突然の暴行事件、傷害事件の被害にあったとき、治療費や慰謝料はどのように請求できるのでしょうか?
また加害者から示談交渉をもちかけられたときに気をつける点はどのようなところでしょうか?
突然、暴行事件、傷害事件に巻き込まれた場合、加害者のことが許せないという感情が強く、加害者の代理人である弁護士から示談金の提案があっても、ただちにこれに合意はしづらいと思います。また、相手は弁護士であり、法律と交渉の専門家ですから、「示談金を相場より安く抑えようとしているのではないか?」「騙されて安い金額に交渉されているのではないか?」という不安、疑問が消えないでしょう。
暴行、傷害事件で思わぬ不利益を被った場合、少しでもその被害を回復するために大切なポイントについて解説していきます。
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刑事弁護とは、犯人だけのものではありません。今まで忘れ去られてきた被害者の支援へ、精神的、心理的なサポートも含めて、刑事弁護に詳しい弁護士がきめ細やかに対応します。
このページの目次
暴行事件、傷害事件とは
暴行罪とは
暴行罪とは、殴る、蹴るといった行為や、包丁を振り回すような行為で処罰される罪のことをいいます。
傷害罪とは
傷害罪とは、被害者が何らかの傷害を負った時にその行為によって処罰される罪のことをいいます。
暴行罪、傷害罪の示談とは
裁判によらずに当事者同士で事件を解決することを「示談」といいます。
暴行事件、傷害事件の示談では、被害者が被害届や告訴状の提出をしないことや、既に提出した被害届や告訴状を取り下げることを条件に、加害者が被害者に対してお金を支払うというケースが多いです。
また、示談金は民事の損害賠償であり、刑事の罰金刑とは目的が異なります。
被害者が示談金を受け取ったとしても、さらに略式請求をされれば、罰金刑となって国に対してお金を支払う必要があります。
暴行事件、傷害事件の示談金の相場
示談をする際の示談金は、内容としては治療費や慰謝料といった名目になるでしょうが、具体的な金額については当事者同士の話し合いで金額が決まります。
暴行事件、傷害事件の示談金の金額相場は、一般的には10万円~30万円でしょう。
傷害事件の方が暴行事件よりも高額になるケースが多く、継続的な通院や入院が必要な場合、後遺症が生じた場合には増額請求できる可能性があります。
逆に、自分にも落ち度がある場合は、ケガをしたのが自分だけだとしても、過失割合分を差し引かれる場合があります。
もちろん、ケースバイケースでこれより高額になる場合もあれば、低額になる場合もあるでしょう。
示談の金額に影響する要素は以下のとおりです。
☛ 被害者の処罰感情の強弱
☛ 被害の程度
☛ 加害者の経済力や社会的地位
示談金を受け取るまでの流れ
被害届を出す
暴行を受けたら、まず警察署に被害届を出します。
被害届を出さずに示談金を受け取った場合、警察官による捜査が始まりません。
厳しく処罰してもらうためには、被害届を必ず出し、被害感情をアピールするようにしましょう。
加害者側に連絡先を伝える
加害者が示談を望む場合は、加害者側が警察官や検察官を通して被害者の連絡先を尋ねてきます。
あなたが示談をしたい場合には、連絡先を教えるように依頼するとよいでしょう。
なお、暴行、傷害を再び繰り返されることをおそれる場合には、弁護士限りで加害者本人には連絡先を教えないことを条件とすれば、加害者本人に連絡先を知られることはありません。
加害者側から連絡
加害者の弁護士から電話や手紙で、謝罪の言葉や示談したい旨が伝えられます。その際に示談の内容まで伝えられる場合もあります。
その後、示談の具体的な条件を話し合うため、加害者の弁護士と会う約束をします。
示談交渉
加害者から提示された示談金や条件で納得できない場合には、交渉を続けます。
合意
示談の内容につき合意が成立したら、被害者と加害者で示談書を作成します。
加害者はこの示談書を検察庁や裁判所に提出することによって、刑を軽くするようお願いすることとなります。
示談が成立していると、初犯の多くは不起訴処分で終わり、前科がつかないケースがほとんどです。また、万が一裁判となった場合にも処分が軽くなることが多いです。
今後の刑罰に大きく影響することをよく考えて示談金を検討するとよいでしょう。
より高額な示談金を獲得するために
早期の示談成立
加害者が逮捕された場合は、逮捕されてから、勾留という身柄拘束を経て、逮捕日から23日後までに、起訴されるかどうかが決まります。
加害者、加害者の弁護士は、なるべく起訴前に示談を成立させ、不起訴に持ち込みたいと考えます。
つまり、加害者の示談のメリットは起訴前の方が大きいので、起訴前に示談を成立させた方が希望の示談金を引き出せる可能性が高まります。
増額すべき事実を摘示
今回の暴行事件、傷害事件で、示談金を高くすべき事情を具体的に説明します。
被害者はどのような暴行をされたと認識しているのか、どのような精神的苦痛を受けたのかを主張します。
もしかすると、加害者が自分の弁護士に本当のことを言っておらず、暴行の内容や方法について、加害者の弁護士は正確に理解をしていないかもしれません。
弁護士に依頼する
示談のため日程調整、加害者側の弁護士との交渉を弁護士に任せることで、被害者に有利な内容で、早期に示談を成立させる可能性が高まります。
被害者が弁護士に依頼するメリット
加害者側からの直接の連絡を遮断できる
思い出したくもない事件の場合、被害者は大きなストレスを抱えます。
そんな時に弁護士が交渉の窓口となれば加害者側から直接被害者へ連絡が来ることはありません。
もちろん、加害者が再び暴行、傷害を行う危険性が高い場合には、直接交渉をしてしまえば連絡先を知られてしまいますので、弁護士に依頼するメリットが高いケースといえます。
事情聴取の同行、同席
被害者の方も警察署、検察庁に呼ばれて事情聴取を受けます。
弁護士に依頼すれば、事前に取調官に伝えるべき事情を整理し、事情聴取に同行して、不当な事情聴取による二次被害が予想される場合には抗議するなどのサポートができます。
まとめ
暴行罪、傷害罪の示談金の相場は10万円〜30万円が一般的ですが、被害者が被った精神的苦痛や、傷害の程度が大きければ、増額になる可能性もあります。一方で自分に落ち度があった場合は減額になる可能性があります。
また、起訴前における示談は、有利な結果を引き出すことができる可能性が高いため、相場を踏まえ、専門家に相談するのがよいでしょう。
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