刑事事件の流れが5分でわかる!弁護士相談から逮捕、判決まで


刑事事件

逮捕というのは、一般の方が逮捕に遭遇することは一生に何度はないでしょう。
不安、疑問で一杯になり、焦りの余り適切な対応ができないかと思います。特に家族や親しい友人であるという場合はなおさらでしょう。

まずは、逮捕から判決までの刑事事件の手続きの流れを正確に把握すれば、あなたの身内の方がどのような状態なのか、今後どうなる可能性があるのかがよくわかるでしょう。

そして、最終的には弁護士に依頼する場合であっても、刑事事件の手続きの流れをよく理解していた方が、刑事事件に強い良い弁護士を選ぶことができます。

刑事事件の詳細な流れは別の記事で詳しく書きますが、まずは流れを理解してください。

刑事事件はスピーディな対応が重要です!

もし、あなたの家族、友人、親族が、刑事事件で逮捕、勾留などの身柄拘束を受けた場合には、刑事事件の得意な弁護士にすぐ相談をしましょう。刑事弁護を開始するタイミングが早ければ早いほど、身柄拘束が短期で終了し、示談成立、起訴猶予などの、有利な結果を獲得できる確率が上がります。

日本の刑事司法では、起訴された場合の有罪率は99.9%と言われており、捜査、起訴と進んだ場合には、手遅れとなりかねません。前科が付き、その後の人生を崩壊させないために、早期の刑事弁護が重要です。

刑事事件の弁護士はスピード勝負!

逮捕された場合であっても、「犯罪を犯した」という事実が確定するわけではありません。

法律用語では「被疑者」といい、これは「犯罪を犯した疑いがある」という意味です。これを「推定無罪」「疑わしきは罰せず」などと表現します。

したがって、単なる疑いに過ぎない被疑者を、身柄を警察に拘束するという不利益な状態に置くわけですから、その拘束できる時間は、法律で厳格に規制されています。

刑事事件を担当する弁護士は、この限られた時間の中で、少しでも早く身柄拘束から解放し、できる限り軽い刑で済むよう弁護活動を行うのです。
したがって、スピードが命であり、1分1秒が惜しいといえます。

逮捕されてから、勾留までの刑事事件手続き

逮捕の時間制限(合計72時間)

逮捕された被疑者は、逮捕されてから48時間の間、警察所の留置場で身柄を拘束されて、警察からの取調べを受けます。

そして、この48時間の後、警察から検察に事件書類一式が送られます。これを「送検」、「送致」といいます。

送検を受けた検察は、送致を受けてから24時間(逮捕から72時間)以内に、①勾留請求をするか、②起訴するか、③不起訴とするかを決定しなければなりません。
そして、③を選択した場合には、被疑者を釈放することとなります。

弁護士は、この短時間の間(合計72時間)で、警察と検察に働きかけ、被疑者の身柄の早期釈放を求めて刑事弁護活動を行います。

勾留請求と勾留決定

検察が勾留請求をしたとしても、裁判所が勾留決定を下さなければ、被疑者は釈放されます。この判断をするため、勾留請求がされると、裁判所に呼び出され「勾留質問」を受けるのです。

検察が勾留請求をし、裁判所が許可すると、今度は「勾留」という手続きによって身柄拘束が継続されることとなります。

なお、ごく軽微な事件を除き、ほとんどの場合、勾留請求がされるのが実情といわれています。

勾留、勾留の延長から起訴までの刑事事件手続き

勾留の時間制限(最大20日間)

送検され、勾留されたとしても、引続き、被疑者は警察署の留置場に拘束され、引続き捜査・取調べを受けることとなります。

勾留決定がされると、勾留はまず10日間なされ、その後、更に勾留の必要があると検察官・裁判所が考えた場合には、最長で10日(合計20日間)延長されます。

したがって、逮捕から数えて合計23日間もの間、被疑者は外部と連絡がとれず、職場、家族との交流を制限されるのです。

検察は、この勾留期間の間に、①起訴するか、②不起訴として釈放するかを決定しなければなりません。
そして、②を選択した場合には、被疑者を釈放することとなります。

勾留中の刑事弁護活動

弁護士は、勾留期間の間に、示談交渉などを行い、身元引受人を用意し、検察に対して起訴をしないよう働きかけます。

起訴されてしまうと、被疑者は「被告人」という名称に変わり、手続きはさらに続きます。
この場合、さらに勾留という手続きで身柄拘束が続くこととなり、裁判までの間に、拘置所(東京の場合小菅にある東京拘置所が有名です)に移ります。

起訴から判決までの刑事事件手続き

起訴される場合、大きく分けて、公判請求、即決裁判手続、略式手続の3つの手続きがあります。

また、起訴の後であれば保釈請求をして、保釈金を支払い、一時的に釈放されることも可能となります。
公判請求された場合には、「保釈」が認められる可能性もあるので、弁護士は裁判所に保釈の請求をします。ただし、保釈が認められるためには保釈金(資産の程度によりますが、100万円~200万円程度必要とされるケースも多いです)を、逃亡した場合の担保として用意しなければなりません。

保釈金の全額を支払う余裕がない場合には、日本保釈支援協会など、保釈金を貸してくれる機関もあります。

(参考)一般社団法人 日本保釈支援協会

保釈が認められれば、事件は解決していないものの、身柄は解放されます(もっとも、その後に懲役刑等の実刑判決となってしまった場合には、再び身柄拘束される可能性があります)。保釈後に問題を起こさなければ、保釈金は事件終了後に返ってきます。

公判請求

テレビドラマで見るような、法廷で行われる刑事裁判(公判)です。事件によっては1回の審理(判決言渡しを含めて2回)で裁判は終わりますが、複雑な事件ですと1年以上かかってしまう場合もあります。

当然ながら、犯罪の内容を否定していると(「否認」といいます)、公判手続きは長引く傾向にあります。
現在では、日本の裁判のほとんどが犯罪の内容を認めている(「自白事件)といいます)ものであり、その場合には、その情状によって刑罰の重さを決めることが裁判の主な目的となります。

裁判の結果、無罪となれば晴れて自由の身です。
有罪になってしまったとしても、執行猶予がつけば、身柄拘束からは解放されます。弁護士は、被告人が罪を認めている場合には、執行猶予付きの判決を目指して弁護活動を行います。執行猶予が付かない有罪判決となってしまった場合には、判決のとおりに刑罰を受けることになります。

即決裁判手続

一定の軽微な事件(「死刑、無期若しくは短期1年以上の懲役若しくは禁錮にあたる事件を除く」事件とされています)について、事案が明白であり、かつ、軽微であること、証拠調べが速やかに終わると見込まれることその他の事情を考慮し、相当と認めるときは、被疑者が同意していることを条件として、検察官から、即決裁判手続きの申し立てがされることがあります。

この即決裁判手続では、原則として即日に判決が下され、執行猶予が付くこととなりますが、控訴をすることが原則としてできなくなります。

略式手続

軽微な事件で、法律上の刑罰に100万円以下の罰金刑の定めのある犯罪で、被疑者が同意した場合には、略式手続という簡易な手続きで裁判がなされ、略式命令により罰金刑が科されます。

罰金刑も刑罰ですから、有罪となり前科はついてしまいますが、身柄は早期に釈放されることができます。

第一審の判決後の刑事事件手続き

第一審の判決に不服があるときは、控訴、上告をすることができ、判決が確定したところで刑罰が決まることとなります。

まとめ

以上が刑事事件の手続きのおおまかな流れですので、まず概要を理解してください。

日本の刑事裁判の有罪率は99パーセント以上と言われています。
この記事で説明した最後の手続きまで進むのは最悪のケースですから、刑事弁護を行う弁護士は逮捕、勾留の段階で手続きを終了させることができるよう、示談活動などに全力を尽くすのです。

逮捕の段階で身柄が釈放されれば、在宅のままで捜査が進み、起訴されて執行猶予で終わるということも十分ありうるのです。
裁判官、検察官は、刑事事件手続きの専門家ですが、あなたの味方になってくれるのは刑事事件の手続きに精通した弁護士だけなのです。

刑事事件はスピーディな対応が重要です!

もし、あなたの家族、友人、親族が、刑事事件で逮捕、勾留などの身柄拘束を受けた場合には、刑事事件の得意な弁護士にすぐ相談をしましょう。刑事弁護を開始するタイミングが早ければ早いほど、身柄拘束が短期で終了し、示談成立、起訴猶予などの、有利な結果を獲得できる確率が上がります。

日本の刑事司法では、起訴された場合の有罪率は99.9%と言われており、捜査、起訴と進んだ場合には、手遅れとなりかねません。前科が付き、その後の人生を崩壊させないために、早期の刑事弁護が重要です。


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