万引きの示談を進め、不起訴、釈放を勝ち取るための方法


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私たちの身近に、犯罪はいろいろと起こっています。その中においても万引きという犯罪は頻繁に起こる犯罪の一つと言っても過言ではないでしょう。

たしかに、万引きが発見されても必ずしも逮捕されるとは限りません。また、逮捕されたからといって必ずしも裁判になるわけでもないのも事実です。

しかし、いったん起訴されてしまうと、かなり高い確率で有罪になってしまいます。

残念ながら万引きを行ってしまった場合に、被害者との間で示談ができれば、有利な結果が期待できます。

逮捕・勾留されている場合であっても、示談が成立していれば釈放される可能性が高まりますし、捜査が進んでいる状況でも、不起訴処分となる可能性が高くなります。

そこで、被害者と早期に示談交渉をすすめ、不起訴処分を勝ち取ることが大切なのです。

今回は、万引き事案における、示談交渉の重要性と進め方について、刑事弁護に強い弁護士が解説してまいります。

刑事事件はスピーディな対応が重要です!

もし、あなたの家族、友人、親族が、刑事事件で逮捕、勾留などの身柄拘束を受けた場合には、刑事事件の得意な弁護士にすぐ相談をしましょう。刑事弁護を開始するタイミングが早ければ早いほど、身柄拘束が短期で終了し、示談成立、起訴猶予などの、有利な結果を獲得できる確率が上がります。

日本の刑事司法では、起訴された場合の有罪率は99.9%と言われており、捜査、起訴と進んだ場合には、手遅れとなりかねません。前科が付き、その後の人生を崩壊させないために、早期の刑事弁護が重要です。

逮捕されてから起訴されるまでの流れ

あなたやあなたの家族の万引きが見つかった場合、お店の人に、通報されてしまうことがあります。

謝罪し、万引きした品物の金額を支払う、今後お店に近づかないことを誓約するなど、十分反省していると被害店舗の店長などに思ってもらえれば通報されることはないでしょう。

しかし、昨今、万引きが多発し、店の存続にも関わるような被害を受けている店舗も少なくない、という現状があります。

そのため、お店によってはいかなる事情があろうとも、すぐに警察に通報するという方針をとっているところもあります。店や、その運営している会社が、「万引き=通報」と方針を確定している場合には、同情を引いたり謝罪したりしても、結果が変わらないことがほとんどです。

万引きを行ってしまい、警察に通報され、逮捕されてしまった場合の、手続の流れについて、はじめに解説してまいります。

警察での取調べ

万引きを行い、警察に逮捕された場合には、まずは警察で取調べを受けます。

警察の段階で、微罪であったり、「送検」といって検察官に送るまでの必要はないと判断されれば、釈放されることもあります。

警察の段階で釈放されるかどうかは、万引きの金額、万引きの回数によって警察が判断することとなります。

検察による取調べ

万引きを犯してしまい、警察が送検の必要ありと判断した場合には、逮捕後48時間以内に検察官に送られます。

そして、送検後24時間以内に検察官が「勾留」請求をすると、警察の留置所に留置されて、取調べを受けることになります。

この間の取調べの内容や、証拠の内容から、あなたや、ご家族の行った万引きがどれほど悪質であるかを判断し、勾留後10日以内に検察官は、起訴するかどうかを決定するのです。

10日で捜査が終了しないような難解な万引き事案の場合には、さらに10日間勾留期間が延長されることもあります。

つまり、逮捕後の身柄拘束期間は最大で23日にもなることは覚えておきましょう。

検察官が起訴か不起訴を判断

万引きを起こして検察に捜査をされていても、検察官が「不起訴処分」とした場合には釈放されることになります。

万引きで起訴されてしまうと、刑事裁判で判決が下されます。

万引き事件の場合には、判決が下される場合、窃盗罪として、懲役刑(10年以下)か罰金刑(50万円以下)が下されることになってしまいます。

また、裁判の種類には「略式起訴」という処分もあります。万引き事案で略式起訴となる場合には、罰金刑となります。

万引きの場合には、微罪で、本人が認めているケースも多く、「軽微である。」と判断してもらえれば、略式起訴になることもよくあります。

略式起訴とは、裁判所での期日が開かれない簡易な処分のことです。略式起訴処分となった場合には、刑罰だけが裁判官によって下されます。もっともこの場合にも、前科自体はついてしまいます。

不起訴にするための示談の進め方

万引きで逮捕された場合、上記で説明しました通り、検察官が起訴するかどうかの判断をします。

万引きで起訴されるか不起訴処分になるかの分かれ目は非常に重要です。

日本の刑事裁判の統計上、起訴された場合には99%以上のかなり高い確率で有罪になってしまうからです。

では、不起訴処分にするには、どのような弁護方法をとればよいのでしょうか。この万引きの不起訴処分を勝ち取る際、もっとも重要となるのが、「万引きの示談」なのです。

不起訴処分にするための示談の進め方について、刑事弁護人の立場から、具体的に説明します。

示談の成立を最優先に!

まず、万引き事件について、万引き被害者との間で示談の話し合いを行う際には、「示談の成立を最優先に!」という考え方が重要です。

当たり前のことを言っているように思いますが、刑事弁護人の側からは示談が最優先であるものの、万引き被害者としてはそうではありません。

万引き被害者としては、次に検討するように、被害品の買い取り、慰謝料、賠償、謝罪など、さまざまな要求があるからです。

既にここまで読んでいただければお分かりのとおり、万引き事件において、示談の成立が非常に重要です。そのため、できる限り万引き被害者の要求を受け入れたうえで、示談の成立を最優先に目指しましょう。

「万引き事件について、犯人を許し、軽く処罰してほしい。」という内容の嘆願書を書いてもらえると更によいのですが、万引き被害者によっては、示談はしても嘆願書までは書きたくないという人もいます。

この場合も「示談が最優先」の考え方にしたがいます。示談だけでも成立させて、示談書を取り交わすことが大切です。

なぜなら、検察官が、万引き事件を起訴するか不起訴にするかを決定する際、示談が成立しているかどうかという点も、大きな判断要素となるからです。仮に嘆願書がない場合であっても、示談が成立していれば、不起訴処分を得られる可能性は高くなります。

万引き被害者、被害店舗へ謝罪に行き、示談の話合いに成功した場合には、その場で嘆願書と示談書を書いてもらうこと、嘆願書が無理でもせめて示談書だけでも取り交わすことが大切なのです。

示談金を支払った証拠を残す

万引き事件について示談を成立させた場合、示談金を実際に支払った、という証拠を残すことも大切です。

示談書を締結できたとしても、示談金が、示談書のとおりに支払われなければ、検察も裁判所も、示談が成立したとは評価してくれないからです。

示談が成立したことに加え、示談書にしたがって示談金を支払ったことを証明しなければいけない責任は、その事実を有利な情状として利用したい被疑者(あなた)の側が負います。

万引きの示談金を、振込みにする場合には振込明細票等を検察官に提出します。

示談の場で現金で支払いをした場合には、領収証を発行してもらいます。

これらの示談書や嘆願書、領収証などの書類は、示談の話合いに赴く際に、弁護人が事前に用意していくべきです。

示談の場では、万引き被害者にできるだけ負担や手間をかけない、という姿勢が重要です。万引きの被害にあった上に、示談の手続きが面倒だということになると、示談をする気がうせてしまいかねません。

万引き被害者は署名押印だけすれば済むように必要十分な書類をそろえて示談に臨みましょう。

万引き被害者に「嘆願書」を書いてもらう

万引き事件で、不起訴処分を獲得するために最も効果的なのが、万引き被害者に嘆願書を書いてもらうことです。

「嘆願書」とは、万引き犯人を不起訴にしてください、刑を軽くしてください、寛大な処分をお願いします、などを内容とする、検察官宛ての書類です。

嘆願書を万引き被害者に書いてもらい検察官に提出することができれば、不起訴処分の確立が上がります。

たしかに、通常の感覚では被害者に嘆願書を書いてもらうことは難しいのではないかと思われるかもしれません。しかし、以下でご説明するような方法をとれば、決して不可能ではありません。

嘆願書を書いてもらうには、なんと言いましても万引き被害者の被害感情が低くなっていることが必要です。そこで、最も重要なことは被害者と示談を進めるということです。

示談とは、被害弁償金や慰謝料などの損害賠償金を支払うことにより、民事的に問題を解決することです。

示談をするためには、万引きで逮捕されたあと、すぐに被害者に連絡を入れて示談交渉を開始することが不可欠です。

注意したいのは。万引き犯人の家族等が直接被害者に対し連絡をとるのはトラブルのもとであるという点です。弁護士に示談交渉を任せるという方法が最適でしょう。

被害者の連絡先を入手したら、万引き犯人が書いた謝罪文を、被害者に読んでもらいます。謝罪に赴いた際、被害者に対して被害弁償金や慰謝料の支払を提案して、可能であれば、その場で示談書と嘆願書を書いてもらうのがよいでしょう。

万引き被害者側から被害品の買取りを求められた場合

万引きの被害品を買取るよう求められるのは、主に万引きが未遂に終わった場合や、被害品を返してもらっても、商品として販売することが困難な場合が考えられます。

このような場合には、用意できる金額であれば現金で買い取るのがよいでしょう。これにより、万引き被害者の処罰感情が薄れ、示談の成立に成功するケースも考えられます。

万引き犯人が被害品を第三者に譲渡してしまった場合には、犯人側で第三者から買い戻しの手続きをとり、被害者に返還するという方法が考えられます。

例えば、金銭的価値は高くないものの、被害者にとっては想い出の品であったり、代替の効かないものである場合にこの方法は有効です。

示談が難しい場合

以上のとおり、万引き事件を起こしてしまって、不起訴処分を獲得するには示談を成立させることが最良の方法のひとつです。

しかしながら、万引きの場合、被害感情が非常に強いことがあります。

万引き被害者が示談に積極的ではない場合には、どれだけ犯人側が誠意を示しても、示談に応じてもらえないことがあります。

また、そもそも店の方針により、示談を一切受け付けないところもあります。

万引き被害者が示談に消極的な場合に、不起訴処分を獲得するためにどのような方法をとればよいのでしょうか。

被害者が示談に応じない場合には、万引き事件を起こした本人が心から反省していることを検察官に伝えることが大切です。

身元引受人となる本人の家族等が監督するので、二度と同じ過ちは犯さないということを説得的に説明する必要があります。

具体的には、本人が書いた反省文を検察官に提出すること、家族が今後本人を監督していく具体的な方法についても、きちんと計画を立てて説明することが重要となります。

釈放してもらうための示談

被害者との示談は、逮捕、勾留といった身柄拘束をされている場合には、特に重要となります。

このとき、万引きの示談は、不起訴処分を勝ち取るためという目的だけでなく、身柄拘束から釈放してもらうために非常に重要な要素となります。

逮捕、勾留という身柄拘束の目的は、逃亡と証拠隠滅の防止にあります。

万引き事案の場合、示談が成立していない状態では、逃亡の可能性が高く、また、被害店舗に行って証拠隠滅をする可能性が高いと評価されてしまいます。

したがって、万引き事案で逮捕、勾留など身柄を拘束されている場合には、示談を成立させることのできるよう、急ぐ必要があります。

起訴された場合にも、示談は必要?

万引きで逮捕された場合に、釈放や、不起訴処分といった有利な結果を勝ち取るために、示談が重要な意味をもつことは前でのご説明した通りです。

では、起訴されてしまった場合には、「示談は不要」なのか、というと、そうではありません。

万引きで起訴されてしまった場合、示談を成立させることはどのような意味をもつのでしょうか。万引きで起訴されてしまった後でも、示談交渉を諦めずに行う、という姿勢が重要です。

万引きで起訴されてしまった後であっても、「示談が成立した」という事実は、裁判において有利な情状と判断されるからです。

特に悪質な万引き(万引きの被害額が大きい、万引きの回数が多い、前科があるなど)の場合には、示談を成立させることが、執行猶予を勝ち取るために非常に重要となります。

起訴前の段階では高かった、万引き被害者の処罰感情も、事件から暫く時間が経った起訴後には和らいでいることが少なくありません。

したがって、起訴された後でも、後半の直前まで、場合によっては公判終了後も根気よく、示談交渉を進めていくことが大切です。

なお、示談が成立しなかった場合でも、「示談状況等報告書」といって、示談の経過を弁護人がまとめた報告書を、裁判所に提出することが実務上は、よく見られます。

まとめ

今回は、あなたやあなたの大切な家族が万引きで逮捕された場合の刑事手続きの流れと、各段階における示談のもつ意味とその重要性について解説しました。

刑事弁護人として、万引き事案の示談を多く獲得してきた弁護士が、示談の進め方について解説しました。

万引きで逮捕された際の示談交渉は早期かつ丁寧に根気よく、ということが重要です。

万が一あなたや、あなたのご家族が万引きを行ってしまった場合、示談交渉を得意とする弁護士に、できるだけ早い段階で相談に行くことが大切です。

刑事事件はスピーディな対応が重要です!

もし、あなたの家族、友人、親族が、刑事事件で逮捕、勾留などの身柄拘束を受けた場合には、刑事事件の得意な弁護士にすぐ相談をしましょう。刑事弁護を開始するタイミングが早ければ早いほど、身柄拘束が短期で終了し、示談成立、起訴猶予などの、有利な結果を獲得できる確率が上がります。

日本の刑事司法では、起訴された場合の有罪率は99.9%と言われており、捜査、起訴と進んだ場合には、手遅れとなりかねません。前科が付き、その後の人生を崩壊させないために、早期の刑事弁護が重要です。


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