仕組み債詐欺の被害とチェックポイント!詐欺かな?と思ったら


詐欺被害

仕組債とは、「デリバティブ取引を組み入れた証券」と一般的には定義されていますが、これだけを聞いても一般の方にはよく理解していただけないでしょう。

よく理解していただけないからこそ、詐欺の手口として利用されるのです。

内容がよく理解できない仕組債を、安易に購入することは避けてください。十分購入者が理解しないままに説明不十分のまま売りつけることも、十分詐欺と同様の違法な行為です。

その他の詐欺被害については、「詐欺かな?と思ったらシリーズ」を参考にしてみてください。

(参考)詐欺かな?と思ったら│騙されない詐欺の手口一覧

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仕組債とは?

「デリバティブ取引を組み入れた証券」のことをいいます。

この中には、EB債、株価指数リンク債など多くの種類があり、その仕組みは非常に複雑です。この仕組債の複雑さにしたがって詐欺の手口も複雑、巧妙化しており、新手の手法が次々と編み出されています。

十分に理解できないまま、説明不足のままに仕組債を売りつける行為は、詐欺と同様の違法な行為です。

EB債

他社株式償還条項付社債というものです。

債権が満期になったときに、現金償還か対象株式購入かが決まる特約がついた債権になります。したがって株式が値下がりしたら、購入した投資家が損をかぶることとなります。

詐欺の手口としては対象銘柄の株式を満期日に大量に売って株価を意図的に下げ、投資家に損失を与えたという事例があります。

ここまでを見て、どういう場合に損失がどの程度出るのか、理解できない場合には、購入前に十分な説明を求めるようにこころがけてください。

株価指数リンク債

日経平均株価があらかじめ決められた水準以下となったときに、その株価に応じた償還金額が返されるという内容の債権です。

このことを難しくいうと、「対象となる株価指数がノックイン価格を下回ったときに、ノックイン償還の権限が発生するノックイン条項付債権」ということとなります。

こちらの詐欺の手口も恣意的にノックインをさせる手法がとられるケースが相談されています。

ここまでを見て、あなたの購入を考えている債権が、どのような場合にノックインするのか、ノックインした場合にどの程度の損失が出るのかが理解できない場合には、購入前に十分な説明を求めるようにこころがけてください。

為替デリバティブ取引

為替デリバティブ取引とは、通貨を一定の条件で買う権利や、反対に売る権利について、その権利自体を売買する取引のことです。「為替」も「デリバティブ」も正確に理解している方が少ない中で、この2つを組み合わせた用語もよくわからないでしょう。

本来、正しい為替デリバティブ取引であれば、為替リスクを負っている企業がリスクヘッジのために取引するものです。

しかしながら販売企業がそのような為替リスクをリスクヘッジする必要のない企業に「投資目的」で「適切な商品説明すらなく」勧誘・販売をしていたことが問題視されています。銀行などの、本来信頼できるはずの機関が中小企業相手に積極的に勧誘し、倒産に追い込まれるケースが多く、社会問題となりました。

契約時の費用がゼロに設計された為替デリバティブ契約で、解約損害金が支払えなくなるという被害が典型的なケースです。こちらも「ノックアウト条件」「ギャップレート特約」「レシオ特約」といった特約が、投資家側を不利にしています。

仕組債の被害例

厳密に詐欺にあたるかは判断できないものの、大学や自治体などが仕組債の運用で多くの損失を消費者に対して与えています。

17の自治体が総額4200億円の仕組債を発行していますし、福岡県苅田町など、住民から訴訟を提起されるといった裁判事例もあります。

報道されたケースでは、次のようなものがあります。

☞ 大阪産業大学 : 仕組債で100億円の損失
☞ 兵庫県朝来市 : 仕組債で12億4000万円の含み損
☞ 兵庫県神戸市 : 仕組債で約30億円の評価損

詐欺師が皆、明らかに悪者の顔をしていればよいですが、損する取引を見極めるのは、一般の消費者にはなかなか難しいものです。

仕組債の判例

仕組債の被害事例については、裁判事例となるケースも多く、契約が無効となったり、損害賠償が命じられたりといった、消費者側の勝訴に終わっているケースも多いです。

☞ 野村証券に1.1億円の賠償命令(2010年、大阪地裁)
☞ 一般投資家の契約は無効(2011年、大阪地裁)
☞ 野村証券に2.5億円の賠償命令(2010年、大阪地裁)
☞ メリルリンチ日本証券に145億円の賠償命令(2010年、東京高裁)

まとめ

詐欺かも?と思ったら、十分な説明をまず求め、理解できない限りその契約進めない方がよいでしょう。

万が一、すでに契約してしまっているという場合でも、裁判事例で救済されているケースを参考に、訴訟によって救済されることを目指すのがよいのではないでしょうか。

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