体罰・暴力行為を許さず!大阪市に7500万円の賠償命令


大阪市立桜宮高校のバスケットボール部キャプテンの男子生徒が、顧問から体罰を受けて、2012年12月に自殺しました。男子生徒の遺族が、大阪市に対して損害賠償1憶7400万円を求めていた事件の判決が出ました。

今回は、体罰の違法性について解説していきます。

体罰

桜宮高校の自殺ケース

桜宮高校バスケットボールでの体罰自殺事件について、東京地裁は、平成28年2月24日、市に対して、7500万円の賠償を命じる判決を下しました。

この顧問の男性教諭は、全国大会に何度も出場した実績があるといった名門校でもあることから、忠告をできる人が周りにおらず、歯止めが利かなかったのではないでしょうか。

特に、キャプテンという立場が、責任感に拍車をかけたのでしょう。強豪校の厳しい特訓体質が問題視されています。

この事件を受けて、大阪市では、体罰と暴力行為の禁止に関する指針を示しています

(参考)「体罰・暴力行為を許さない開かれた学校づくりのために」~体罰・暴力行為の防止及び発生時の対応に関する指針・児童生徒の問題行動への対応に関する指針~

体罰と暴力行為について

体罰と暴力行為の違いは?

体罰と暴力行為とは、異なる概念ですが、いずれも法的に禁止されており、当然ながら学校で起こってはならない問題です。

体罰とは?

体罰とは、以下のように定義されています。程度が著しい場合には、刑法上の暴行罪、傷害罪にあたるおそれもあります。

非違行為を行った児童生徒に対する懲戒の目的をもって行われる行為で、身体的性質を有するもの

暴力行為との違いは、「懲戒の目的をもって」行われたものであるかどうかという点です。

体罰の例としてよくある例は、以下のようなものです。

☞ 殴る・蹴る・叩く
☞ 突き飛ばす
☞ 黒板消しなどの物を投げつける
☞ 廊下に長時間立たせる
☞ 正座をさせる
☞ バケツを持って立たせる
☞ 不必要に外周を走らせる

体罰は、学校教育法によって厳しく禁止されています。「懲戒」つまり、悪いことをした生徒に罰を与える場合には、肉体的な方法によって罰を与えてしまっては、この禁止される体罰にあたってしまいますから、それ以外の方法で厳しく伝えていくべきです。

学校教育法11条
校長及び教員は、教育上必要と認めるときは、文部科学大臣の定めるところにより、児童、生徒及び学生に懲戒を加えることができる。ただし、体罰を加えることはできない。

許される懲戒とはどの程度か

とはいえ、悪いことをした生徒に対しては、罰を与えるなどして注意指導をしなければなりません。学校教育法では、このような許される懲戒行為についても、以下のように定めています。

・ 退学
☞ 停学
☞ 訓告
☞ 注意・叱責
☞ 居残り
☞ 別室指導
☞ 宿題
☞ 清掃
☞ 文書指導

したがって、暴力を伴わない場合には、ある程度の罰を与えることが可能であるということになります。

暴力行為とは?

これに対して、暴力行為とは、指導性との非違行為とは関係なく身体的な行為を行うことであって、懲戒などの目的を一切持たないもののことです。

したがって、体罰はもちろん許されないですが、それ以上に許されないものです。

ただし、児童生徒から教職員に対して暴力行為が行われ、これに対する防衛のためにやむを得ず行った場合には「正当防衛」として、他の児童生徒への危害を緊急に回避するためやむを得ず行った場合には「緊急避難」として、それぞれ許される場合があります。

部活動における体罰について

部活動もまた、学校教育の一環ですので、体罰が禁止されていることは当然です。

ただ、今回の桜宮学校の件のように、良い成績や結果を残すことにこだわるあまりに、教育活動という本分を忘れて熱が入ってしまい、不適切な指導が行われることがあり、通常の授業以上に注意が必要です。

「指導」「練習」「特訓」などという名目であったとしても、顧問による自分勝手な指導や、生徒に対する暴力行為、過度に肉体的・精神的負担を与える行為は、禁止されている体罰にあたるおそれがあります。

まとめ

以上、学校現場で起きやすい違法行為として、体罰の問題について解説しました。

適切な指導と体罰の境目は、暴力が行われればこれは明らかですが、部活動の指導という名目で行われている場合などには、曖昧となります。

体罰かもしれないと感じたら、我慢することなく、他の教職員、身近な人(親、友人)、弁護士などに相談をしましょう。

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