弁護士が教える!契約書を作成する際に注意すべき4ポイント


契約書作成

契約書を作成する際、インターネットで検索すると、契約書書式集、契約書の自動作成ツール、契約書作成の専門家などのホームページがたくさん見つかるでしょう。

弁護士として契約書作成、修正の依頼を受ける場合、書式や自動作成ツールに頼ってそのまま使っていることが明らかだなと思うことがよくあります。これらの契約書の問題点は、あなたの会社に有利な条項ではなく、ごく一般的な内容にとどまっていたり、あなたの会社の規模、業種に合わない内容になっていたりすることがあります。

契約書書式集や契約書の自動作成ツールを使うことに問題があるわけではないですが、基本的な契約書作成の考え方を理解せずに丸写しで使っていると、いざトラブルとなったときに足元をすくわれる原因にもなりかねません。

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契約書作成の際に気を付けるべき4つのポイント

このように、契約書書式集や契約書自動作成ツールを使うことがいけないのではなく、そこにどのような法律上、経営上のリスクがあるかを全く把握せずにただ丸写しで使うことに問題があるのです。

企業法務に強い弁護士、司法書士といった契約書作成の専門家に契約書作成を依頼したとしても、業界の慣習、相手とあなたのパワーバランスなどによっては、曖昧なままの条項を残したり、契約書に条項を残さずに口頭の合意にとどめる部分があったりする場合もあり得ますが、そのリスクをきちんと理解しているか、全く気付いていないかでは、大きく違います。

全く気付いていない場合には、トラブルとなったときに全く意図しない重大な損害を被ることとなります。
今回は、自分で契約書を作成するとき(契約書書式集や契約書自動作成ツールを使う場合も含みます)に、最低限注意しなければならないポイントを解説します。業務、業界、作成する契約書の種類によって異なりますが、あくまで基本は同じです。

一義的で明確な内容にすること

「一義的」とは?

「一義的」とは「一つの意味にしか読めない」という意味です。法律家的にいえば「解釈の余地を残さない」ともいいます。
契約書の記載が、誰が見ても同じ意味にしか読めないように書いてあれば、トラブルとなったときにも、相手とあなたの契約書の理解の仕方が違うということはなく、あらかじめ作成していた契約書の記載に従って解決すればよいということになります。

これに対して、あらかじめ作成していた契約書に、曖昧な文言があり、読み方によってはあなたにも相手にも有利なように読める(解釈できる)という場合には、それぞれが自分達に有利な読み方を主張するでしょうから、トラブルは拡大することになります。

どうしても一義的な契約書が作成できない場合とは?

とはいえ、契約書は相手とあなたとの合意によって決まるものですから、相手とあなたの力関係、業界の慣習、利害関係の調整が難しい点などの理由によっては、一義的で明確な契約書を作成することが困難な場合もあり得ます。

このような場合であっても、作成した契約書のどの部分が「一義的で明確でない」かを、正確に把握して洗い出しができていることが、今後の経営において非常に役に立ちます。トラブルとなったときの損害の種類と額、もめ事の種の原因が明確になっていれば、万が一トラブルとなった場合にも解決が容易です。

このような場合でも、ある程度その曖昧な文言の読み方(解釈)を限定しておくためには、契約書の作成過程の交渉の流れ、あなたと相手の主張の内容をしっかり記録に残しておくことが必要です。録音、議事録、覚書など、客観的な証拠をすべて残しておくのが一番ですが、それがどうしても困難な場合には、メールやFAXでこちらの考え方を相手に伝え、それに対して不服を言われていないことをもって解釈を自分に有利に進めていくことも検討すべきです。

以上のリスクをすべて理解してはじめて、契約書を作成、締結するかどうかという経営判断が正確に行えるのです。

契約書案はあなたの会社で作成すること

相手の作成した契約書のなにが問題か?

あなたの会社が、相手の作成した契約書を一通りチェックしただけで契約書を締結してしまっているとしたら、潜在的な問題が多く隠れているといえるでしょう。

この記事でも解説するとおり、契約書を正しく作成することは非常に難しく、相手もあまり知識・経験がなくてリスクたっぷりの契約書を作成していることもあれば、相手は非常に緻密に計算して自分の側にとても有利な契約書を提案してくることもあるからです。

そして、相手の作成した契約書のリスク、不利な点を見抜いて、適切に修正提案をしていくことは、あなたに有利な契約書を一から作成するよりもはるかに難しいことです。

契約書作成をあなたの側で行えない場合の対策

万が一、相手とのパワーバランスや業界の慣習によって、相手の作成、提案してきた契約書に何の文句もいえないという場合には、あなたの側の解釈をメールや議事録という形でしっかりと証拠に残し、不服を述べたことを残しておくなどの保険をかけておくのがよいでしょう。

以上のリスクを理解した上で、それでも契約を締結するという経営上の判断をするのであれば、予想外の損害を被ることはありませんから、あとはあなたが経営者として判断すればよいでしょう。

作成した契約書の問題点(リスク)を正確に把握すること

いずれにしても契約書にはリスクがある

以上の通り、契約書の作成がすべて自分の思い通りにいくとは限らず、「妥協の産物」として、しかし経営上どうしても作成しなければならなかった契約書には、多くの問題点(リスク)があります。

これを正確に理解してから経営判断を下すことによって、思ってもみなかった損害を負うということを避けることができます。経営判断には常にリスクを伴うものですが、事前に把握しておけば、これを織り込んで契約を進めることができます。

どのような問題点(リスク)に注意しなければならないかについて、以下解説します。

強行法規の違反

まず、「強行法規」に違反していないかに注意しましょう。

「強行法規」とは、法律に決められたことについて、当事者が合意していてもそれに反することができないという強い効果を持つ法律の規定のことです。これとは逆に、当事者が合意していれば法律と違ったことを契約することができる法律の規定を「任意法規」といいます。

強行法規に違反している部分については契約が無効となります。社会通念に大きく反している契約については「公序良俗」違反という理由によって無効となる可能性もあります。

通達、ガイドライン、業界ルールの違反

次に、法律自体には違反していなかったとしても、その法律を解釈するために行政が出している通達やガイドライン、さらには業界ルールに反していないかに注意しましょう。

法律に反していなくても、これらに反していた場合には、許認可がとれない、取引相手と取引ができないなど、実際にはビジネスがストップしてしまう可能性があります。

リスクを踏まえた経営判断をすること

以上のリスクを十分に理解した上で、最後に「契約を締結するかどうか」という経営判断を下します。

ここまで説明してきた中で、ここはリスクとして残っているな、という部分が作成した契約書に存在していたとしても、その部分には目をつぶって契約書を取り交わすべきビジネス上のメリットが大きいのであれば、「契約を締結する」という経営判断を下すこともありということです。

リスクがわかっているかどうか、いざトラブルになったときの損害の種類、程度、額をわかっているかどうかは、経営判断に大きな影響を及ぼします。

あなたの会社の経営判断は、あなたがすべてのリスクを理解した上で行うべきです。

書式の問題点

書式を使うメリット

本サイトでも、書式を多く公開しており、これを参考にして契約書を作成することは、業務の効率化のためにも必須といえるでしょう。何より、書式を使えば業務の効率化はもちろん、無料で契約書を作成できますから、費用もかかりません。

専門家に依頼した場合も、専門家は多くの書式、過去の事例を蓄積しており、それらを参考にあなたの会社にあった契約書を作成していきますから、「書式=悪」ではありません。要はその活用方法なのです。

「書式を使えば法律知識は不要」「法律知識がなくても選択式で自動作成」を謳うサイトは多いですが、簡易な契約書はともかく、あなたの会社の経営を左右する重要な契約書は、専門家に相談するのがよいと思います。

書式を使うデメリット

契約書書式集や自動作成サービスがいうメリットは、裏返せばそのままデメリットになります。つかいどきを考えて、有効に活用するのがよいでしょう。

相談不要!即座に契約書ができるといったお話

業務効率化のため、面倒な相談はしたくないと考える方が大半でしょうが、そうであれば契約書をあなたが作成するメリットは薄れ、相手の出したものにそのままサインするのも同じでしょう。
あなたの業種にぴったり合い、あなたの側に有利な契約書を作成するには、あなたの仕事を理解しなければならず、そのためにはある程度の時間の相談が必須です。

最新の法規のために更新をしていますといったお話

契約書は、日常的に交わすものはごく一般的な内容のものも多く、最新の法令変更、判例変更が、大きく契約書の条項を変化させることは多くはないでしょう。
しかしながら、だからこそ、重要な変更については適時適切に対応していかなければなりません。

まとめ

以上の通り、今回は契約書について、その作成の際にどのようなことに気を付けたらよいかを解説しました。

契約書の作成には、専門家に依頼する以外にも、業務効率や費用などを考えていろいろな方法がありますが、メリット、デメリットをしっかりと理解し、リスクを理解した上で、経営判断として行うべきです。

自分のとった選択肢にどのようなデメリットがあるかを把握せずに進めることはやめるべきでしょう。

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