所有しているアパートやテナントビルが老朽化しているから建て替えたいという時に立ちはだかるのが、現在借りている人たちの立退き問題です。
なぜ、立退き問題が起こるのかといえば、現行の法律(民法、借地借家法など)では、賃借人(借り手)の側に手厚い保護が与えられているからです。
では、賃借人(借り手)が反対している場合に、どのように立退き交渉をうまく進めていけばいいのかを解説します。
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このページの目次
交渉は相手があってこそのものと心得よう!
事前の準備は「正当な事由」を用意すること
不動産の貸し手(賃貸人)が解約を申し入れる時には、借地借家法が適用される場合には、「正当な事由」が必要となります。
「建物の老朽化」など、賃貸人が思っている理由も一応は正当事由としてあげられる事情の一つではありますが、賃貸人による一方的な見解に頼って交渉を進めると、結果的に割高な立退料を押し付けられた理、交渉そのものがこじれる場合があります。
したがって、交渉を進める場合には、経験豊富なエキスパートの客観的な意見を参考にして進めるようにしましょう。
立退き交渉の目的を明確にしておくこと
あなたが賃借人だった場合に「老朽化したから出て行ってください」と突然言われたら、いかがでしょう?
「まだ住めるのになんで追い出すのですか・・・」と文句を言いたくなりますよね。
これが、「実はこの家賃収入だけだと大家も生活が苦しいので・・・」と家庭の事情を切々と語れば、頑なな考え方も変わるかもしれません。
賃借人の方でも、「そろそろ古くなってきたし、他の家を探したいな」と思っていたところだったかもしれませんから、感情を逆なでするような交渉は得策ではないでしょう。
なぜ立退きをしてほしいのかを明確にした上で、立退きをしてもらった後の目的(たとえば「売却処分したい」など)を明確にしておくと、交渉の方針も立てやすくなります。
立退料の予算は多めに
1棟のマンションの場合など、賃借人が多数いる場合には、1人でも立ち退かなかれば立退き交渉の目的を達成できなくなります。
複数の賃借人から立退料を要求されたときに「予算が足りなくなって1人立ち退いてもらえなかった」ということが無いようにしましょう。
あなたが「かかる費用は抑えたい」と思っている間に、交渉相手は「できるだけ多くとりたい」と思っているものです。お金ではない解決を導くにしても、予算は多くもっておきたいものです。
立退料の相場や、その増額・減額ケースについては、こちらの記事を参考にしてください。
(参考)立退料の相場と算出根拠。立退料が高額になる場合と減額になる場合。
交渉相手をよく知っておこう
賃借人はどんな性格の人か、どんな年齢でどんな職業に就いているか、ファミリーであれば誰が意思決定者なのかなど、賃借人に関するあらゆる情報を集めましょう。
立退き交渉の専門家はこれらの細かな情報収集をもとに、「お金を出さなくても立退く人」「しかるべきお金が出れば立退く人」「できるだけたくさんのお金をとりたい人」「お金では動かない人」といったように分析して、交渉の順番を決めていきます。
どのような情報がいつ役に立つかわかりませんから、できるだけ情報収集を続けるべきです。
時間は惜しまない
立退き交渉の専門家は少なくとも1ヶ月は事前の調査を続けるといいます。
これは、前に説明をした情報収集なども含みます。近隣の住人や地権者とも情報交換をしながら交渉に有利な情報を仕入れていくわけです。
調査の時間もさることながら、交渉にも相当の長時間がかかります。内心では「立ち退かなきゃなあ」と思っても、一度で折れるわけにはいかないという人間心理もありますから、交渉相手との人間関係構築には時間がかかるわけです。
交渉記録は必ず残す
交渉ごとの仕事で記録を残さないければ、後からトラブルになった場合に証拠が残らなくなってしまいます。
裁判を恐れるな
裁判を恐れてはいけません。
積極的に裁判にしてよいわけではないですが、争いごとを恐れてはいけません。交渉相手も、住処がなくなるかもしれないわけですから、必死であり、本気です。
交渉の段階で最善を尽くしてもまとまらなければ訴訟を起こすことを検討していくべきで、訴訟を恐れてはなりません。
交渉相手から逆に訴訟を起こされた場合にも同様で、「正当な事由」があるのであれば戦う理由があるといえます。
まとめ
立退きの交渉は、一方的な権利主張を自分勝手に押し付けてうまくいった試しはありません。相手があってこその「交渉」であり、話し合いによって立退きを実現させるのが一番です。そのためには、交渉相手のことを十分に理解する必要があります。
しかしながら、感情的になってしまい交渉が破綻してしまうケースも少なからずいます。また、交渉が難航すると精神的にも落ち込んでしまいます。最初の躓きが致命傷となる場合が多いので、「立退き」を思い立ったら、まずは弁護士や不動産業者といった専門家に相談するのがよいでしょう。
どの段階で相談をしたとしても、立退きの実現までにはかなりの長期戦を覚悟しなくてはなりませんので、お早めの対策が重要です。
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