マイナンバー法には刑事罰が定められており、不正なマイナンバー取得行為を行った場合には逮捕される可能性もありました。
マイナンバー法違反の容疑で初めての逮捕者が出ました。内容としては、行為を持った女性の自宅に不正に侵入してマイナンバーを撮影したというマイナンバー不正取得行為の容疑です。各報道によれば、マイナンバー法違反の罪によって逮捕されたのは全国初とのことです。
マイナンバー法違反の刑事罰について解説していきます。
刑事事件はスピーディな対応が重要です!
もし、あなたの家族、友人、親族が、刑事事件で逮捕、勾留などの身柄拘束を受けた場合には、刑事事件の得意な弁護士にすぐ相談をしましょう。刑事弁護を開始するタイミングが早ければ早いほど、身柄拘束が短期で終了し、示談成立、起訴猶予などの、有利な結果を獲得できる確率が上がります。
日本の刑事司法では、起訴された場合の有罪率は99.9%と言われており、捜査、起訴と進んだ場合には、手遅れとなりかねません。前科が付き、その後の人生を崩壊させないために、早期の刑事弁護が重要です。
このページの目次
マイナンバー法違反で逮捕は全国初
今回、マイナンバー法違反で全国初の逮捕がされました。マイナンバー法には刑事罰が定められていますので、不正取得などを行えば逮捕のリスクもありましたが、実現するのは初めてです。
今回の事件は、各報道によれば、次のような内容です。
☞ 勤務先のパート従業員に行為を寄せ、自宅に侵入してマイナンバーを撮影
☞ 住居侵入罪の容疑で逮捕されていたところ、マイナンバー法違反で追送検
住居侵入罪の容疑で逮捕されていたところ、スマートフォンを調べたらマイナンバーの写真が出てきたことからマイナンバー法違反で追送検されたという経緯です。
警察の調べに対して容疑者は被疑事実をすべて認めているようです。
マイナンバー法の刑事罰
今回逮捕の理由となったマイナンバー法違反は、マイナンバーの不正取得行為を理由とするものです。暴行、脅迫、不正侵入などの違法な行為によってマイナンバーを不正に取得した場合には、3年以下の懲役、または、150万円以下の罰金という刑事罰となります。
マイナンバー法の条文には次のように定められています。
マイナンバー法51条1項
人を欺き、人に暴行を加え、若しくは人を脅迫する行為により、又は財物の窃取、施設への侵入、不正アクセス行為その他の個人番号を保有する者の管理を害する行為により、個人番号を取得した者は、3年以下の懲役又は150万円以下の罰金に処する。
マイナンバー法は、個人情報保護法の特別法として制定されており、マイナンバーを個人情報の中でも特に保護すべきものとして厳重な定めを規定しています。そのため、マイナンバーを流出させたり、不正取得したりした行為に対しては、厳しい刑事罰が科されていますので、注意が必要です。
個人情報保護法の刑事罰との違い
マイナンバー法は個人情報保護法の特別法ですが、流出すると取り返しがつかず、また、悪用すると与える影響が非常に大きいというマイナンバーの重要性から、個人情報保護法よりも厳しい刑事罰が規定されています。
個人情報保護法では、違反に対して監督官庁の是正勧告が予定され、これに違反した場合に刑事罰が科せられるのに対し、マイナンバー法の場合には、故意の不正取得に対してはただちに刑事罰を科すという内容の規定となっています。
マイナンバーを取り扱う会社も罰則の対象
マイナンバーを不正取得する行為に対しては、不正取得をした個人に対して刑事罰による制裁があることはもちろん、その雇用主である会社に対しても罰金刑の処罰があります(これを「両罰規定」といいます)。
会社がマイナンバー法違反行為を行った場合には、刑事罰による制裁だけではなく、民事裁判における損害賠償請求を受けるリスク、特定個人情報保護委員会から勧告、指導を受けたり、企業名公表をされたりといった行政上のリスク、社会的な信用を失うというリスクなど、多くのデメリットが予想されますから、慎重な対応が必要です。
処罰対象のマイナンバー法違反は「故意」のみ
現在のマイナンバー法では、違反に対して刑事罰の処罰があるのは、故意行為のみとなります。したがって、故意に不正行為を行ったのでなければ、刑事罰の処罰はありません。
とはいえ、過失でマイナンバーを漏洩したといったケースであっても、その過失が重大なものであれば、民事裁判における損害賠償請求を受けるリスクや行政上のリスクはなお残るため、十分な対策とセキュリティチェックをしておかなければなりません。
まとめ
マイナンバー法違反のマイナンバー不正取得行為によって全国初の逮捕者が出たことから、マイナンバー法違反の刑事罰について解説しました。
刑事罰を科されるおそれのある故意の不正取得行為はもちろん、刑事罰を科されないとはいえ重大な過失による漏洩行為を避けるために十分な対策をしなければなりません。
刑事事件はスピーディな対応が重要です!
もし、あなたの家族、友人、親族が、刑事事件で逮捕、勾留などの身柄拘束を受けた場合には、刑事事件の得意な弁護士にすぐ相談をしましょう。刑事弁護を開始するタイミングが早ければ早いほど、身柄拘束が短期で終了し、示談成立、起訴猶予などの、有利な結果を獲得できる確率が上がります。
日本の刑事司法では、起訴された場合の有罪率は99.9%と言われており、捜査、起訴と進んだ場合には、手遅れとなりかねません。前科が付き、その後の人生を崩壊させないために、早期の刑事弁護が重要です。