日本でも人気のairbnb。「民泊の仲介サービス」と言われるもので、インターネットを通じて、住んでいる部屋を旅行者に貸し出せるというホームシェアリングサービスです。
自宅を短期で賃貸したい人と、外国人旅行者、観光客の需要がマッチして急成長しました。
世界190ヶ国、2,500万人が利用している世界的なサービスなのですが、日本では色々規制に抵触するおそれがあると言われています。
現状どんな規制を気にする必要があり、将来的にはどうなっていくのか、解説していきます。
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このページの目次
AirBnBが違法、違反となる可能性は?
旅館業法に違反する可能性
まず、AirBnBで自宅を貸し出すことは、旅館業法に違反する可能性があります。
短期間の貸し出しについてお金をとる場合には、旅館業法にいう「旅館業」にあたる可能性があり、その場合には旅館業法にしたがった許可の手続きを踏まなければなりません。
そして、この許可を受けるためには、床面積、客室数などに関する細かな要件を満たさなければならず、AirBnBでやりとりされている個人宅のマンションがこれを満たすことは難しいでしょう。
では、AirBnBで自宅を貸し出すことは、旅館業法にいう「旅館業」に該当するのでしょうか?
「旅館業」の法律上の定義は以下の通りです。
旅館業とは「宿泊料を受けて人を宿泊させる営業」と定義されており、「宿泊」とは「寝具を使用して施設を利用すること」とされている。
旅館業は「人を宿泊させる」ことであり、生活の本拠を置くような場合、例えばアパートや間借り部屋などは貸室業・貸家業であって旅館業には含まれない。
また、「宿泊料を受けること」が要件となっており、宿泊料を徴収しない場合は旅館業法の適用は受けない。
したがって、宿泊料を得て、ベッドなどの寝具を貸し出せば、それは「宿泊をさせる」場合にあたり、これを継続的に行えば「営業」となりますので、これによって「旅館業」とみなされ、都道府県知事の許可が必要となるのです。
つまり、無許可でのAirBnBによるホームシェアリングは、旅館業法違反の可能性が高いといえます。
無許可で貸し出した場合、その貸主が、旅館業法上の責任を負うことになります。具体的には、旅館業法違反の無許可営業として、「6か月以下の懲役、または、3万円以下の罰金」という刑罰が科せられることとなります。
個人が趣味の範囲で行っているものについて、「営業」といえるほどに反復継続して行っているかどうかを逐一捜査するのは現実的ではないため、刑罰が科せられることは考えがたいですが、大規模に事業として行っている場合には、捜査の手が入らないとも限りません。
今後の政治の流れ次第でも、雲行きは変わってくるでしょう。
賃貸物件の又貸しは賃貸借契約違反の可能性あり
賃貸物件でのAirBnBの場合、賃貸借契約の禁止事項に「転貸の禁止」(第三者への又貸しの禁止)に関する条項が記載されている場合は、その契約にのっとり賃貸借契約の解除となる可能性があります。
現在では、多くの賃貸マンションは契約者本人の住居用を前提として貸しておりますので、転貸の禁止が条項として盛り込まれているものが多いです。
また、転貸禁止の条項が賃貸借契約になかったとしても、部屋を借りた観光客がパーティをやって設備を破損したとか、売春宿として利用したなどという例が、海外ではすでに話題となっております。当然ながらこの場合には、貸した者も損害賠償責任を負うこととなります。
日本でも、このような悪質な利用態様が今後問題になってくる可能性もあります。
オーナー物件の場合も、管理規約違反が問題
では、自身の所有するマンションでAirBnBをする場合には問題はないのでしょうか。
オーナー物件であったとしても、マンションは他の住民と集合して使用しているものですから一定のルールがあり、マンション管理規約に定められています。
まずは、マンション管理規約に違反しないかどうかをチェックしてみましょう。
禁止事項に「契約者本人の住居用以外の用途」と記載されている場合には、AirBnBがマンション管理規約違反となる可能性があります。
近隣からのクレーム
赤の他人を宿泊させる場合にリスクとなる問題として、騒音などの近隣トラブルがあります。
複数の部屋から管理会社に苦情がとどけば、騒音の発生源はつきとめられますし、再度の忠告にも応じなかった場合は賃貸借契約違反で契約解除につながることもあります。
また、受忍限度を超える騒音は民法709条の不法行為となり、30万円相当の慰謝料の支払を命じた判決もあります。
民泊の今後の流れ
国家戦略特別区域法
首相官邸のページには国家戦略特区について次のようなスローガンが掲げられています。
産業の国際競争力の強化及び国際的な経済活動の拠点の形成を図るため、国家戦略特区を突破口に、あらゆる岩盤規制を打ち抜いていきます。
この法律では、「外国人滞在施設経営事業」の認定をうけた場合は、旅館業の許可は不要となりました。つまり外国人旅行者相手であれば、営利目的の民泊も可能になったということになります。
ただし、AirBnBであればどういった方法でもよいわけではなく、一定の要件を守って行わなければなりません。
国家戦略特区法に関する「外国人滞在施設経営事業」については、詳しくは、「
また、AirBnBに詳しい不動産業者、弁護士といった専門家にアドバイスを求めるとよいでしょう。
国家戦略特別区には、東京都、神奈川県、大阪府、兵庫県、京都府などの一部区域に認定されています。
区域に関しては首相官邸のページでご確認ください。
さらには、2015年の10月より、政府は規制改革会議にて、一定の民泊サービスについては旅館業法の適用外にすることを検討しはじめました。
これらの民泊拡大に向かう大きな流れは、外国人観光客の増加による宿泊施設不足の対応と、観光振興での地方に地方創生が政府の狙いといわれています。
まとめ
ホームシェアリングサービスは今まで旅館業法の規制をうけておりましたが、政府の意向により、外国人宿泊者に対しては規制がなくなりつつあります。
一方で、賃貸借契約やマンション管理規定での違反行為に当たりますし、近隣トラブルなどのリスクもはらんでいます。
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