インターネットが一般に普及し、誰でも気軽に、自分の意見や情報をインターネット上で発信できるようになりました。
特に、2ちゃんねるなどの匿名掲示板では、匿名であることの手軽さから、自分の責任をあまり気にすることなく発言することができ、自由な議論が活発に行われています。
ただ、インターネットは完全な匿名ではありません。2ちゃんねるなど匿名性の高い掲示板であっても、発信者情報を裁判などで特定することが可能です。
そのため、インターネット特有の手軽さ、気軽さから、軽い気持ちで書いた投稿が名誉棄損にあたるという事件が多く発生し、訴訟トラブルとなるケースも増加しています。
今回は、2ちゃんねるの投稿が名誉棄損となった場合、慰謝料を請求する方法と相場について、弁護士が解説します。
IT問題に強い弁護士に法律相談!
IT技術の進歩に伴い、法律は徐々に整備されつつありますが、まだ新しい分野について法律が十分な状態ではありません。
ITに関係する事業、技術、行為が適法であるかを知りたいIT企業、ネット上の誹謗中傷等のトラブルにお困りの方は、ITに詳しい弁護士へ法律相談ください。ITを熟知した弁護士が、徹底的にリーガルサポートします。
このページの目次
2ちゃんねるの名誉棄損を発見したら?
2ちゃんねるで名誉棄損の投稿を発見したら、どのように対処したらよいのでしょうか。
まず、そもそも名誉棄損がどのような場合に成立するのかを知っておく必要があります。名誉棄損には、民事事件となる場合と刑事事件となる場合があり、それぞれ注意すべきポイントが異なります。
詳しくは、こちらの解説をご覧ください。
2ちゃんねるの名誉棄損が、民法上の不法行為に該当する場合には、違法行為として、損害賠償(慰謝料)を請求することができます。
2ちゃんねるのように匿名性の高い掲示板の場合には、情報を削除したり慰謝料を請求したりする場合にも、専門的な知識が必要となる場合もあります。同様の問題を多く扱っている弁護士に相談するのがよいでしょう。
まずは証拠を保全する
2ちゃんねるなどの匿名掲示板において名誉棄損の被害を受けた場合、まずは証拠を保全することが重要です。
というのも、インターネット上の情報を削除することに成功した後では、証拠を保全しておかなければ、名誉棄損の行為があったことを証明することが困難となり、損害賠償請求(慰謝料請求)が認められないおそれがあるからです。
まずは、問題となる2ちゃんねるの投稿を、スクリーンショットでプリントアウトしておくか、写真にとっておくなどの方法によって証拠保全をしておきましょう。
2ちゃんねる名誉棄損の裁判例と、慰謝料の相場
ここでは、2ちゃんねるにおける名誉棄損が問題となった裁判例を、その裁判において認められた慰謝料の金額とともに紹介します。
最近のものを中心にまとめておりますので、2ちゃんねるにおける名誉棄損を原因として慰謝料請求をする際の参考にしてください。
東京地裁平成28年4月11日判決 : 50万円
被告がインターネット上の掲示板である2ちゃんねるに、原告が勤務先でセクハラやパワハラなどをしていると書き込んで名誉を棄損したという裁判です。
原告が330万円を請求していたところ、2ちゃんねるの書込みを見ると、勤務先でのパワハラ、セクハラ、暴力行為、背任行為を行っていると断定しているものであって、社会的評価を低下させるとして、50万円の慰謝料を認めました。
東京地裁平成28年2月9日判決 : 合計約200万円
不動産投資業者である原告が、被告の私生活上の事実(不倫に関する夫婦間のトラブルに関する事実など)を2ちゃんねるに記載したことについて名誉棄損を理由に訴訟となった裁判です。
3人の被告について、それぞれ95万3500円、53万9000円、49万1350円の慰謝料を認めました。また、謝罪広告の掲載を命じました。
東京地裁平成28年2月8日判決 : 88万円
被告が原告に対して、複数人で共同して、メールを送信したり、ブログやツイッター、そして2ちゃんねるへの投稿によって名誉を棄損したという裁判で、88万円の慰謝料が認められました。
東京地裁平成27年9月8日判決 : 111万円
被告が原告に対して、2ちゃんねるにおいて、下品な用語を用いて執拗に(現存する書込みだけでも約1万1000件)名誉棄損行為となる投稿を行ったことについて、慰謝料として111万7094円の支払を命じました。
横浜地裁平成26年4月24日判決 : 170万円
学生が准教授に対して、インターネット上の掲示板である2ちゃんねるで、「楽しそうにハラスメントしてんじゃねーよ」などと書き込んだことについて、社会的評価を低下させたとして、准教授が訴訟を提起しました。
裁判所は、600近い数のサイトへ転載されたことによって大きな精神的苦痛を被ったことを認め、慰謝料として100万円、これに加えて、書き込んだ人物を特定するための調査費用として70万円の、合計180万円の損害賠償を認めました。
大阪地裁平成24年7月17日判決 : 110万円
美容外科医である被告が、おなじく美容外科医である原告に対して、2ちゃんねるの投稿によって名誉を棄損したとして訴訟となった裁判で、100万円の慰謝料、10万円の弁護士費用の、合計110万円の損害が認められました。
なぜ2ちゃんねるの名誉棄損で損害賠償を請求するの?
名誉棄損の行為に対する責任追及は、民事事件とする場合と刑事事件とする場合があることを既に解説しました。
しかし、刑事事件として立件してもらえるかどうかは、警察に相談してみて、警察が動いてくれるかどうかによります。
必ずしも警察が動いてくれるとは限らず、警察が動いてくれない場合には、刑事事件にならないこととなります。更に、警察が動いてくれたとしても、名誉棄損の加害者が謝罪、情報の削除、損害賠償などに応じてくれるとも限りません。
そのため、名誉棄損の加害者に対して慰謝料を請求することによって、負った損害の賠償を請求するわけです。
具体的には、内容証明郵便によってこちらの主張と損害爆を伝え、具体的な慰謝料の金額や支払方法について、話し合いを進めるようにします。
有名人の名誉棄損の慰謝料相場は青天井?
以上で解説したとおり、一般の方が2ちゃんねるなどで名誉棄損の被害を受けた場合には、だいたい数十万円~100万円程度と認定されている裁判例が多く存在します。
ただ、交渉によって解決する場合には、もう少し多めの金額を請求し、和解、示談で解決しているケースも多いです。これは、交渉による話し合いの場合、訴訟による手間がかからずに早期に終了することや、加害者側の譲歩があったケースであるといえます。
これに対し、名誉棄損の対象が有名人の場合には、さらに慰謝料が跳ね上がるケースもあります。
有名人に対する名誉棄損の場合には、それによって生じることとなる損害が多くなるためです。実際、裁判例でも、数百万円の慰謝料を認めたケースもあります。
まとめ
今回は、2ちゃんねるで名誉棄損の投稿をされた場合の応急の対処と、慰謝料の相場についてまとめました。
インターネットが普及するにつれて、オンライン上の名誉棄損のご相談が増えています。特に2ちゃんねるは有名さと手軽さから、名誉棄損の投稿が非常に多くあります。
IT問題に強い弁護士に法律相談!
IT技術の進歩に伴い、法律は徐々に整備されつつありますが、まだ新しい分野について法律が十分な状態ではありません。
ITに関係する事業、技術、行為が適法であるかを知りたいIT企業、ネット上の誹謗中傷等のトラブルにお困りの方は、ITに詳しい弁護士へ法律相談ください。ITを熟知した弁護士が、徹底的にリーガルサポートします。