口座の売買、携帯の名義貸しは犯罪行為?投資詐欺やオレオレ詐欺を助長する犯罪


補助金・助成金

特殊詐欺の場合、多くの犯罪者がチームになって犯罪行為を完成させるため、警察も容易に全員を捜査、逮捕することは困難であるといわれています。

ただ、最終的には被害者から被害金を奪い取らなければならず、また、被害者と連絡を頻繁にとらなければならない手口が多いです。そのため、最終的には、携帯、口座が、公にしてもよいものが必要となります。

そこで編み出された手口が、携帯の名義貸し、他人契約、口座の売買といった方法で、犯人までたどり着くことのできない口座、携帯を入手することです。

したがって、これらの携帯、口座を提供する行為も、犯罪として処罰される可能性の非常に高い行為です。つい、友人、知人、先輩の頼みで、携帯や口座を他人に譲渡してしまったり、名義を偽って口座を開設し、携帯を契約してしまったという経験がある場合、犯罪行為として逮捕されるおそれがありますので、早急に対応する必要があります。

刑事事件はスピーディな対応が重要です!

もし、あなたの家族、友人、親族が、刑事事件で逮捕、勾留などの身柄拘束を受けた場合には、刑事事件の得意な弁護士にすぐ相談をしましょう。刑事弁護を開始するタイミングが早ければ早いほど、身柄拘束が短期で終了し、示談成立、起訴猶予などの、有利な結果を獲得できる確率が上がります。

日本の刑事司法では、起訴された場合の有罪率は99.9%と言われており、捜査、起訴と進んだ場合には、手遅れとなりかねません。前科が付き、その後の人生を崩壊させないために、早期の刑事弁護が重要です。

特殊詐欺とは?

特殊詐欺とは、現代に編み出された、オレオレ詐欺を初めとした、複雑巧妙な手口による詐欺をいいます。

特殊詐欺の特徴は、「劇場型」で、「被害者のメリットを提供」して、お金を奪い取ることにあります。

たとえば、次のような演技を、犯人グループが役割分担をしながら演じ分け、さもお金が必要である、もしくは、さもお金が儲かるように装い、結果的には被害金をだまし取ります。

☛ 息子が交通事故に遭い、示談のために早急にお金が必要である(振り込め詐欺)
☛ インターネット上のアダルトサイトを利用したとして金銭を請求する(架空請求詐欺)
☛ 税務署などの公的機関を装い、振込をすれば還付金があるかのように装う(還付金詐欺)
☛ 必ず儲かる株を購入する権利があたったとして振り込ませる(金融商品取引詐欺)

被害金の受け取り方法は、振込による方法、レターパックで現金を送付させる方法、直接手渡しさせる方法などがありますが、いずれにしても、犯罪の道具として、名義からは犯人が特定できない銀行口座、携帯電話が必要となってきます。

特殊詐欺を手助けする口座、携帯電話の不正取得

捜査技術の進展から、犯罪で使用する携帯電話、口座が犯人名義のものであれば、特殊詐欺の犯人グループを簡単に検挙することが可能となります。

そのため、犯人グループとしても、他人名義の銀行口座、携帯電話を入手しなければなりませんが、次に説明する通り、他人に譲渡する目的で銀行口座を開設し、携帯電話を契約し、これを特殊詐欺の犯人に譲渡することは、犯罪となります。

なお、特殊詐欺に利用するという使用目的を知らなかった場合であっても犯罪になりますが、特殊詐欺に利用するという目的を知っていた場合には、詐欺罪自体の責任(もしくはその幇助)として、さらに重く処罰される可能性があります。

口座、携帯電話の不正取得に対する処罰

口座、携帯電話の不正取得に対する処罰は、次の通りです。

金融機関ないし携帯電話会社が、他人に譲渡したり、名義を偽って契約したりすることを禁止しており、他人に譲渡したり名義を偽っていたりした場合には契約を成立させないであろうと考えられることから、この意図をあえて隠して契約することが犯罪となるのです。

他人名義、もしくは、架空の名義の口座を契約した場合

詐欺罪として、10年以下の懲役となります。

他人名義であることを金融機関が知っていれば契約しなかったところ、この意図を秘匿して契約したことにより、通帳、カード等をだまし取ったことが理由となります。

不正に利用する目的で作成した口座を譲渡された場合

盗品譲受等罪として、3年以下の懲役となります。

他人名義、もしくは、架空の名義の携帯を契約した場合

他人名義の口座契約と同様、他人名義であることを携帯会社があらかじめ知っていれば契約をしなかったところ、この意図をあえて秘匿して契約したことにより、携帯電話をだましとったことが理由となります。

犯罪による収益の移転防止に関する法律

特殊詐欺などの犯罪を行った犯人が、犯罪で得た利益を保持し続けることを困難とするため、犯罪による収益の移転防止に関する法律によって、犯罪収益の移動はより厳しく処罰されています。

この法律によれば、次の行為は、1年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金となります。

・ 自分の口座を譲り受けたり、譲り渡したりする行為
・ 他人名義の口座を譲り受けたり、譲り渡したりする行為
・ 口座の譲渡をするように人に働きかけたり、インターネット上で募集をかけたりする行為

携帯電話不正利用防止法

特殊詐欺をはじめとした犯罪には、携帯電話が不可欠であるところ、他人名義の携帯を入手する手段として「トバシ携帯」などが問題となったことを受け、携帯電話の不正利用を防止するために携帯電話不正利用防止法が定められています。

この法律によれば、次の行為は、50万円以下の罰金となります。いずれも、軽々しく行ってしまいかねない行為であり、注意が必要です。

・ 携帯電話の契約時に、氏名、住所及び生年月日について虚偽の申告をする行為
・ 他人名義の携帯電話を、譲り受けたり、譲り渡したりする行為
・ 携帯電話の譲渡をするように人に働きかけたり、インターネット上で募集をかけたりする行為

「自分は関係が薄いから・・・」と軽く考えない!

携帯を友達に少し貸す、というのはよくあることでしょう。

携帯を譲渡することも、同様に軽い行為であると考えがちです。もちろん、友人がなんの問題も起こさなければ、突然逮捕される、といったケースはまれでしょうが、借りた友人が特殊詐欺のグループの一員である可能性は誰にも突然降りかかってくることです。

犯罪収益移転防止法、携帯電話不正利用防止法によれば、不正な口座や携帯電話については、譲り受ける行為も、譲り渡す行為もいずれも処罰の対象としています。

そのため、「ちょっと○○に渡しておいてほしい。」と言われて、受け渡しを仲介しただけであっても「関係ないから」とはならず、処罰される可能性もあるということです。

刑事事件はスピーディな対応が重要です!

もし、あなたの家族、友人、親族が、刑事事件で逮捕、勾留などの身柄拘束を受けた場合には、刑事事件の得意な弁護士にすぐ相談をしましょう。刑事弁護を開始するタイミングが早ければ早いほど、身柄拘束が短期で終了し、示談成立、起訴猶予などの、有利な結果を獲得できる確率が上がります。

日本の刑事司法では、起訴された場合の有罪率は99.9%と言われており、捜査、起訴と進んだ場合には、手遅れとなりかねません。前科が付き、その後の人生を崩壊させないために、早期の刑事弁護が重要です。


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