有給休暇の買取はできる?有給休暇制度を活用しましょう


有給休暇

有給休暇がきちんと消化(利用)されていないことが、社会問題とされています。みなさんは、有給休暇を活用できていますでしょうか。

今回は、有給休暇の買取が可能かどうかについて解説します。

特に、退職、解雇などによって会社を辞める際に、残った有給休暇を消化できるのか、買取をしてもらえるのかは重要となります。

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有給休暇について、会社の違法な対応は?

会社から次のように言われることがありますが、これらは労働基準法違反となります。

☞ 忙しいので有給休暇をとってはいけない
☞ 有給休暇をとったら評価を大きく下げる
☞ 有給休暇は、会社に来られないほど重い病気でなければとってはいけない
☞ 有給休暇は1か月前に申請して許可をとらなければならない
☞ 有給休暇をとったら、賞与が下がる

現在、有給休暇の取得を義務化するという法改正の動きもあり、今後の有給休暇の同行に注目です。

有給休暇とは?

有給休暇とは、一定期間の間会社で働いた労働者に対して、心身の疲労を回復し、ゆとりある生活を保障するために、給料を保証して付与される休暇のことです。「有給で休むことができる」、つまり、有給休暇を取得しても賃金が減額されない休暇です。

有給休暇を付与される条件や、どのような場合に有給休暇がとれるかについては、こちらの記事を参考にしてください。

(参考)有給休暇はいつ取得できるの?会社が有給休暇を拒絶

勤続期間 有給休暇の日数
6か月 10労働日
1年6か月 11労働日
2年6か月 12労働日
3年6か月 14労働日
4年6か月 16労働日
5年6か月 18労働日
6年6か月以上 20労働日

※有給休暇の時効は2年ですので、2年以内に使い切らないと消滅します。

有給休暇の買い取りは義務なのか

有給休暇の買い取り問題とは

日本の有給休暇の消化率は、世界的に見ても非常に低い水準にあるそうで、有給休暇をすべて使い切る人はあまりいないでしょう。

したがって、余らせてしまった有給休暇を会社が買い取ってくれないのだろうか、という疑問が沸くのも当然です。また、会社を退職・解雇などによって辞める場合には、まずます、残った有給休暇を金銭的な補償に変えたいと考えるでしょう。

会社が強制的に買い取ることは許されない

有給休暇は、「与えること」つまり「給料を支払って休んでもらうこと」こそに意味があるとされ、このことは最高裁の判決でも認められています。

したがって、リフレッシュ目的で社員が自分の意思で使わなければならないものであって、そのことが法律上保証されているのです。会社の方から「お金を払うから働いてほしい」と、追加でお金を払って有給休暇を強制的に買い取ることは、有給休暇の趣旨に反して許されないとされています。

労働者から求める場合、例外的に買い取りが許される

とはいえ、有給休暇を例外的に買い取ることが許されている場合が存在します。これは、有給休暇が、法律が社員のリフレッシュを保証しているという趣旨に反しなければ、有給休暇の買い取りをしてもよいということです。

すなわち、有給休暇を買い取る方が社員にとって有利だという状況であれば、有給休暇の買い取りも可能なのです。

有給休暇の買い取りが認められる典型例は、以下のような場合です。

すでに2年の時効で消滅した有給休暇を買い取る場合

すでに2年の時効が経過した場合、その有給休暇は消滅していますから、社員は有給休暇を取得することはできません。それにもかかわらずこの有給休暇をさらに金銭的補償に変えることができるのであれば、労働者に不利なことはなにもありません。

退職時にあまった有給休暇を買い取る場合

退職時の有給休暇買い取りも同様に、退職してしまった後であればあまらせた有給休暇を利用することはもうできないわけですから、その有給休暇を金銭的補償に変えることは全く問題ありません。

労働者の側から、有給休暇の買い取りを求めることができるのか

有給休暇は、取得することに意味があるというのは説明したとおりです。したがって、労働者の側から会社に強制的に買い取らせることはできません。

このようなことを認めてしまうと、ブラック企業などは、「労働者から買い取るようにとお願いされたので・・・」との理由で強制的な買い取りを進めてしまうかもしれません。

なお、会社の制度上、退職の際には労働者から有給休暇の買い取りを請求できるという制度があったり、個別の合意があったりする場合には、労働者から請求できる場合もありますが、ごく例外的なケースでしょう。

有給休暇の買い取りを活用すべきケース

退職時の引継ぎが必要であるが、退職まで日数がない場合

退職時には、引継ぎをしなければならない場合が多いですが、法律上、原則として2週間から1か月前までに退職の意思を表明すれば、労働者は自由に会社を辞められることとなっています。

業種によっては、この短期間では引継ぎをすべて終わらせられないという場合に、労働者が権利としてこの期間をすべて有給休暇としてしまえば、引継ぎが終わらず、会社から有給休暇をとらずに引継ぎを行ってほしいとお願いされることがあります。

このような場合には、引継ぎを行うために有給休暇を使えなかった分は、有給休暇の買い取りをお願いしてみましょう。

退職日をずらして有給を取得するケース

同様に、有給休暇が退職時にあまっている場合には、有給休暇分だけ退職日を後にずらし、その日数分の有給休暇を取得できるように交渉してみましょう。

これが会社にも認められれば、有給休暇の日数分は、働かなくても給料がもらえるわけですから、退職時に余った有給休暇を買い取ってもらったのと同じことになります。

法定日数を超える有給休暇を付与されているケース

法律で認められた有給休暇は、法律に定められた日数分だけのものですが、これを超える有給休暇を会社が労働者に与えることは許されており、そのような会社も多いでしょう。

この法律で定められた日数を超える分の扱いについては、会社が自由に設計することができ、買い取り、強制的な買い上げなども、会社と労働者との間の合意が就業規則、労働契約などに定められていれば可能となります。

まとめ

有給休暇を十分に活用できていない労働者が多いですが、退職時に余らせてしまった有給休暇をお金に変えることができないか、会社とお話合いをしてみてください。

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