷であることが明らかに理解できれば、同定可能性があるとされるケースもあるということです。

具体的にどの程度の特定があれば、「同定可能性」があるといえるかは、裁判例の基準に照らした専門的な判断となり、ケースバイケースの対応となりますので、弁護士などの専門家に相談するのがよいでしょう。

権利を侵害しているか

ネット上の書き込みが、何らかの権利を侵害されているといえることが必要となります。

インターネット上の書き込みの問題で、よく問題となる権利侵害は、次のようなものです。

☛ 名誉権
☛ プライバシー権
☛ 肖像権
☛ 営業秘密(不正競争防止法など)

いずれも、法律や裁判例で、権利として認められたものであり、この権利に対する侵害があれば、弁護士にご依頼いただくことで、書き込みの削除、書き込みをした者の特定など、法的な救済を行うことが可能となります。

対象者の側に非がないか

インターネット上の書き込みによって、あなたの権利が侵害されたとしても、これが違法と評価されないケースがあります。

典型的には、あなたの側に非がある、といった場合や、他に優先すべき権利、利益が存在するといった場合です。

例えば、次のようなケースでは、違法性が阻却されないかを検討すべきです。

ケース①:法人の製品クレームの事例
自社の製品に対するクレームがインターネット上に拡散され、製品の売り上げが落ちたが、その原因は、自社の製造工程に問題があったためであって、このまま放置しておいた場合には、製品の使用者の生命を害する可能性があった。

ケース②:個人の前科の事例
インターネット上に犯罪歴についての書き込みがされ、それが原因で内定を得ていた会社から内定を取り消されてしまったが、つい最近犯した犯罪であり、執行猶予期間も経過していなかった。

法的な対応をすることが逆効果とならないか

ここまでの検討で、「あなたの」「権利侵害が」「違法である」と評価される状態である場合には、弁護士に依頼すれば法的な対応が可能となります。

弁護士が行うことのできる法的な対応としては、


1.書き込みを削除すること
2.書き込みをした人を特定すること

の2つです。また、刑事責任を追及するため、警察への告訴を行うという手段も検討するべきでしょう。

しかしながら、法的な対応を弁護士に依頼することが、かえって逆効果となるケースがあります。

感情的な対立が激しく、法的な対応をすることでかえって再炎上する、というケースがその典型です。

2ちゃんねるなど、一部の掲示板では、弁護士が対応する場合であっても、削除をした事実が公開される場合があります。また、一般に公開されなかったとしても、削除請求を行うと、書き込み者に対して、サーバ会社から問い合わせが入ることが、法律で定められています。

書き込み者がこのようなあなたの削除に向けた動きを知ったとき、注意して慎重に行わなければ、かえって削除を行ったことが感情を逆なでし、さらなる状況の悪化につながるおそれもあります。

まとめ

今回は、インターネットの誹謗中傷などの書き込み問題について、削除請求、発信者情報開示といった、弁護士が行うことのできる法的対応を行う前に、事前に注意、検討しておくべきポイントを解説しました。

IT問題の経験豊富な弁護士は、これらの検討事項を、過去の実例に照らして説明することができますので、現在のあなたの状態で、最も適切な解決方法について、相談してみるとよいでしょう。

弁護士に依頼して実際に対処する方法にどのようなものがあるかは、こちらの記事も参考にしてください。

(参考)ネットで誹謗中傷され、名誉・プライバシーを侵害された場合の5つの対応

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