誰が相続できるの? 相続順位とその範囲を弁護士が解説!


相続人範囲順位資格法律相談無料弁護士東京

「誰が相続できるのか?」という疑問は、相続の際に誰もが抱える疑問の一つです。この問題が家族間のトラブルの原因となった事例が数多く存在します。

家族の形が多様化している今、「自分は相続できるのか」、あるいは、自分が財産を残す立場であれば「残したい相手は財産を相続できるのか」というのは、決して軽視してよい問題とは言えません。

自分の家庭では誰が相続できるのかあらかじめ知っておくことで、相続の際のトラブルを回避することができるでしょう。

今回は、相続される人を決定する相続順位とその範囲について解説します。

遺産相続に強い弁護士に法律相談!

遺言・遺産相続の問題は、当事者だけで解決しようとすると争いが拡大するケースが多く、不利な解決になりかねません。

遺言、遺産分割でお悩みの方、使い込み、遺留分、寄与度にどうしても納得がいかない方は、親族間で紛争を拡大せず、相続問題に強い弁護士にご相談ください。あなたに親身に寄り添った弁護活動で、有利な解決を実現します。

相続で重要となる「法定相続分」とは?

相続とは人が亡くなった時、その人が持っていて財産を配偶者や子どもなどの親族が引き継ぐことを言います。

相続が開始されると、被相続人の所有していた権利や義務、つまり相続財産が相続人に引き継がれることになります。

この相続財産、故人が持っていたお金や物、権利などプラスとなる財産だけでなく、負債借金などのマイナスとなる財産も含まれてしまうため注意が必要です。

相続は、家族であればだれでも引き継ぐ資格があるわけではなく、お亡くなりになったご家族の作成した遺言、民法上の法定相続分に従って、相続人の資格のあるものだけに行われる手続きです。

この「誰が相続できるのか。」という問題を考えるにあたっては、民法上の法定相続分が特に重要となるため、今回は、この法定相続分について解説します。

なぜ法定相続分が重要なのか?

亡くなったご家族の相続財産を誰が受け継ぐかは、有効な遺言書がある場合には、その遺言書の記載内容にしたがって決定されます。

これに対し、遺言書がない場合には、民法上の法定相続人に、相続をする権利が発生します。また、遺言で法定相続分と異なる相続の定めがされていた場合であっても、法定相続分の一定割合については、遺留分として、遺言に反して相続をすることが可能となります。

以上の点で、遺言の有る無しにかかわらず、法定相続分を理解しておくことが、相続手続きを円滑に進めるために非常に重要となるのです。

相続人には範囲と順位が存在する

相続人は残された財産を受け取る側、つまり相続する人のことを指しますが、この相続人には順位と範囲が存在します。

相続人の順位を「相続順位」といい、遺言書によって相続財産の取り扱いに対し特段の記載がない場合には、法律によって定められている法定相続人の中から、この相続順位にそって相続する人が決められます。

相続人の範囲

死亡した人の配偶者は絶対配偶者といい、常に相続人となり、配偶者以外の人は次の順で配偶者と一緒に相続人となります。

死亡した時点で配偶者がいない場合も同様に相続順位で優先度の高い順に分配されることになります。

第一順位 子ども

第一順位つまり配偶者の次に優先されるのは死亡した人の子どもにあたる人です。

子ども、孫が両方ともいるときには、死亡した人により近い世代である子どもの方を優先します。

法定相続分は、配偶者が二分の一、子どもが二分の一となります。子どもが複数いる場合には、子どもが相続できる二分の一の財産を等分する形で分配されます。

第二順位 直系尊属(父母や祖父母)

第一順位である子がいない場合には、第二順位である直系尊属が相続人となります。

父母と祖父母どちらもいるときは、死亡した人により近い世代である父母の方を優先します。第二順位の人は、第一順位の人がいない場合に相続人となります。

法定相続分は、配偶者が三分の二、直系尊属が三分の一で分配されます。

第三順位 兄弟姉妹

その兄弟姉妹が既に死亡しているときは、その人の子どもが相続人となります。

第三順位の人は、第一順位の人も第二順位の人もいない場合に相続人となります。

法定相続分は、配偶者が四分の三、兄弟姉妹が四分の一で分配されます。

以上の相続順位の人がいない場合

上記のような相続人に該当する人がいない、あるいは、その全員が相続を放棄してしまっているといった場合を「相続人不存在」といい、この場合最終的には国庫つまり国の財産に帰属してしまいます。

相続を放棄した人や内縁者は相続人になれない

相続を放棄した人は初めから相続人でなかったとされます。また、内縁関係の人は相続人に含まれません。

上の相続順位にあるとおり相続人の対象となるのは血縁関係がある、あるいは戸籍上の親族に限られます。

血縁関係がない人に対して財産を残したい場合には、遺言書による遺贈や生前贈与という形で財産を残しましょう。

私は相続人になれますか

自分が相続人になれるかという疑問を持っている人は少なくありません。その中でもよくある質問の例を取り上げて答えていきたいと思います。

孫のケース

質問:祖父が亡くなった場合、孫の私は相続人になれるのでしょうか?

回答:なりえます。

「孫」が相続できるかは、「孫」であるあなたの父または母(すなわち、亡くなったご家族から見て「子」にあたる人)に「代襲原因」があるか否かによって結論が異なります。

すなわち、父または母が、相続開始前に死亡、または相続欠陥もしくは排除によって相続資格を失った場合には、孫が相続人となります。(民法887条2項)

また、この「孫」にさらに上記3つのいずれかの代襲原因があった場合には、この孫の子、すなわち曾孫も代襲相続人になります。(再代襲、民法887条3項)

甥・姪のケース

質問:叔父がわたしに遺産を残すと言っていました。姪であるわたしは叔父の遺産の相続人になることができるのでしょうか?

回答:なりえます。

「甥・姪」であるあなたの父または母が相続人となる場合に限られます。

兄弟姉妹は第三順位の相続人なので、被相続人の子、孫等の直系卑属も、父母等の直系尊属もいない場合にのみ相続人となります。

兄弟姉妹の場合にも、第一順位の子と同様、代襲相続が認められていますから、相続人である兄弟姉妹に代襲原因、すなわち相続開始前に死亡、または相続欠陥もしくは排除があったときには甥、姪が相続人となります。(民法889条2項)

ただし、兄弟姉妹の孫への再代襲相続は、現在では認められません。

後妻の連れ子のケース

質問:母が再婚し義理の父にあたる人ができました。この義理の父の養子にはなっていないのですが、義理の父の相続人になることはできるのでしょうか?

回答:なりえません。

第一順位の相続人たる「子」とは、

・血のつながりのある「実子」と
・法律上の親子関係である「養子」

のことを指します。

血縁関係にない子は「実子」ではありませんので、養子縁組をしていない限りは相続人とはなりえません。

相続権を失っていないかを検討する

民法の規定では、相続人としてふさわしくない人物の相続権を失わせる2つの制度があります。すなわち、相続欠格と相続廃除の制度です。

相続欠格は、被相続人に対して不実の行為をおkなったり、遺言書の記載を詐欺、脅迫などで操作しようとした場合に、自動的に相続権が失われる制度をいいます。

相続廃除は、相続人の虐待や重大な侮辱などの理由がある場合に、お亡くなりになったご家族が、生前に家庭裁判所に対して申請をすることで相続権を失わせることのできる制度です。

ただし、相続廃除の対象となるのは、遺留分が認められている相続人、すなわち、配偶者、子、父母に限られており、一度行った相続廃除を、あとで取り消すことも可能です。

相続人を確定するための戸籍謄本収集

以上の解説から、相続人の範囲、順位が重要であることはご理解いただけたのではないでしょうか。

相続人を調査するにあたっては、亡くなったご家族があなたの知らないところで結婚して子どもを産んでいたり、認知した愛人の子どもがいたり、音信不通の親族がいたりといったケースも少なくありませんので、戸籍の調査が必須となります。

相続人を確定するためには、亡くなったご家族の、出生から死亡までのすべての戸籍謄本を取り寄せる必要があります。

まとめ

今回は相続の際、「誰が相続人となるのか。」について解説してみました。特に、相続人の範囲と相続人の順位の問題は、よくトラブルの原因となります。

円滑に相続をするにあたって、相続を得意とする弁護士など専門家の協力は必須です。

故人の意思を尊重し、望まないトラブルを回避するためにも事前の相談をおすすめします。

遺産相続に強い弁護士に法律相談!

遺言・遺産相続の問題は、当事者だけで解決しようとすると争いが拡大するケースが多く、不利な解決になりかねません。

遺言、遺産分割でお悩みの方、使い込み、遺留分、寄与度にどうしても納得がいかない方は、親族間で紛争を拡大せず、相続問題に強い弁護士にご相談ください。あなたに親身に寄り添った弁護活動で、有利な解決を実現します。


関連記事を見る