ものづくり補助金の採択されるためのポイント


ものづくり補助金

平成24年度補正予算から始まった、ものづくり中小企業・小規模事業者が実施する試作品の開発や設備投資などを支援する、いわゆる「ものづくり」補助金。
  
経産省は2015年末に、補正予算をものづくり助成金に1021億円をあてると発表しました。これは平成14年度とほぼ同額となります。

今回は、平成28年2月5日より始まるものづくり補助金の概要と、ものづくり補助金を採択されるためのポイントについて解説していきます。

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平成27年度補正「ものづくり・商業・サービス新展開支援補助金」の公募について

事業概要

国内外のニーズに対応したサービスやものづくりの新事業を創出するため、認定支援機関と連携して、革新的なサービス開発・試作品開発・生産プロセス改善を行う中小企業・小規模事業者の設備投資等を支援します。

全国中小企業団体中央会のページより

公募期間

受付開始:平成28年2月5日(金)
締切:平成28年4月13日(水)〔当日消印有効〕

公募要領

・革新的サービス・ものづくり開発支援
「中小サービス事業者の生産性向上のためのガイドライン」で示された方法で行う革新的なサービスの創出・サービス提供プロセスの改善であり、3~5年で「付加価値額」年率3%及び「経常利益」年率1%の向上を達成できる計画であること。または「中小ものづくり高度化法」に基づく特定ものづくり基盤技術を活用した革新的な試作品開発・生産プロセスの改善を行い、生産性を向上させる計画であること。

・サービス・ものづくり高度生産性向上支援
上記1.の革新的なサービス開発・試作品開発・プロセス改善であって、IoT等を用いた設備投資を行い生産性を向上させ、「投資利益率」5%を達成する計画であること

東京都中小企業団体中央会のページより

申請方法

全国中小企業団体中央会の各地域事務局へ申請書を郵送、また中小企業庁が開設したポータルサイト「ミラサポ」による電子申請(3月中旬開始予定)にて申請してください。

認定支援機関に事業計画の実行性が確認されることが要件となっておりますので、詳しくはお近くの認定支援機関に相談にいくのがよいでしょう。

補助金について

1.革新的サービス・ものづくり開発支援(補助率 2/3)
(1)一般型 補助上限額:1,000万円
中小企業が行うサービス開発・試作品開発・生産プロセスの改善に必要な設備投資等を支援。
※複数社による共同事業は、企業数に応じて補助上限額を引上。
(共同事業の補助上限額:個社の補助上限額×5社)

(2)小規模型 補助上限額:500万円
小規模な額で行う革新的なサービス開発・試作品開発・生産プロセスの改善を支援。

2.サービス・ものづくり高度生産性向上支援(補助率 2/3)
補助上限額:3,000万円
IoT等の技術を用いて生産性向上を図る設備投資等を支援。

※1.2.共通
・給与総額増の取組は加点。
・TPP加盟国等への海外展開により海外市場の新たな獲得を目指す取組は加点。

ミラサポのページより

昨年度と比較すると、小規模型は700万円から500万円へ減額になっております。

ものづくり助成金の採択率について

平成26年度補正予算(1,020億円)
申請件数30,478件に対し、採択件数が13,134件(約43%)

平成25年度補正予算(1,400億円)
申請件数36,917件に対し、採択件数が14,431件(約39%)

平成24年度補正予算(1,007億円)
申請件数23,971件に対し、採択件数が10,516件(約43%)

3年間を合計すると申請件数91,366社に対し、採択件数が38,081社になり、平均採択率は42%となっています。

採択のポイント

革新性をアピール

まず、事業の改善課題に対し、どんな技術やアイデアで解決しようとしているのか、それにより成果はどれだけ見込めるかの定量的な目標をたてます。またビジネスの実現性の視点も重要で、市場分析をもとに自社サービスの競合優位性をきちんとアピールします。またものづくり補助金の趣旨である「地域経済への貢献」についてもきちんと触れておくべきでしょう。

事業目的は明確に

審査員の納得感を得るためには、資金使途の説明ももちろんですが、何より「事業目的」の妥当性が重要になります。

どんな背景や課題があって、どんなサービスが求められているか、そしてどんなやり方で実現させるのかといった内容になります。

対象類型の選択に注意

基本的には、試作品開発にあたって課題となる技術分野について、あてはまるものにチェックします。

ものづくり補助金では、認定支援機関(約2万社)に事業計画の実効性が確認されていることが要件となっており、それぞれ得意分野がありますので、ご自身の事業にあった支援機関に相談されることをお勧めします。
認定支援機関とは、中小企業・小規模事業者が経営に関する相談をするために、一定以上の専門知識と実務経験をもった専門家に対して、国が認定を与える公的な支援機関であり、金融機関、税理士、公認会計士、弁護士等が主な認定支援機関として登録されています。

申請時のチェックポイント

補助対象事業者か?

補助対象事業者は法人、組合または個人事業主になりますが、自社が対象になっているかは、「中小企業のものづくり基盤技術の高度化に関する法律」で確認できます。

自社がメインとなって開発をおこなっているか?

技術的課題の解決方法そのものを外注する場合は補助の対象外となります。
また、自社は企画するだけ、施策・製造のすべてを外注するというのも対象外です。

試作品の開発スケジュール

補助金の対象となるのは、補助金交付決定日以降の発注になりますので、公募終了後3ヶ月は待たなくてはなりません。

IoTもしくはTPP

今回のものづくり補助金はIoTとTPPがキーワードで、これらに関連付けることができると得点アップが期待されます。

IoTとは

Internet of Thingsの略で「モノのインターネット」などといわれます。
家電とインターネットがつながって、あらたな利便性が生まれるといったことが期待されており、今回のものづくり補助金では「インターネットにつながる新しい形体の製品」を作ろうとしている事業者の申請を期待しているといえます。

TPPとは

環太平洋パートナーシップ(Trans-Pacific Partnership)の略で、オーストラリア、ブルネイ、カナダ、チリ、日本、マレーシア、メキシコ、ニュージーランド、ペルー、シンガポール、米国、ベトナムの計12カ国による包括的な経済連携協定のことをいいます。
様々な関税が撤廃になりますので、該当品目の輸出企業にとってはビジネスチャンスとなります。

今回のものづくり補助金の要綱では「TPP加盟国等への海外展開により海外市場の新たな獲得を目指す取組は加点。」とありますので、関税撤廃をきっかけにどの国にどれくらい売れる商品なのかといった調査をしてみると良いでしょう。
例えば、日本の伝統工芸品や食材を、ターゲット国の人々の生活に馴染むようにカスタマイズして生産、そして輸出するといった計画を立ててみる価値はあるでしょう。

まとめ

本年度も補正予算として「ものづくり補助金」が昨年と同じ規模の予算で実施されることになりました。今回のテーマはIoTとTPPです。加点ポイントというだけですので、これに囚われることはないですが、もしすでにToT関連の事業をやられてたり、TPP加盟国に輸出をしている事業をやられている企業の方は絶好のチャンスなので、ぜひトライしてみてください。

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