最近の風俗店のサイトでは、お客さんに見せるために風俗嬢が写真付きで紹介されていることが多いでしょう。「人妻」を売りにしている風俗店の宣伝写真に、自分の妻の顔写真が載っていたらショックでしょうし、離婚したいと考える方も多いのではないでしょうか。
今回は、自分の妻が風俗で働いていることを偶然知ってしまった夫の相談に対し、離婚事由にあたるのか、不貞行為にあたるのか、そして、慰謝料請求が可能なのかについて解説します。
裁判例における「不貞行為」とは、肉体関係を指すとされている以上、風俗勤務は必ずしも肉体関係を伴うものばかりではない以上、ケースバイケースの検討が必要となってきます。
特に、家計の状況が厳しく、やむを得ず風俗で働いている場合などは、風俗で働くことも許されてしまうのでしょうか。
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離婚による慰謝料は、相場として50万円~300万円と言われておりますが、明確な基準がなく、個別の事案に応じて、増額・減額事由となる要素を、証拠と共に収集していかなければなりません。
法律上の浮気かどうかは店による
法律上の浮気・不倫を「不貞行為」といい、裁判で離婚が認められるための要件の一つとして民法に定められています。
この「不貞行為」とは、「配偶者ある者が、自由な意思にもとづいて、配偶者以外の者と性的関係を結ぶこと」と定義されており、「性的関係」つまり、肉体関係それ自体を指すといわれています。
したがって、風俗店の中にも様々なサービスをする店舗がありますから、どのようなサービスを行う風俗店で働いていたかによって、不貞行為にあたるかどうかを判断すべきです。
肉体関係がある風俗店は不貞行為
家計の状況が非常に苦しい場合などに、夫に隠れて風俗で働いてしまうことを強く攻めづらい状況にあるかもしれません。
しかしながら、法律上は、肉体関係を持てば、これは不貞行為とされ、離婚事由にあたり、慰謝料の請求も可能となります。したがって、ソープランドなど、本番行為を伴う行為をした場合には、問題なく不貞行為となるでしょう。
デリヘルやイメクラなど、店のサービスとして本番行為を含まない場合であっても、お客さんから頼まれたり別でお金をもらって本番行為を行ったりする場合には、不貞行為にあたります。
したがって、風俗店での肉体関係がある場合や、風俗店の業務としては肉体関係がない場合であっても、指名を受けて仲良くしているうちに店外で肉体関係を持ってしまったという場合には、「不貞行為」となり、慰謝料請求の対象となる行為となります。
生活のために仕方なく?
風俗に勤務しないと生活費が足りなくなってしまうといった家計の状況を理由にした風俗勤務の場合、問題は異なるのでしょうか。
裁判例では、たとえ経済的に仕方ない事情があったとしても、夫以外の男性と肉体関係を持った場合には、不貞行為にあたり、離婚原因となる可能性が高いとされています。
最高裁判所の判決でも、風俗ではなくて売春行為を生活のために行った妻のケースについて、不貞行為にあたり離婚原因にあたると判断しています。
本番行為がない場合は?
本番行為がない場合であったとしても、様々な風俗のサービスを他の男性に提供するということは、問題があると考えられます。
この場合「婚姻を継続し難い重大な事由」にあたり、やはり離婚が認められる可能性が高いでしょう。この際、離婚事由にあたるかどうかは、以下の事情を考慮してその違法性を判断します。
☞ どの程度経済的に苦しい状況であったか
☞ 夫の協力を得られなかったか
☞ 風俗店で働いていた期間
☞ 風俗店で働いていた頻度
また、これらの事情がある場合には、風俗店に勤務していたことが、夫から妻に対する慰謝料請求の原因ともなる可能性があります。仮に、風俗店が最終的な肉体関係までを伴わないサービスを前提としたお店であった場合で、妻が風俗店内で業務としての肉体関係をもっていなかった場合であっても慰謝料請求が認められるケースがあり得るということです。
性交それ自体が存在しなかったとしても、性交に類似する行為が行われている以上、夫としても大きなショックを受け、精神的ダメージも大きい場合が多いためです。
風俗店勤務の妻に対して慰謝料請求は可能か?
妻が風俗で勤務していたことが判明した場合、大変ショックを受けることでしょう。
離婚原因になる場合が多いですし、妻の風俗勤務を原因として離婚となった場合には、慰謝料の請求ができる可能性があります。
風俗店勤務を原因とした慰謝料請求の事案はそれほど多くないことから、確たる相場が形成されているわけではありませんが、不倫の慰謝料相場が一般的に100万円~300万円とされていることが参考になります。
また、子どもがいる場合には、風俗店勤務は子どもの成長にとって悪影響が大きいと考えられますから、親権を夫に与えるべき事情の一つとして考慮されるでしょう。
慰謝料請求の際に、慰謝料額を検討するにあたっては、次の事情を考慮して判断しましょう。
- ☞ 風俗店勤務に至った理由
- ☞ 風俗店勤務の期間
- ☞ 肉体関係を持った回数、頻度
- ☞ 発覚後の妻の態度、反省
- ☞ 夫に与えた精神的損害の程度
- ☞ 夫婦関係を侵害した程度
夫が妻に対して生活費を渡しておらず、妻の生活費確保のためにやむを得ず風俗店勤務をしなければならないなど、風俗店勤務の必要性が認められるケースでは、慰謝料額は少なくなると考えられます。これに対して、止むを得ない事情がないとか、妻が贅沢目的でお金がほしいという理由の場合などには、慰謝料額は多くなると考えられます。
風俗店への勤務が発覚後、妻が夫婦関係の修復にどれだけ努力をしたかによっても慰謝料の金額は変わってきます。また、一度発覚し、二度と行わないことを誓約しながら、再度風俗店勤務を行った場合には、止むを得ない事情がない限り、慰謝料が大幅に増額される可能性があります。
妻の風俗店への勤務によって、夫婦関係を破壊し、夫に大きな精神的ダメージを与えれば与えるほど、慰謝料の金額は増額される傾向にあります。
まとめ
以上、今回は妻が風俗店に勤務していた場合、離婚できるか、その場合に慰謝料請求、親権、養育費をどうするかについて解説しましたので、参考にしてください。
逆に、夫が風俗通いを止めない場合離婚できるかどうかについては、次の記事で解説しています。
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