「未公開株が新規公開され、上場に伴って大きな利益を得た」という儲け話を聞いたことがあるでしょう。実際、このように上場利益を獲得して巨万の富を得た人もいます。
しかしながら、詐欺師はこの儲け話を、うまく自分の商売に使います。
「上場間近」「値上がり確実」「社内にコネがあるので」などといったおいしい話に飛びついてはいけません。
その他の詐欺被害については、「詐欺かな?と思ったらシリーズ」を参考にしてみてください。
弁護士による投資詐欺相談
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このページの目次
未公開株詐欺とは
未公開株詐欺とは、上場によって大きな利益が出るとしられている株式取引の特徴を利用して、実際には値上がりをしない株や、ひどい場合には存在しない株を購入するという勧誘で投資金を騙し取る詐欺のことをいいます。
政府広報オンラインでも、次の通り警戒を促されている詐欺で、非常に多くの被害ケースが発生しており、芸能人などの有名人も「あなただけ特別だから」などと誘われて騙されています。
未公開株とは、証券取引所などの株式市場に上場されていない株のこと。この未公開株をめぐって、「近々、上場する予定で、値上がりが確実」などと未公開株の購入を勧められ、未公開株を購入したところ、「株券が届かない」「上場予定の会社に問い合わせたら、上場の予定はないと言われた」「買付代金を渡した後、業者から何の連絡もないので電話してみると、つながらなくなっていた」といったトラブルが、多数発生しています。
未公開株をめぐるトラブルや被害については、これまでも、金融庁や消費生活センターなどで注意を呼びかけており、一時減少傾向にありましたが、最近になって、再び被害が増えてきています。未公開株詐欺の勧誘の手口は、「上場間近で必ずもうかる」というセールストークが特徴ですが、最近は、勧誘手口もより巧妙になってきています。
未公開株を見分けるポイント
一般人が簡単に未公開株を手に入れることができるということはまずありません。「あなただけ特別だから」「コネがあるから」「簡単にたくさん手に入る」などという甘い言葉は、詐欺の手口の可能性が高いといえます。
また、未公開株や社債の販売などができるのは、登録を受けた証券会社と未公開株などの発行会社に限られております。なお、これを逆手にとった「うちの会社の株を買わないか」という誘いにも注意しましょう。
証券会社も自主規制ルールでグリーンシート銘柄という一定の会社の㈱以外、未公開株取引の勧誘が禁止されています。
未公開株詐欺の手法パターン
政府広報では、3つのパターンの未公開株詐欺の典型的な手口を紹介しています。
複数の業者による劇場型
複数の人物が違う業者を名乗り、「Aという会社が上場間近」などの情報を伝えて信頼性を上げ、未公開株や社債を買わせる手口になります。
公的機関の名前を語る
金融庁、財務局、証券取引等監視委員会などの、お金に関係ありそうな公的機関を装って、「未公開株の被害を調査している」という電話をかけてお金を騙し取る手法です。
被害の回復をうたう勧誘
被害にあった人に対して、過去に購入した未公開株を買い取ると約束して、別の未公開株を売るという手口です。実際には買い取りは実行されないという被害ケースが多いです。
未公開株詐欺の刑事事件、裁判事例
未公開株詐欺は、古くからある有名な手口でありながら、株式という手口の一般性から、甘い言葉に飛びついてしまう人が後を絶ちません。
その被害額の大きさから、裁判になったり刑事事件になったりするケースが多く報道されています。
未公開株を3.7億円で販売したタレント逮捕(2007年)
未公開株を不動産会社社長に買値の3倍の値段で売りつけた容疑で、逮捕された。
1億2000万円の詐欺で投資会社の社長逮捕(2007年)
株式上場の予定がないにもかかわらず、顧客に虚偽の説明をして未公開株を販売した容疑で逮捕された。
神戸地裁で実刑判決、1.3億円の損害賠償命令が下った。
自社株を売った社長が逮捕(2012年)
自社が上場すると偽り、640万円の被害金を騙し取り、逮捕された。
創業者一族が5500万円を騙し取り逮捕(2015年)
「私が仲介すれば株を購入できる」としてお金をあずかり、一部を配当として返すなどして信用を得ていたが、逮捕。
未公開株3億円投資詐欺が刑事事件に(2014年)
未公開株の多額の投資詐欺で、大阪地裁における判決で懲役13年、罰金500万円の刑罰が下った
まとめ
「こんな甘い話あるわけがない」と、被害に遭う前は思っても、「特別に」「儲かりますよ」などと言われて誘われると、そんなうまい話も実際はあるのではないか?と思ってしまうものです。
特に、株式の場合には、実際に上場で大きな利益を手にした人もいることから「自分も特別」などと思いやすいのが、被害を生む理由でしょう。
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