平成28年2月19日、全国の自治体に対して、「市役所に爆弾を仕掛けた」という爆破予告のメールがとどいていたと報道されました。
これまでに特に爆発は怒っていないようですが、犯行のメールは弁護士を名乗り、自治体のホームページのお問合せフォームに対して行われたようです。メールの文体は、「高性能な爆薬を入手したナリ」「ガチで爆破しますを」など、文末に「ナリ」「を」を多用した独特な文体だったということです。
今回は、犯罪予告、爆破予告などを行ってしまった場合、どのような罪になるのかを解説していきます。刑罰が科せられるおそれもありますから、いたずらでは済まされません。
インターネットが浸透した現代では、インターネット掲示板への書込みが匿名であると思って、軽率に犯罪予告を行ってしまうケースが増えていますが、実際にはIPアドレスなどから書込みをした者を特定することができるケースが多く、犯罪として逮捕、起訴されるリスクがあります。
刑事事件はスピーディな対応が重要です!
もし、あなたの家族、友人、親族が、刑事事件で逮捕、勾留などの身柄拘束を受けた場合には、刑事事件の得意な弁護士にすぐ相談をしましょう。刑事弁護を開始するタイミングが早ければ早いほど、身柄拘束が短期で終了し、示談成立、起訴猶予などの、有利な結果を獲得できる確率が上がります。
日本の刑事司法では、起訴された場合の有罪率は99.9%と言われており、捜査、起訴と進んだ場合には、手遅れとなりかねません。前科が付き、その後の人生を崩壊させないために、早期の刑事弁護が重要です。
犯罪予告は犯罪です!
脅迫罪
脅迫罪とは、相手に対して恐怖を与える脅迫を行うこと(法律用語では「畏怖させる」といいます)を処罰するための犯罪です。
脅迫行為を行った場合には、2年以下の懲役、または、30万円以下の罰金が科せられます。
刑法の条文は、以下のように定められています。
1.生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者は、2年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する。
2.親族の生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者も、前項と同様とする。
したがって、犯罪予告の中でも、特定の個人に対して犯行を行うことを予告した犯罪予告は、脅迫罪にあたる可能性があります。
業務妨害罪
業務妨害罪とは、嘘の事実をつたえたり、物理的な害悪をつかって人の業務を妨害したりする行為を処罰する犯罪です。
この中には、嘘の事実を伝える(法律用語で「虚偽の風説を流布する」といいます)ことによる偽計業務妨害罪と、物理的な害悪をつかう(法律用語で「威力」といいます)ことによる威力業務妨害罪があります。
いずれも、これらの行為を行った場合には、3年以下の懲役、または、50万円以下の罰金となります。
刑法の条文は、以下のように定められています。
虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を毀損し、又はその業務を妨害した者は、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
爆破予告や無差別殺人など、対象が広範囲に及び被害の拡大が予想されるような内容の場合には、これに対する対策として、営業を一時的に中止したり、人員を配置して費用をかけた対策をしたりといったことを行わなければならないため、業務妨害罪にあたるおそれがあります。
物理的な害悪を伝えることによって業務を妨害した犯罪予告は、威力業務妨害罪にあたる可能性があります。また、嘘の情報を伝えることによって業務を妨害した犯罪予告は、偽計業務妨害罪にあたる可能性があります。
軽犯罪法違反
以上の罪に該当しない場合であっても、いたずら目的で犯罪予告をした場合には、軽犯罪法違反となる可能性があります。
その他の犯罪予告
爆破予告などの犯罪予告は繰り返し行われています。
☞ 平成24年3月3日、奈良市立の中学校に対し、100万円を用意しないと学校を爆発させるという内容の電話があり、学校は全生徒を運動場に避難させることとなった。
☞ 平成24年5月20日、島根大学に爆破予告をしたとして、男性(31)を偽計業務妨害容疑で逮捕。大学近くの公衆電話から「午前11時に島根大を爆破する」などと電話し、この日島根大学で行われる予定であった国家試験を中止させるという業務妨害を行った。
爆破予告だけでなく、インターネット上では、悪ふざけによる犯罪予告が日々なされています。
内容が悪質である場合には、逮捕され、身柄拘束にいたったケースも多数報道されています。
どのような犯罪予告が逮捕されるのか
犯罪予告の中には、実現不可能な内容であったり、誤字をつかって意図が伝わりにくくしたりすることによって警察をかく乱する内容の犯罪予告も存在します。
しかし、このような犯罪予告であっても、罪にあたるとして逮捕されたケースも報道されていますので、注意が必要です。
特に、誰でもインターネットを使えるようになって、匿名の掲示板やブログなど、自分の名前を出さなくても犯罪予告を行える場所が増えたことから、軽い気持ちで犯罪予告をしてしまうケースも増えました。
しかしながら、これらのインターネットサービスであっても、IPアドレスの開示を行うことによって「いつ、どのパソコン・携帯電話・スマートフォンから書込みが行われたか」を調べ、容易に特定することができます。これは、民事事件であれば弁護士の業務ですし、刑事事件であれば警察の捜査によって判明します。
最近では、大きな事件の前にインターネットで犯罪予告が行われることも多いことから、警察も匿名掲示板の犯罪予告などに目を光らせています。
刑事事件はスピーディな対応が重要です!
もし、あなたの家族、友人、親族が、刑事事件で逮捕、勾留などの身柄拘束を受けた場合には、刑事事件の得意な弁護士にすぐ相談をしましょう。刑事弁護を開始するタイミングが早ければ早いほど、身柄拘束が短期で終了し、示談成立、起訴猶予などの、有利な結果を獲得できる確率が上がります。
日本の刑事司法では、起訴された場合の有罪率は99.9%と言われており、捜査、起訴と進んだ場合には、手遅れとなりかねません。前科が付き、その後の人生を崩壊させないために、早期の刑事弁護が重要です。