不倫（浮気）を発見し、慰謝料を請求する際、ご自身で行うことも可能ですが、適切な証拠の収集、慰謝料相場の算出といった手間を考えると、離婚事件に強い弁護士に依頼することも検討すべきでしょう。

不倫の慰謝料請求は、金銭の請求に関する事件ですから、弁護士費用は、その請求額によって変わってきます。

離婚事件に強い弁護士とは、弁護士人数の多い事務所でも、女性対応を謳う事務所でも、支店の多い事務所でも、そのいずれでもありません。離婚事件の豊富な知識と経験を有し、様々なパターンの解決となり得る離婚事件に柔軟に対応できるよう、多くの解決実績を有する事務所を選びましょう。

不倫の慰謝料を請求する際、請求すべき慰謝料の額の相場は、こちらの記事を参考にしてください。

不倫・浮気の慰謝料請求をされたときの解決の３つのポイント

不倫慰謝料の弁護士費用は、請求額によって変わります

不倫の慰謝料請求は、金銭の請求に関する事件ですから、その弁護士費用は、請求額（「経済的利益」といいます）によって変わってきます。

「経済的利益」は、慰謝料の請求額によりますので、適切な慰謝料の相場について、こちらの記事を参考にしてください。

不倫・浮気の慰謝料請求をされたときの解決の３つのポイント

日弁連の報酬基準とは？

昔は、日本弁護士連合会が、「報酬基準」を出していたことから、その報酬基準にしたがって算出することとなっていました。
現在は、報酬基準は廃止されており、報酬は自由化されていますが、今でも報酬基準にしたがった料金としている事務所が多いといえます。

詳しくはこちらをご覧ください（引用元：「弁護士報酬ってなに？」（日本弁護士連合会））

経済的利益の額	着手金	成功報酬金
300万円以下の場合	8％×1.05	16％×1.05
300万円～3000万円以下の場合	（5％＋9万円）×1.05	（10％＋18万円）×1.05
3000万円～3億円以下の場合	（3％＋69万円）×1.05	（6％＋138万円）×1.05
3億円以上の場合	（2％＋369万円）×1.05	（4％＋738万円）×1.05

※着手金の最低額は10万円です。
※経済的利益の算定が困難な事件には、適用されません。
※個別の案件の難易度、業務量に応じて、増額・減額がありえます。

自由化のながれ

このように、日弁連の報酬基準にしたがって、慰謝料の相場を請求額として算出している例が多いとはいえますが、現在は報酬が自由化されていることから、事案によっては別の報酬体系を提案している事務所も多くあります。

たとえば、依頼者の経済的な事情が苦しく、そして、事案として回収の可能性が非常に高い場合には、着手金を安くしたり、分割にしたりして、その分成功報酬を引き上げるという料金体系の相談に応じる事務所もあるのではないでしょうか。
このあたりは、個別の事務所によって違うため、ご相談してみてください。

ただし、離婚事件は、簡単なようにみえて非常に複雑で、多種多様な人々の利益を調整していかなければならないため、文書化できないノウハウも多くあります。
したがって、料金だけで選ぶのではなく、離婚事件を解決した実績が多く存在するかどうかなど、実際に有利な結果を導き出せる事務所を選ぶとよいでしょう。

その他の費用（実費・日当など）

以上の費用に加えて、実費、日当などの名目で費用がかかる場合があります。
弁護士に相談する際には、これらの費用も含めて、総額でいくらくらいかかるかの見積もりをとる必要があります。
　
着手金、報酬などは安くても、一度裁判所に出頭するたびに日当として数万円の費用がかかるという場合には、総額としてはかなり高額になってしまうケースもありますので、注意が必要です。

不倫の慰謝料請求事件に強い弁護士とは？

離婚事件をはじめとした、男女問題の解決実績が豊富

弁護士といっても、様々な専門分野があり、法人のお客様を専門的に取扱っていて個人の方を対象とした業務を一切行っていないという事務所も存在します。

確かに、日本では離婚率は非常に高い水準にあり、「離婚事件を行ったことがある」という弁護士は多いとは思いますが、考えるべき論点はケースごとに違っており、あなたの事件は非常に特殊なケースかもしれません。
離婚事件には、離婚事件特有の知識、ノウハウがありますから、十分な相談実績、解決実績を有する弁護士にお願いするべきでしょう。

明確な費用体系

弁護士費用について、ホームページや相談時に明確な説明をしてくれる弁護士にお願いするべきでしょう。

弁護士費用が高すぎて、相場どおりの慰謝料を獲得できたとしても全くお金が手元に残らないというのでは元も子もありません。
また、初期費用は安くても、積み上げ方式で費用が加算されていって、事件が終了したころには思いのほか高いお金を請求されるという場合もありますから、総額でどの程度の費用がかかるのかを聞いておくべきでしょう。
特に、日当を請求する事務所の場合には、合計額がどの程度になる見込みであるのか、弁護士の予想を聞いておくべきです。

また、「無料相談」を実施している事務所は一見すると安くてお得に見えますが、その他たくさんの相談者がみな無料で相談をしにくることから、あなたの事件に使う時間が少なくなる可能性もありますので、次の項目のとおり、親身になってくれる先生かどうかも合わせて判断するべきでしょう。

迅速な対応

不倫の慰謝料請求の場合、時効が３年と定められていますが、実際には、３年も待っていたのでは、証拠がなくなってしまったり、事件が風化してしまう可能性があります。

したがって、迅速に対応してくれる弁護士にお願いするべきでしょう。こればかりは実際に事件を依頼してみなければわかりませんが、普段のメール・電話への応答がすぐにされているかという点に注意して、１週間経ってもメールに返信がないといった弁護士は、要注意かもしれません。

依頼して一番最初の仕事は、内容証明郵便など、相手とのコンタクトになるかと思いますので、どの程度で最初の一報を送ってくれるのかを聞いてみるとよいでしょう。

親身な対応

不倫（浮気）が発覚した場合、あなたの怒りは尋常なものではないでしょう。この怒りを相手に対して伝えるために、弁護士が代理として依頼を受けるのです。

もちろん、弁護士は法律の専門家であって、復讐や怒りを伝える役割ではありませんから、冷静に法的なアドバイスをするのが一番ですが、あなたの怒りの気持ちをしっかりと理解して仕事をしてくれる弁護士でなければ、あなたの納得する結果は得られないでしょう。

「複数担当制」などを謳う事務所も多く存在しますが、どの弁護士が担当しているかが不明確になりがちで、あなたに共感して事件を丁寧に事件を進めてくれる可能性がないと感じる場合には、信頼のできる弁護士にお願いするのが一番ではないでしょうか。

まとめ

今回は、離婚事件の中でも、不倫の慰謝料請求事件にフォーカスして、その弁護士費用の相場や、どのような弁護士に依頼するべきかについて解説しました。
参考にしていただけたら嬉しいです。