本当にメリット?あなたの顧問弁護士のメリットと、選び方


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顧問弁護士をつけたいと考えている経営者の方も多くおられると思います。

特に、不祥事などが話題となって企業イメージを下げてしまうというニュース、報道が多くなされており、リスク管理には敏感になっているのではないでしょうか。

今回は、どの弁護士を顧問弁護士に選んだらよいかについて、考えをまとめる参考として、いろいろな事務所が「顧問弁護士のメリット」として挙げている点をまとめ、肯定・否定のどちらの意見もあることを示しています。

あなたの会社に合った顧問弁護士を選ぶ際の参考にしてみてください。

企業法務は顧問弁護士におまかせ!

顧問弁護士は、企業に日常的に起こる法律相談、契約書のチェック、労働者とのトラブルなどについて、経営者の味方となって戦うパートナーです。

適切な月額料金で、他の事務所より顧問弁護士を活用する方法について、企業法務の豊富な知識・経験を有する弁護士が、丁寧に解説します。

このページの目次

相談についてのメリット

顧問弁護士の一番の業務は法律相談でしょうから、法律相談に関するメリットを上げる顧問弁護士が多いです。

事務員による煩雑な対応が不要

意味

初めての弁護士に飛び入りで相談する場合には、その法律問題に対応できる弁護士を探し、法律事務所に電話し、予約のための日程調整をし、相談料の確認をし、後日相談という手順を踏む必要があります。
顧問弁護士がいれば、電話、メール、チャットなどの方法で直接担当の弁護士に連絡をすることができます。事務所によっては顧問弁護士の携帯番号に直接電話を掛けることもできるでしょう。

評価

現在では、弁護士の敷居は低くなってきていることから、予約や日程調整などの事前手続きに非常に時間がかかるという弁護士はあまりいないのではないでしょうか。
「弁護士への直接電話相談」、「当日相談」、「夜間深夜対応」といったサービスを、初めてのお客様に対して提供している事務所も増えてきています。

即座の対応(優先対応)

意味

緊急の案件や、今すぐに相談したい場合であっても、月額の顧問料を支払っていない場合には、後回しにされてしまいがちです。顧問料を継続的に支払っている場合には、信頼できるお客様ということですから、優先的に対応し、予約も優先的にお取りすることによって、素早い対応が可能となります。

評価

顧問弁護士のメリットを記載している弁護士は、顧問企業をいくつも持っていることがほとんどで、当然ながらあなたの会社だけではありません。法人のお客様を専門に取り扱っている顧問弁護士も多いと思います。
優先とはいえ、ほとんどのお客様が顧問企業であるとすれば、どのように優先するのかは、努力義務に過ぎないと考えるべきでしょう。

電話・メール・チャットでの法律相談

意味

初めてのお客様の場合、信頼関係が全く築けていませんから、一度お会いしてどんな会社、経営者かをお話しながら把握し、料金を提示した上でサービスを提供するということになりますが、顧問弁護士の場合には、既に信頼関係ができているため、対面以外の方法で相談を受けることができます。

評価

初めてのお客様でも、分野によっては電話である程度の相談をお受けする事務所は増えています。
また、メールはもちろんですが、最近は、LINE@などの、もっと身近なサービスを使って相談を受けている弁護士も多いようです。
弁護士への接触の方法は多様化していますので、どのような方法で相談を受けてもらえるのか、事前に確認しておきましょう。

些細な問題についても気軽に相談できる

意味

あえて弁護士に相談するほどでもない問題、弁護士に相談すべき問題なのかどうか判断に迷う問題について、相談料を払って相談しようとしても「忙しいから」と言われて断られてしまう案件についても、顧問弁護士であれば、顧問料の範囲内で対応することができます。
なんでも気軽に相談でき、安心感を得ることができる。

評価

相談料を支払って相談をする場合に、弁護士が「忙しい」といった理由で相談を受けないということは、不適切な対応であると思います。
些細な問題であるかどうかは、その人の価値観によりますから、弁護士としては、相談をしてくる人にとっては重要な問題であることを十分に理解してしっかりと対応すべきでしょう。

従業員や家族からの相談無料

意味

顧問料を頂いている場合、その顧問先企業の相談だけでなく、経営者の相談、従業員やその家族の相談を無料でお聞きすることができます。
福利厚生や、従業員の会社に対するロイヤリティの向上の効果があります。

評価

最近では、個人のお客様に対する問題については、相談料を無料とする事務所が非常に増えています。
したがって、顧問弁護士に相談しなくても、相談料無料の弁護士に話を聞いてもらうことは可能です。
また、会社の利益に反する相談について、顧問弁護士が相談を受けることはできません。

継続的な関係を築くことによるメリット

顧問弁護士の特徴として継続的な関係を築けるということがあり、これに伴うメリットを強調する弁護士が多いでしょう。ただ、顧問弁護士を変更したり、複数名依頼したりする会社も多いです。

業界に精通している

意味

あなたの会社を継続的に担当することによって、あなたの会社の属する業界に詳しくなり、また、その業界の法律にも詳しくなることで、より有利な解決を得られることができます。

評価

顧問弁護士の詳しい業界を聞いて判断するのがよいでしょう。また、同業界の他の経営者から紹介を受けた場合には、その業界の法律に詳しい顧問弁護士である可能性が高いです。

ただし、顧問弁護士の業務は、必ずしも業界知識に非常に詳しくなければできないものではなく、むしろ、それ以外の知識、経験を磨き上げることを怠っていればこれは問題です。
ノウハウや業界知識の見栄えの良さに騙されず、契約書チェック、労働問題、債権回収、知的財産など、どの業界の顧問弁護士でも絶対に必要となる知識・経験を重視するようにしましょう。

顧問弁護士を活用できるケースは、こちらの記事で紹介しています。

(参考)事前のリスクヘッジ!顧問弁護士が活用できる10ケース

自社の業務内容、固有の実情、人間関係を理解している

意味

初めての弁護士の飛び入りで相談する場合には、あなたの会社の内容、業務内容、人員構成などについて細かに説明する必要があり、その時間が長引けば相談料が更にかさむこととなります。
顧問弁護士の場合、このような説明は初回のみで済み、その後は継続的に相談をする中で会社の状況、内部事情、人間関係を的確に把握してもらうことが期待できます。
また、あなたの会社のことを十分に理解しはじめれば、あなたが認識していない日常的な法的リスクに対して顧問弁護士の側から積極的に対応してくれることが期待でき、法的紛争が拡大することを防ぐことができます。

評価

日常の人間関係の中で知り合った弁護士に顧問弁護士をお願いする場合には、まさにあてはまるといえるでしょう。
ただ、顧問弁護士のメリットとして強調するとすれば、顧問企業数が多くなってこれば、すべての会社に対して、飲みニケーションを頻繁に行うことは難しくなってきますから、顧問弁護士にすべてを把握しておいてもらうのには限界があるでしょう。

事務所体制によるメリット

以上のことからもわかるとおり、顧問弁護士の選び方は、あなたの会社に合った顧問弁護士が見つかるまで、紹介、インターネットなどで探すことが一番です。
したがって、事務所がどのような体制で対応してくれるのかについても考えましょう

複数弁護士による対応

意味

複数の弁護士があなたの顧問弁護士として担当となることによって、1人の弁護士が忙しくて立て込んでいるときでも、他の弁護士が迅速に対応してくれるといったメリットがあります。

評価

複数弁護士が担当することによって責任の所在が不明確になったり、複数担当制とはいっても、あなたと継続的な人間関係が密なのは一人だけだったりということがないように注意してください。

何より、代表弁護士を頼りにして大きな事務所に依頼したのに、若手の数人が複数担当として窓口となっているという場合には要注意です。

多くの業種の会社と顧問契約しており業種知識が幅広い

書式提供可能

意味

顧問弁護士としての仕事の中で、一番の比重を占めるのが契約書関係の業務でしょう。

経験豊富な顧問弁護士であれば、事務所内にいろいろな書式をノウハウとして蓄積しており、法律相談に合わせて書式を提供することができます。

評価

書式を活用してあなたの会社で業務を行える場合、書式は非常に役立ちます。
しかしながら、あなたの会社の問題は、あなたの会社に即した有利な解決に導くのが顧問弁護士の仕事であり、安易に書式に頼るべきではありません。

定型的な書式の利用は、あくまでも、簡易な業務について、顧問弁護士の指示を受けながらあなたの会社内で対応できる場合に限定するべきでしょう。

難しい問題や複雑な契約のときには、オーダーメイドで契約書を作成してくれる顧問弁護士を選ぶべきです。

サービスに関するメリット

法的紛争の事前の予防

予防法務といいます。法的リスクが顕在化して紛争となり、更に法的紛争が拡大するという前に、事前に予防することができます。

顧問弁護士が、あなたの会社の法的リスクを定期的にチェックし、法的紛争が拡大する前に抑えることができます。

顧問弁護士のメインの業務であるといえます。

セミナー、研修会の実施

顧問弁護士として依頼した場合に、セミナーや研修会も実施してくれるという場合がありますが、ほとんどの場合は、顧問業務の範囲外として、顧問料とは別途の費用が必要となります。

他の専門家との連携

弁護士は、独自の人脈を構築していますから、他の専門家を紹介してもらうことによってあなたの会社の業務が非常に円滑に進むでしょう。
他の専門家も、弁護士に紹介されたあなたの会社を、非常に重要な顧客として大切に取扱うはずです。

ただし、弁護士の紹介された他の専門家が割高であったり、キックバックが発生したりしているという不適切な場合もあり得ますので、紹介ではない他の専門家の相場との比較が重要です。

顧問弁護士としての表示

取引先に対してクリーンなコンプライアンス経営を遵守していることをアピールし、優先度を上げてもらうことが可能、悪質な取引先、クレーマーからの法律違反の主張を抑止できます。

ただし、顧問弁護士としての表示だけではあまり意味がなく、その他の顧問料の範囲内のサービスが充実しているかどうかを検討してみるべきでしょう。

会社ごとに合った最新の法律、判例の情報提供、経営に関する提案

どの程度の業務までが顧問料の範囲か?

このように、顧問業務の範囲内としてかかげるサービスは事務所によって様々ですが、顧問料だけで対応できる範囲でないものもありますので、注意が必要です。

具体的に、顧問料を支払うだけで受けられるサービスがどこまでなのか、事前に確認しておきましょう。

参考として、相場観として、どこまでの業務が顧問業務の範囲なのかについてのアンケート結果がありますので、参考にしてみてください。

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費用面におけるメリット・デメリット

費用の説明不要で即座に対応

法律相談や契約書の作成・チェックといった業務については顧問料の範囲内で、追加費用は発生しません。

訴訟、大きな交渉案件、複雑なリサーチは別途の弁護士費用が必要となる場合が多いです。

いざというときの弁護士費用が安くなる

別途弁護士費用が必要な場合でも、顧問契約を結んでいることにより割引料金で対応可能であるという顧問弁護士が多いです。

長期の信頼関係があり、業務量が顧問料に見合っていなかったという場合には、顧問業務の範囲内で対応してくれることもありえます。

法務コストを軽減できる

法務リスクに穴がないようにするために、あなたの会社で法務部の社員を一人雇う場合、新卒であったとしても、どれだけ低く見積もっても20万円以上の給与が必要です。

顧問弁護士の顧問料と比較すると、その割安感は一目瞭然でしょう。この顧問料を支払わなかったために起こり得る法的紛争の対応コストと比較しても、顧問弁護士の費用的なメリットは明らかです。

顧問料が格安

意味

従来は、顧問弁護士がついているといえば、大企業が多額の費用をかけて依頼しているというイメージが強かったと思いますが、現在では、リーズナブルな顧問料で顧問弁護士を契約することができるようになっています。

評価

顧問弁護士のサービスが過剰で、顧問料が割高な場合に、サービスを限定することによってリーズナブルな顧問料で利用できるという場合には、非常に良い活用法でしょう。
ただ、価格ばかりにつられて、本当は必要なサービスをカットされてしまうと、実際に様々な顧問弁護士サービスを受けた場合にはかなり割高な料金を請求されることにもなりかねません。

顧問料を支払って相談がなかった場合に繰越可能

意味

顧問料を払ったからといって、毎月顧問弁護士に対する相談がないのでは、という会社もあるかと思います。
顧問料の全部または一部を、相談が少なかった場合には次月に繰り越すことによって、いざ法的紛争が拡大したときにリーズナブルな価格で対応してもらえるというサービスを提供する弁護士が増えてきました。

評価

割安な顧問料と同様に、活用方法に注意が必要です。

繰越も永遠に認められるわけではなくて期限がある場合が多いですし、貯まったからといって返金されるわけではありません。

したがって、顧問料の繰越があまりに多い場合には、不要なサービスがたくさんついている可能性があり、別の顧問弁護士を探すべきかもしれません。

まとめ

以上の通り、顧問弁護士のメリットとしては、様々なことが言われています。

結論としては、顧問弁護士を依頼した方がよいでしょうが、どのような弁護士に依頼するかについては、弁護士が記載するメリットだけを鵜呑みにすることなく、あなたの会社に合った顧問弁護士を選ぶようにしてください。

企業法務は顧問弁護士におまかせ!

顧問弁護士は、企業に日常的に起こる法律相談、契約書のチェック、労働者とのトラブルなどについて、経営者の味方となって戦うパートナーです。

適切な月額料金で、他の事務所より顧問弁護士を活用する方法について、企業法務の豊富な知識・経験を有する弁護士が、丁寧に解説します。


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