あるある相談事例集!「相続のトラブルになりやすい3つのケース」


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平穏に日々仲良く暮らしていたはずの家族が、遺産相続のトラブルによってお互いを憎しみあってしまうような話を一度は聞いたことがあると思います。

しかし、これは物語の中だけの話ではなく身近にある問題なのです。

実際に、民事事件として取り扱われる中には、ごく普通の家族が相続をきっかけに骨肉の争いとなり、最悪の場合、絶縁関係になってしまった例も少なくありません。

トラブルを回避するためには、相続の問題を他人ごとではなく自分のこととして捉え、いついかなる場合でも冷静に対処できるように備えが必用です。

今回は、身近に潜む相続問題の中から、特に注意すべき3つの事例を紹介し、それぞれのトラブルの原因となりやすい箇所について解説したいと思います。

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遺言・遺産相続の問題は、当事者だけで解決しようとすると争いが拡大するケースが多く、不利な解決になりかねません。

遺言、遺産分割でお悩みの方、使い込み、遺留分、寄与度にどうしても納得がいかない方は、親族間で紛争を拡大せず、相続問題に強い弁護士にご相談ください。あなたに親身に寄り添った弁護活動で、有利な解決を実現します。

なぜ相続がトラブルとなりやすいのか

みなさんは相続に対してどんなイメージを持っているでしょうか。

亡くなったご家族の財産を、信頼のおける家族の中で分ける訳だから、争いは起こらないのではないかと思う方もいるのではないでしょうか。

しかし、この考えは甘いと言わざるを得ません。どれほど仲の良い家族であっても、相続をきっかけにトラブルが噴出するケースも少なくありません。

大きな財産、特に不動産がトラブルの種となるケース

すべての相続財産を家族全員の合意の下で分けることができればいいですが、実際には相続できる人、相続できない人ができてしまう場合がほとんどです。

相続が開始されれば、亡くなったご家族の預貯金を始めとした多額の金銭だけでなく、不動産など通常の収入とは桁違いの財産を得ることになります。また、不動産は金銭と違い平等に分けることが困難なため、相続人が複数いた場合には当然誰が相続するかが問題となります。

一方で、借金といったような誰もが相続のしたくない負債も相続の対象となってしまうことも相続トラブルの原因といえます。

一般の感覚と法律がかけ離れているケース

特にトラブルが起きやすいケースとして考えられるのは、「自分に相続権がある」「自分の財産だ」と思い込んでしまっていた場合です。

同居していた場合そう思いがちですが、相続の場では「同居していたか」「亡くなったご家族とどれだけ親密であったか」というのは相続人の要件として考慮されません。

自分は当然相続できると思い、相続による収入を期待して借金をしてしまって、負債を抱えていた場合には、よりトラブルが大きくなってしまうことが考えられます。

特にトラブルが大きくなる3つのケース

ここまでで、いかに相続にはトラブルとなりやすいポイントが多いかお分かり頂けたかと思います。

以下の解説では、相続の際に特に争いの種となりやすい3つの事例を紹介していきます。

【事例①】遺留分の認められない相続人に財産を与えないケース

民法では、ご家族の死後もその配偶者や子供の生活を保障するために、遺言によって財産を得られなかった相続人の救済処置として「遺留分」というものが認められています。

しかし、法定相続人の全員がこの遺留分の権利を持つわけではないため、「遺留分」の存在が争いの種となってしまうケースがあります。

遺留分とは

遺留分を理解する上で必要となる、「法定相続分」の知識について、まず説明します。

民法では、相続において「誰がどの程度の財産を相続できるか。」ということを法律で決める、「法定相続分」という規定があります。法定相続人が相続する際には、この法定相続分に従って相続する人、そして割合が決められることになります。

民法で決められている法定相続人のパターンと法定相続分の割合は、以下の通りです。

  • ①配偶者と直系卑属 1/2:1/2
  • ②配偶者と直系尊属 2/3:1:3
  • ③配偶者と兄弟姉妹 3/4:1/4
  • ④配偶者のみ 1/1
  • ⑤直系卑属のみ 1/1
  • ⑥直系尊属のみ 1/1
  • ⑦兄弟姉妹のみ 1/1

上から優先的に適用され、①ができなければ②を、②ができなければ③をというように決められます(直系卑属とは、子どもなど、直系存続とは、両親などをいうものとお考えください。)。

それぞれの地位に該当する人物が複数いる場合には、その人数で均等に分割することとなります。

さらに、ここからが本題ですが、一部の法定相続人に「遺留分」が認められています。

遺留分とは、一定の法定相続人が遺言の如何に関わらず最低限相続できる財産のことを意味します。たとえ、法定相続人が遺言によって相続できなかった場合でも、権利を行使することで最低でも遺留分の財産を得られるということです。

遺留分が認められる相続人、認められない相続人

遺留分の権利はすべての法定相続人に認められているわけではなく、認められている相続人と認められていない相続人に分けられています。

生計を共にし、ご家族の死後の生活が困難になることが考えられる配偶者やその子供、両親など、第一順位、第二順位にあたる相続人には遺留分が認められています。

これに対して、兄弟姉妹など、第三順位の相続人には、相続の優先順位が低い上に、独立して生計を立てていると考えられるため、遺留分の権利は認められていません。

また、遺留分が認められる場合も相続人によってその割合は異なり、それぞれ法定相続分の半分が遺留分となります。

つまり、上記の法定相続分のパターンを例にとると以下の通りになります。

  • ①配偶者と直系卑属 1/4:1/4
  • ②配偶者と直系尊属 2/6:1/6
  • ③配偶者と兄弟姉妹 1/2:なし
  • ④配偶者のみ 1/2
  • ⑤直系卑属のみ 1/2
  • ⑥直系尊属のみ 1/2
  • ⑦兄弟姉妹のみ なし

遺留分のない兄弟姉妹がトラブルの火種を作るケース

ここで重要なのは、兄弟姉妹には遺留分が認められていないということです。

遺言によって兄弟姉妹にあたる相続人に相続財産が与えられないこととされていた場合には、遺留分による救済もないため、得られる財産が0ということとなり、争いの火種となります。

すなわち、兄弟姉妹が、「自分の財産」と思っていたところ、遺言で配偶者のみに相続する旨を定めておくと、兄弟姉妹はなにも得られなくなります。兄弟姉妹は、子、直系尊属がいない場合に配偶者とともに相続人となる第三順位におかれていますが、そのようなケースも少なくありません。

兄弟姉妹しかおらず「自分の財産だ」と思っていてところ、配偶者にすべて持っていかれる内容の遺言だった場合には、当然「裏切られた。」という気持ちがあるでしょうし、遺留分による救済もないため、トラブルになりやすいといえます。

「自分の財産」だと思っていたところ、隠し子や前婚の妻との間の子、認知された愛人の子がいたとなれば、実子と同じ扱いになるため同様に泥沼の紛争に発展しやすいといえるでしょう。

【事例②】寄与分の金額が争いとなるケース

相続において、「寄与分」についても、相続人間での意見が分かれ、トラブルにつながってしまうことが多いです。

特に寄与分についての話し合いは、ご家族の死後、遺族間の話し合いによって決められるため争いが起きることが考えられます。なぜかといえば、死後に行われる遺族間の話し合いでは、お亡くなりになったご家族の気持ちは、お互いに推測し合うしかないためです。

寄与分とは?

寄与分とは、亡くなったご家族の財産、つまり遺産の形成に貢献した相続人に対して、その貢献度を評価し、法定相続分に上乗せをして相続させる規定のことです。

法定相続分のみによって遺産を分配すると、その遺産の形成にどれだけ貢献したとしても全く評価されず、貢献しなかった相続人と同様の相続となってしまうため、不公平が生まれてしまいます。

そこで、その貢献度を評価し、相続する金額を増やすことで公平な相続を図るのが、この「寄与分」の規定なのです。

寄与分の金額は?

寄与分の金額は客観的に明確な基準があるわけではなく、遺族間の遺産分割協議によって決められるため、寄与分の金額が相続トラブルを招くケースが多くあります。

寄与分の金額が決まった場合には、まず遺産総額から寄与分を差し引き、残りの遺産を法定相続分でわけ、その価額に寄与分を有している人は寄与分を加えた額を相続することで処理されることになります。

寄与分がトラブルの火種を作るケース

「寄与分」の考慮要素となる「貢献」の程度は人によって様々で、その評価にも明確な基準はありません。

「自分では寄与していると思っても遺産分割協議において寄与分が認められない」、あるいは、逆に「寄与していないと思っていても寄与分を強く主張される」、「判例で寄与分が認められた」といったケースで争いが起きると考えられます。

いずれのケースでも、相続人間での、それぞれの寄与の程度に意識の違いがあるとトラブルの元となってしまうのです。

【事例③】特別受益と、その持ち戻しの有無が争いとなるケース

最後に、相続トラブルが起きやすいケースの3つ目として、特別受益と持ち戻し免除が問題となるケースのご紹介をします。

ここでの争いでは亡くなったご家族が生前にした贈与が問題となります。相続の際にその贈与分を考慮するのかどうかという判断で争いになりやすいのです。

特別受益とは?

特別受益とは、被相続人が生前行った贈与によって相続人が得られた財産のことをいいます。

相続人の中に、被相続人の生前の贈与によって財産を得た相続人がいた場合、法定相続分によって財産を得た人も得てない人も同じ割合で遺産を相続するとなれば不公平が生じます。

そこで、相続の際にこの特別受益を一度持ち戻し、遺産と一緒に計上した上で再分配することで公平な相続を図るというものです。

特別受益になる具体的なケースとして以下が挙げられます。

  • ☛ 嫁入り道具
  • ☛ 支度金
  • ☛ 高額の贈与
  • ☛ 不動産購入資金の援助
  • ☛ 進学の場合の学費

特別受益がある場合の相続額の計算方法

特別受益の制度とは、生前に特別な利益を受けた相続人が、他の相続人よりも大きな得をしないよう、公平を図るための制度です。

そのため、特別受益がある場合には、特別受益分を一度相続財産額に加えて計算し、特別受益者は相続分から特別受益分を差し引いた額を相続分とすることで処理されます。

持ち戻し免除とは

特別受益があったとしても、その特別受益を考慮しなくてもいいと判断される場合があります。

すなわち、特別受益を持ち戻して計算をしなくても、公平に反しないと考えられる場合です。

特別受益の持ち戻しの是非については、遺産分割協議によって決定されるため、他の相続人が特別受益分を考慮しなくてよいと判断した場合には、持ち戻しの必要はありません。

また、遺言に持ち戻しを免除する旨の記載があった場合も同様に特別受益の持ち戻しをせずに相続することが可能になります。

したがって、あらかじめ被相続人に持ち戻し免除の意思表示をしてもらうことでトラブルが回避できるでしょう。

まとめ

遺産相続によって家族が憎しみ合ってしまうほど悲しいことはありません。

相続の問題は家庭によって様々に形を変えるため、当事者間で問題を解決することが困難です。

事前にしっかりと準備をすることが何より大事ですが、それでもトラブルが起きてしまった場合には、最悪の結果にならないためにも、すぐに専門家や相続に強い弁護士に相談することをおすすめします。

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遺言・遺産相続の問題は、当事者だけで解決しようとすると争いが拡大するケースが多く、不利な解決になりかねません。

遺言、遺産分割でお悩みの方、使い込み、遺留分、寄与度にどうしても納得がいかない方は、親族間で紛争を拡大せず、相続問題に強い弁護士にご相談ください。あなたに親身に寄り添った弁護活動で、有利な解決を実現します。


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