振り込め詐欺事件の昨年の被害総額は分かっているだけでも400億円にのぼると言われています。
そこで、犯罪防止効果を期待して、振り込め詐欺事件は、近年特に重く処罰される傾向にあります。
詐欺であると知っていて行なっていた場合はもちろん、自分の知らないうちに会社ぐるみの詐欺犯罪に加担させられてしまっていた場合もあります。初犯であっても実刑となり、刑務所行きになることも少なくありません。
もし、巻き込まれてしまった場合には早い段階で弁護士に相談することが重要です。知らないうちに詐欺をしていたということのないよう、今回の解説を参考にしてください。
以上を踏まえ、今回は振り込め詐欺について、刑事弁護に強い弁護士が解説します。
刑事事件はスピーディな対応が重要です!
もし、あなたの家族、友人、親族が、刑事事件で逮捕、勾留などの身柄拘束を受けた場合には、刑事事件の得意な弁護士にすぐ相談をしましょう。刑事弁護を開始するタイミングが早ければ早いほど、身柄拘束が短期で終了し、示談成立、起訴猶予などの、有利な結果を獲得できる確率が上がります。
日本の刑事司法では、起訴された場合の有罪率は99.9%と言われており、捜査、起訴と進んだ場合には、手遅れとなりかねません。前科が付き、その後の人生を崩壊させないために、早期の刑事弁護が重要です。
このページの目次
「かけ子、受け子、出し子」ってどのような罪になるの?
振り込め詐欺は、大きく分けて「かけ子、受け子、出し子」の3つの役割に分担され、その3つの役割の一連の流れのことを振り込め詐欺と言います。
この3つの役割はそれぞれ罪が異なり、個別の犯罪として処罰され、「かけ子、受け子」は詐欺罪、「出し子」は窃盗罪として処罰されます。
もちろん、刑罰の大小も対象となる犯罪によって異なるため注意が必要です。
「かけ子」とは
「かけ子」とは、振り込め詐欺などの犯罪で、電話をかけて相手を騙し、お金を振り込ませる役割のことを言います。
主なものとして、身内であると信じ込ませるケースがありますが、近年では様々なタイプが存在し、警察や公的機関であると偽りお金を振り込ませる手口も急増しています。
かけ子は、詐欺罪にあたり、詐欺罪の刑罰は、1ヶ月以上10年以下の懲役と定められています。
一般的な相場は1〜3年程度が多く、執行猶予が付くこともあります。しかし、既に解説した通り、近年では重く処罰されてしまうこともあり、初犯であっても執行猶予が付かない場合も十分に考えられます。
「受け子」とは
「受け子」とは、直接現金を受け取る役割のことをいいます。
息子などの身内の知人であると偽り、お金を受け取るケースが多いですが、最近では実在の企業や公的機関の名を語るなど、一見では判断の難しい巧妙な手口も増えてきています。
「受け子」は「かけ子」と同様に詐欺罪にあたり、刑罰も1ヶ月以上10年以下の懲役となります。
「出し子」とは
出し子とは、振り込め詐欺などの犯罪で利用された預金口座から現金を引き出す役割のことをいいます。
犯罪の増加に伴って、出し子を利用する手口も巧妙化してきており、出し子本人はそれが犯罪であると伝えられないまま、知らずに犯罪に加担しているケースも多いです。
出し子は窃盗罪にあたり、窃盗罪も刑罰は1ヶ月以上10年以下の懲役又は50万円以下の罰金となっています。
出し子は、他のかけ子や受け子と違い詐欺に加担していると知らないケースもあるので、無罪を主張したり、刑が軽く済むと甘く見ていたりするケースが多いようですが、事件の状況によっては、もちろん重く判断される場合もあります。
「出し子」に過ぎないからといって甘くみてはいけません。
働いていた会社が振り込め詐欺のアジト!逮捕されてしまう?
振り込め詐欺が、表立って「振り込め詐欺です。」と宣伝して求人をすることはないので、普通の会社だと思って就職してしまったというケースもないわけではありません。
振り込め詐欺を行なった実行犯であれば当然逮捕されます。
仮にバイトとして協力していたに過ぎない場合でも、詐欺の共同正犯として逮捕されてしまう場合があります。
必ず処罰されてしまうの?
勤めていた企業が仮に詐欺グループのアジトだったとしても、場合によっては詐欺罪や窃盗罪の「故意」が認められないケースもあります。
故意とは、端的に言えばそれが詐欺であると知っていて協力したかどうかということです。
犯罪の立件において故意であるかどうかは重要な位置づけであり、もし犯罪の故意があると認められない場合には無罪となるため、不起訴処分で釈放されることとなります。
また、犯罪への関与の度合いが少ないと判断される場合には、処罰されないで済むこともありますし、最悪処罰されてしまったとしても程度の軽い刑罰で済むことが期待できます。
初犯の場合でも、実刑判決になるの?
近年では振り込め詐欺に対して重い刑罰を科す傾向にあります。
実行犯であった場合は、たとえ初犯であっても実刑判決となる可能性があります。
また、出し子の場合であっても軽く見ることはできません。初犯でも罰金で済むケースは少なく、起訴されることが多いため、懲役刑を求刑されることが多いです。
もっとも、事案によっては執行猶予が付くケースもあります。
振り込め詐欺事件で「執行猶予判決」を得るためには、以下のような条件が重要な考慮要素であると言われています。
・被害弁償や示談を十分に行うこと
組織内での立場が低ければ、悪質性が低いと判断されることがありますし、被害弁償や示談を十分に行えば、その後の処罰において有利な情状として考慮されます。
また、犯罪の温床を断つという意味でも、自首や犯罪グループの摘発に協力した場合には、減刑されるケースもあります。
5.まとめ
振り込め詐欺犯罪が、今もなお増加傾向にあります。
また手口も巧妙化してきているため抑止が難しいというのが現状です。
そのため、逮捕されたときには通常よりも重い刑罰が科せられる可能性が非常に高いです。
安易な考えで犯罪を行わないことはもちろんですが、犯罪に巻き込まれてしまわないように十分に注意をすることが重要です。
また、実際に犯罪に巻き込まれてしまった場合には、すぐに弁護士など法律の専門家に相談することをおすすめします。
刑事事件はスピーディな対応が重要です!
もし、あなたの家族、友人、親族が、刑事事件で逮捕、勾留などの身柄拘束を受けた場合には、刑事事件の得意な弁護士にすぐ相談をしましょう。刑事弁護を開始するタイミングが早ければ早いほど、身柄拘束が短期で終了し、示談成立、起訴猶予などの、有利な結果を獲得できる確率が上がります。
日本の刑事司法では、起訴された場合の有罪率は99.9%と言われており、捜査、起訴と進んだ場合には、手遅れとなりかねません。前科が付き、その後の人生を崩壊させないために、早期の刑事弁護が重要です。