弁護士が解決!作成した遺言書を取消し、変更することは可能?新たな遺言書を作成した場合の取り扱い方とは


遺言書取消し撤回変更相続法律相談弁護士東京

遺言書を作成する上で、後から気が変わるといった事はよくあることです。

「遺言書は一回作成したら終了なのでしょうか?」「一生変更できないのでしょうか?」という考え方を抱きがちですが、そうではありません。

実は、遺言書はいつでも、何度でも変更、取消しが可能です。

遺言書に関するトラブルは非常に多く、遺言書の作成に慎重にならざるを得ないのは当然のことで、法的にも一度書いた遺言書の変更、撤回は許されています。

そこで、今回は正しい遺言書の撤回、変更の仕方、そして新たな遺言書を作成する上での注意点について解説します。

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遺言書の撤回・変更を考えるべきケース

例えば、遺言書を作成したけれども、後に変更したくなる事例としては、次のようなものがあります。

  • ☛ 相続人として財産を譲り渡すつもりだった妻が先に死亡してしまった。
  • ☛ 遺言書を作成した後に息子が結婚したが、息子の嫁が介護の世話をしてくれるため財産を残したい。
  • ☛ 遺言書を書いた途端、遺言書で財産を譲る予定だった人が態度を突然豹変させた。

このような場合、遺言書の変更、撤回を、正しい手順で行わなければ、意思に反して遺産が相続されてしまうこともあります。

過去には、実際に悪意を持った者に惑わされ、遺言書を作成してしまい、遺言書が撤回できることを知らなかったために遺産を取られてしまった事例も存在します。

そのため、このような遺言書に関するトラブルに対しては、より慎重に対処しなければなりません。

遺言を撤回、変更する方法

遺言を撤回、変更する方法は、遺言書の種類によって異なります。

最も確実なのは、新しい遺言書を公正証書遺言によって作成し、古い遺言を全て取消す旨を明記しておくことです。

遺言書を破棄する

遺言書の撤回に際して、最も簡単な方法の一つとして、「遺言書の破棄」があります。

遺言書を破り捨ててしまえば、その遺言書自体が無くなるわけですかあら、当然に効力は失われます。

自筆証書遺言や秘密証書遺言は原本が一つだけなので、手元にあるその原本を破棄すれば足りるのですが、これに対し公正証書遺言の場合は、遺言書が公証役場に保管されるため注意が必要です。

手元に遺言書がなかったとしても、公証役場に残されている遺言書が有効となってしまう恐れがあります。

遺言書を破棄する場合には、確実に手元の原本が破棄できているか、また、公証役場に保管されていないか確認しましょう。

新しい遺言書の作成

新しい遺言書を作成することで、過去に作成した遺言書と矛盾する内容を取消すことが可能です。

遺言書では、作成された時期によって適用される遺言書が特定されます。一般に、新しい遺言書は過去の遺言書よりも優先して適用されます。

この場合、遺言書の方式は問題となりません。例えば、先に公正証書遺言を作成したのちに、自筆証書遺言を作成した場合に、両者の内容に矛盾が生じた場合には、自筆証書遺言が適用されます。

公正証書遺言だからといって、他の遺言書よりも優先されるわけではないのです。

また、新しい遺言書によって過去の遺言書が変更されるのは、矛盾する部分のみになります。

矛盾してない、あるいは、特段の明記がない場合には、過去の遺言書の内容が適用されることがあります。ですので、もし争いになる恐れがあるとすれば、どの部分、もしくは全部を取消す旨を記載することをおすすめします。

遺言撤回の時期による制限

遺言書の撤回といっても、既に効果が発生してしまった場合、すなわち、被相続人が死亡してしまった後の場合には、一定程度の制約があります。

効果発生前の撤回はいつでも可能

遺言書の効果発生前、すなわち、被相続人生前において、遺言の取消し権の放棄は認められていません。

つまり、いくら過去の遺言上に「この遺言は取り消せない」と記載されていたとしても、その記載は意味を持たないということです。

効果発生後の撤回

被相続人死後の遺言の取消しは、被相続人、つまり、遺言を残す側がすでに死亡してしまっているため、通常取消しはできません。

しかし、例外として詐欺や強迫によって遺言書が作成されたと分かった場合には無効となります。ただし、この場合、子の認知などの身分行為に関しては取消すことができないとされています。

公正証書遺言の撤回の注意点

公正証書遺言は、遺言の中でも最も適式なものになります。

公証人立ち合いの下作成され、公証役場に原本が保管されるため、手元にある原本のコピーを破っただけでは撤回、変更はなされません。

したがって、公正証書遺言を撤回する場合には、新しい遺言書による撤回が有効です。

しかし、新しい遺言書を作成に際して、自筆証書遺言や秘密証書遺言は、遺言が撤回、変更される要件を満たすように細心の注意が必要となるため、おすすめはできません。

再度、新たに公正証書遺言での撤回が確実です。また、遺言書の作成にあたり、弁護士に依頼をすることで、より確実に有効な遺言書が作成できるのでおすすめです。

取り消した遺言が復活する場合とは?

一度遺言が取り消されると、新たな遺言が有効となり、古い遺言は無効となるのが原則です。

ただし、例外的に、古い遺言が復活するケースが考えられます。

新たな遺言が詐欺強迫によって取消しとなった場合

原則として、新たな遺言が作成された場合、過去の遺言が復活することはありません。

しかし、新たに作成された遺言書が詐欺、強迫によって作られたと分かった場合には、無効となるので、過去の遺言が復活することがあります。

遺言を取消す旨の遺言をさらに遺言で取消した場合

これも複雑なケースですが、遺言を取消す旨を記載した遺言を、さらに別の遺言によって取消した場合です。

前述したように、遺言書はより新しい遺言書が適用されます。取消しをさらに取消す遺言が作成されれば、その取消しの取消しが有効になり、先の取消し以前の遺言が適用されることになります。

おすすめは新たに同内容の遺言書を作成すること

以上の通り、古い遺言を復活させることは、例外的なやり方によって可能ではあるものの、法的には非常に複雑な考え方となり、争いの火種ともなりかねません。

やはり、確実な方法は同内容の遺言書を作成することです。取消しが復活する上二つのケースはどちらも複雑です。

そのため、トラブル回避、そして、煩雑性の回避に為に再度新しく作成することをおすすめします。

まとめ

遺言書は自分の死後に残せる最後の意思表示です。

遺言書の取消し、変更はいつでも可能です。遺産相続が自分の意思に反して行われてしまわないように、今から確認をしておきましょう。

遺言に関してご不明な点がある方は、ぜひ弁護士に相談することをおすすめします。

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